軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

011 実技試験 3

あの後、敵パーティに向けて魔力弾の乱れ撃ちをやっていたら、試験終了の合図が出た。

……かなり遅いんじゃないかな……。

で、何だか試験官達の様子がおかしい。

審査する人達だけではなく、対戦相手を務めたハンターの人達……倒れた魔術師以外……も、ギルドの偉い人達も……。

そして、見物人の中の高ランクハンターらしき人達が、試験官や偉い人達に向かって、何やら怒鳴りつけているみたいな……。

いや、とりあえず合否結果を教えてよ……。

合格したなら、すぐにその場でハンター証を渡してもらえるんだよ。

それさえ貰えれば、いつでもこの町を出て行ける。

領主の息子であるヴァルトに嫌がらせを続けられる、この町から……。

* *

しばらく経って、試験官に呼ばれた。私達、臨時編成の受験者パーティ3組目の、6人全員が。

そして……。

「合否判定の結果を伝える。

受験者第3パーティ、6名全員を合格とする!

即席パーティであるにも拘らず、良きチームワークで戦い、個々の戦闘力、判断力も新人ハンターとしての最低基準をクリアしているものと認める。

諸君の、これからの良きハンターとしての活躍に期待する。

……さ、向こうでハンター証を受け取りなさい」

「「「「「「やったああああぁ〜〜!!」」」」」」

やった! やったよ、リゼル!!

これで、安心して……

「あ~、セリア嬢。ちょっと、ギルドの会議室に来てもらいたいのだが……」

「……え?」

試験官のひとりから、声を掛けられた……。

6人の受験者……合格者の中で、私だけが呼ばれるということに動揺したけれど、それ以上に、『セリア嬢』なんて呼ばれ方をされたことに、背筋がぞわぞわした。

……まぁ、いくら成り立てほやほやの新米ハンター相手とはいえ、おじさんが初対面の女性に対していきなり呼び捨て、というのは気が引けたのだろう。

とにかく、断れるような状況ではないし、断るつもりもない。

大勢が、それもギルドのお偉いさんや高ランクハンター達が見ている前で、新人女性におかしなちょっかいを出す勇気のある職員はいないだろう。

しかも、連れ込む場所がギルドの会議室とあっては……。

「は、はい、分かりました……」

なので、こう答えるしかなかった。

* *

ハンターギルドの会議室に入ると、……何だか、人が多い!

実技試験の対戦相手を務めてくださったハンターパーティ6人、試験官……合否判定をする人達が、同じく全員で、3人。

その他にも、何だかギルド支部の偉い人達が何人かと、……そして一番疑問なのが、領主様……ヴァルトの父親と、ヴァルト本人がいることだ。

どうして私がここへ呼ばれたのか、そしてこの人達は何のためにここにいるのか。

疑問は尽きないけれど、今は私からそんなことを聞けるような状況じゃない。

まあ、用があって呼ばれたのだから、皆さんの話し合いの中で、何か私に聞きたいことがあれば質問されるのだろう。

それまでは、隅っこで空気になっていれば……。

あ、ハンターギルドの偉い人……多分、ここの支部長……が、会議を始めるべく司会役を始めた。

領主様は、オブザーバーかな?

「……では、これより、先程新人ハンターとなったセリアに関する事情聴取を行う!」

「えええええええ〜〜っっ!!」

私、証人や参考人じゃなかった! 被告! 私がこの会議の糾弾対象だったああああぁ〜〜!!

* *

「あ、あああ、わ、わわわ、こ、こここ……(あの、私には、心当たりががが……)」

駄目だ、言葉にならないよぉ……。

「心配しなくても良い。別に、君に対して事情聴取をするわけではない。

あ、いや、勿論説明は求めるが、調査対象は他の者達だ。

では、状況の説明を!」

支部長と思われる司会役の人に振られて、試験官のひとりが説明を始めてくれた。

「はい。この度皆様にお集まりいただきましたのは、我が支部におきまして、ハンターギルドとして絶対に守らねばならない基本規約が破られ、踏みにじられた可能性に対しての調査のためです。

基本規約は、報酬額の誤魔化しだとか依頼任務遂行における手抜きだとか、そのような些事ではなく、ハンターギルドとして絶対に厳守しなければならない、決して譲ることのできないことです。

……今、ここにいる皆さんの中で、それを知らない者はいませんよね?」

当たり前だ。

それはギルド規約の最初のページに書かれていることであり、新米であっても当然知っているし、ハンターギルドとの関わりも多く、領の運営や安全に関わることでハンターに依頼することもある領主様も、当然その程度のことは知っているはず……。

……というか、それが故意に破られ、踏みにじられたって、 大事(おおごと) じゃないの!!

「しかし、先程のハンター資格試験におきまして、明らかに不正行為であると思われる行為が見られました……」

えええ! 私、不正行為をやって合格したと思われてる? そんなことは……、って、私の魔力量が少ないということを知っているハンターはかなり多いから、さっきの模擬戦での魔力が多すぎると思われて、何かの不正行為だと……。

……いや!

いやいや!!

さっき、『調査対象は他の者達だ』って言ってた! 大丈夫、私はただの参考人、証人として呼ばれただけだ! ……多分……。

「明らかに通常考え得る限度を超えた、特定の受験者に対する過度な攻撃の集中。

その受験者を絶対に不合格にするよう、強い意思を持った行為としか思えませんでした。

自分の意思で、もしくは誰かに買収されたとしか考えられない、あからさまな行為としか……。

この点に関しましては、試験官3名全員、ギルド役職者、観客であった高ランクハンター達全員の意見が一致しております。よって……」

そして、試験官が、この場にいる者達の内のひとりを指差した。

……よかった、私への 弾劾(だんがい) じゃなかった!