軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第156話「レンの家族、弟と妹との絆」

#第156話「レンの家族、弟と妹との絆」

レンには2人の弟妹がいる。弟の 樹(いつき) は6歳下、妹の 葵(あおい) は7歳下だ。

レンが中学二年の14歳だったころ、すなわち樹が8歳、葵が7歳のとき、3人は両親を交通事故で亡くした。

呼ばれて病院に焦って行ったがすでに遅かった。ほぼ即死状態だったとのこと。その夜、3人は肩を寄せ合って泣いた。だが兄のレンが涙をこらえ、震える声で言った。

――大丈夫だ。樹と葵は俺が守る。だから心配しなくていい。

その一言が2人の心を支えた。この瞬間に3人の絆が強まったのだ。

親戚の中には3人を別々に引き取ろうという話もあった。けれどレンはどうしても離れたくないと頭を下げた。樹も葵も賛同した。

結果、親戚の定期的な見回りを条件に子どもだけの3人暮らしが始まった。

もちろん、生活は苦しかった。親が残した貯金は簡単には使えない。レンは弟と妹の進学のために残すべきと考えていた。

レンは奨学金がもらえる高校を探し、高校進学と同時にアルバイトを始めた。各種手当にバイト代もあれば何とかなるはずと考えた。

レンの弟の樹は「自分も働きたい」と申し出たが、レンは首を振った。さすがに小学生に働かせるわけにはいかない。

「お前は葵を守ってくれ。それが樹の役目だ。俺は働いて支えるから。それぞれの役割で頑張ろう」

「うう、分かった。でも将来的には俺も働くからね」

兄は夕食後にバイトに行き遅くに帰ってくる。本当に大丈夫なのだろうか?樹も葵も兄が心配だったがどうしようもない。2人は自分にできることをやろうと自分に言い聞かせていた。

それ以来、樹の中では“葵を守ること”が1つの使命になった。

だから樹は葵に対して学校でいじめられていないか、毎日のように聞いてしまう。葵は「平気だよ」と笑うが、やっぱり心配なのだ。

その後、高校を卒業した兄のレンが突然ハンターになると言い出した。

危険な仕事だと聞いていたから、樹と葵は必死に止めた。兄が心配でたまらない。だが兄のレンは静かに答えた。

「安全マージンを取ってやる。危険なことや無理なことはしない。バイトも続けるからな。2人は何も心配しなくてもいい」

「本当に大丈夫なの?レン兄を信用していいの?」葵は心配そうにレンの顔を見る。

「もちろん、大丈夫だ。何も心配しなくていい。樹と葵はしっかりと勉強して良い成績を取ること。それだけ考えてくれたらいい。そうすれば将来的に選択肢が増えるからな。そして樹は葵をしっかり守ることも考えて欲しい」

その顔は、もう子どもの頃の兄ではなかった。責任感に満ち溢れていた。2人共に兄の言う通りにしていれば問題ないとも思えたので心配ながらも頷いた。

しかしながら心配事が増えた。兄のレンがハンター活動で疲れ切って帰ってくることが多くなったからだ。それでも夕食後は休まず深夜のバイトに行く。帰ってくるのは早朝で2人が学校に行くのを見守ってくれる。

いつ寝ているのだろう、本当に大丈夫なのだろうか。いつか倒れてしまうのではないか?樹と葵が心配する毎日が続いた。

そんな頃に、ひよりという女性が現れた。兄の幼なじみだという。小さい頃に会ったかもしれないがほとんど覚えていない。最初は警戒した。

しかし家に来て食事を作り、話を聞いてくれる彼女の存在は、樹にも葵にも素直にありがたかった。

特に葵はすぐに懐いた。樹も葵も実の姉のように慕い「ずっと一緒にいてくれたらいいな」と密かに願うようになった。

特に葵としては女の子ならではの相談事もある。兄2人には相談しにくい話もあった。そんな話もひよりが聞いてくれ、時には答えを出してくれることはとにかくありがたかった。葵にとっては姉、そして母親のような存在だった。

その後、兄がハンター活動を始めて1年が過ぎた頃に2人に対して「最近、稼げるようになった」と言ってきた。

本当にバイトを減らしたようだ。家にいることが少し増えた。更には樹や葵に中学や高校も私立でもいい、部活も好きなことをやれと言いだした。随分と明るくなったようにも見える。

樹と葵はハンター活動がそんなに稼げるものなのかと驚いた。でも危険な仕事という評判がありどうしても不安でもあった。

ひよりにも確認したが「大丈夫だよ。レンは安全マージンをかなり取っているから」と笑っていたので、樹も葵も信じることにした。

ただ一つ、樹には理不尽だと思うことがある。

兄は自分の高校時代にバイトをしていたのに、自分には「まだ早い」と禁止するのだ。確かに自分はまだ中学生、まだ早いかもしれないけど早く何らかの形で貢献したい。

なら――自分も早く高校に入りバイトして、高校を卒業してからハンターになればいいのではないか?

「なら高校に入ったらバイトしてもいいか?」

「駄目だよ。しっかりと勉強して良い成績を取ってからかな? そこで先生とも相談して良く考えなよ。それに樹がバイトで家にいなくなったら葵が心配だ。ちゃんと葵を守って欲しい」

どこまでいっても兄は過保護だ。樹としてはどうにも納得がいかなかった。

そうして兄の背中を見つめながら、樹は自分も将来的にはハンター活動をやってみたい、そう考えるようにもなった。

あの強い兄のように、家族を守れる存在になりたい。