軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第648話 温泉人気

稲荷さんに『転移用の襖』を作ってもらってから、数日が過ぎた。

おかげで、温泉は多くの村人たちが利用できるようになって大好評。ちょっとした公衆浴場並みに利用されている。私といっしょに行ったメンバーが散々温泉の良さを語るものだから、いつか行きたいと思ってたのが、こうもあっさりと通えるようになったのだから、当然かもしれない。

私も村に寄った時に、気軽に入らせてもらえるのは、本当にありがたい。

『転移用の部屋』ができたばかりの頃は、少しばかり不機嫌だったエイデンも、村人たちから感謝されまくっていることもあり、最近ではまんざらでもない顔をしている。

時々、稲荷さんのところの温泉にも行くのだが、あちらはあちらで贅沢気分を味わっている。

なにが贅沢って、お風呂だけではなく、有料ではあるもののお食事(蕎麦とかうどん。時々丼物)までいただけるのだ。ちょっと美味しい物が食べたい時にはうってつけだ。

メニューは、こちらのお金の金額で書かれていて、かなりいいお値段らしい。一度、私のおごりで食事に来たネシアたちがびっくりして固まっていた。

ちなみに、村人たちには稲荷さんの温泉自体が若干敷居が高いらしく、私が一緒でないと、入りに来ていないらしい。

だったら、稲荷さんのところの温泉はガラガラなんじゃ、と思ったら、眷属たちの癒しの場になっているそうだ。

日本にだって温泉あるのに、と思ったら、稲荷さんの管轄範囲には温泉はなくて、隣の神様(蛇の神様)の敷地にあるのだとか。一緒に温泉に入っていた眷属のお姉さんの一人が教えてくれた。

その時に、稲荷さんの好物(以前買い物帰りに立ち寄った蕎麦屋のおばあちゃんの手作りおはぎ)を教えてもらったので、次に買い出しに行ったついでに貢ぎに行かないといけないかもしれない。

今日は温泉に行って、早めの夕飯に天ぷら蕎麦を頂いてきた。満足、満足。

いい気分で襖を開いて村側に着いた時、ちょうど、温泉に向かう孤児院の子供たちと遭遇した。

「あ、サツキ様!」

「こんにちはー!」

「こんにちは。皆でお風呂?」

「はいっ!」

小さい子はお風呂を嫌がる子もいると聞くけれど、孤児院の子たちは、みんなニコニコと楽しそうだ。たぶん、その理由は、私が買ってきたアヒルや船のおもちゃのせいだろう。

「そういえば」

ベシーが子供たちの背中を押して、襖の向こうに進ませながら、何か思い出したように私の方へと顔を向けた。

「ついさっき、司祭様のところに立派な服を着た男性の方がいらしてまして、サツキ様宛の手紙を預かってるって言ってました」

「うん? なんで、司祭様のとこ?」

「さぁ。確か、王都から来たって言ってました」

王都と言われて私の頭に浮かぶのは、キャサリンのこと。

去年同じような時期に遊びに来たことを考えると、彼女からの手紙の可能性がありそうな気がした。というか、私に手紙なんか書いてくるのはキャサリンしかいないだろう。

ベシーに「教えてくれてありがとう」と伝えると、私はピエランジェロ司祭がいるはずの教会のほうへ向かった。