軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第165話「ラムのレベルアップと変化」

#第165話「ラムのレベルアップと変化」

ラムのレベルアップが目前ということで、朝倉さん経由で透子さんとエリナさんに連絡を入れた。

すると二人とも見に来るとのことだった。特に透子さんは凄い勢いで乗っかってきたらしい。

もちろんワクワクしているのは透子さんだけではない。

これまでも使役モンスターがレベルアップするたびに、FSの“遷移”が確認されてきた。

今回も何かが起きる――そんな予感にみんなの胸が高鳴っていた。

今日も恩方ダンジョン4階層での討伐を続けることに。

俺とひより、ルナ、ラム、リン、ロア、ルフ、クーの8人(3人+5体)が一堂に会した。

最近は2組に分かれて討伐していたが「ラムのレベルアップの瞬間は全員で見たい」という話になり今日は一緒に討伐することにしたのだ。

そこへエリナさんと透子さんも姿を現し、まるで小さな式典のような雰囲気になっている。

そうして討伐を続けていると、突然、ラムの動きが止まった。ラムはそのまま静かに目を閉じた。周囲の空気が変わる。

「……ラム? レベルアップしたのか?」と声をかけると、彼女はゆっくり頷いた。

――間違いない、レベルアップしたようだ。

だが次の瞬間、ラムは俺の胸に飛び込んできた。

「ど、どうした!?」

驚く俺に抱きついたまま、ラムが小さく呟いた。

「FSも……遷移したようです。凄いです」

透子さんが、飛び跳ねるような勢いで詰め寄っていた。ちょっと怖い。

「で、で、どんな変化が!? 今度は何ができるようになったんだ!?」

その熱量に押されて、全員がラムに視線を向けた。

一呼吸置いて、ラムは答える。

「……ダンジョンの外に出ることができるようになったようです」

「えっ?」

俺も、ルナも、ひよりも声を揃えた。エリナさんでさえも驚いているように見える。透子さんは固まっている。

「外に、出ることができる? 本当に? マジか……」

「はい。おそらく間違いないと思います」

リンが目を丸くして叫んだ。

「それはすごいです、羨ましいです! それは私たちの夢だと話し合ったこともありましたです。ラムが実現して本当に良かったですです」

「リン、あなたもすぐですよ」とラムが微笑む。

しかし、そればっかりは信じ難い。

これまで“使役モンスターはダンジョン外に出られない”のが常識だった。

それが覆るなんて――。

でもよく考えたらモンスターはダンジョンのエネルギー値が高くなると氾濫して外に出ることもある。ならば使役モンスターも実は出ることができるのではないか?俺の使役モンスターは特別なんで既に全員出ることができる、なんてこともあり得るかも?と思い直した。

そこで実験してみることにした。

使役モンスターのラム、リン、ロア、ルフ、クーの全員が人化した状態で出口へ向かう。俺たちが外に出ようとすると、見えない壁のような力が働いたのか、使役モンスターはダンジョンの外に出られない。

――だが、ラムだけが静かに一歩を踏み出した。

そのまま外の光を浴びて立っている。間違いない。ラムだけが本当に外に出ることができている。普通に立っている。

「……マジか」

俺は息を呑んだ。

透子さんは興奮のあまり叫び出す。

「こ、これは世界初の快挙では!? 新しい進化段階――」

慌てて俺はその口を押さえた。いくら人が近くにいないとはいえ、かなりまずい。

「だ、駄目です! 秘密事項ですから!」

「……っ、そ、そうだね、確かに……」

透子さんは興奮を押し殺しながら頷いた。

とはいえ、この事実をどうしたものか。とりあえずいくつかの実験をした。まずは自由に出入りができるのかどうか?

「ラム、何回かダンジョンに入ったり、出たりできるか試してみよう」

「分かりました。でも全く問題ないと思いますよ」

現実にラムはダンジョンに入ったり出たりを繰り返した。どう見ても何ら問題がない。次にラムにモンスター状態になってもらって出入りができるかやってみようと考えたが思い留まった

ダンジョンにはいろいろな場所にカメラが設置してある。いつ何時そのカメラで見られるか分からない。これは朝倉さんに要相談だ。

俺はスマホを取り出した。朝倉さんに連絡、そして小声で状況を伝えた。

「朝倉さん、ラムがレベルアップしました。そしてFSも遷移しました。その結果、何と外に出ることできるようになったようです」

「使役モンスターが外に出ることができるだと? それはとんでもないな……ならば人化した状態で外で活動することもできるな。連れてきてくれるか?」

「分かりました。特に問題なさそうでしたらそのまま移動します」

討伐は一時中断。ラム以外の使役モンスターのリン、ロア、ルフ、クーはスロットに入れて俺、ラム、ひより、ルナ、そしてエリナさん、透子さんはハンター協会ビルへ向かうことになった。

移動の途中では透子さんが知能テストもやってみたいということで簡単な知能テストも行った。すると通常の人間の平均以上とのことだった。更に知能アップしている。

もしかしたら俺よりも知能が高いかもしれない。ちょっと悔しいけど使役モンスターの成長は嬉しいことでもある。喜ばないと。

そしてハンター協会ビルに到着し俺たち6人(5人と1体)は静かにビルに入っていった。