作品タイトル不明
番外編 クローデリアとユウマの断罪3
「おまえたちは王政府を倒し、身分による序列を廃し、公爵令嬢と平民が婚姻関係を結べるようにするなど、王国に急すぎる変化をもたらしてしまったのだ。人はそんなに簡単に変われるものではない。王国は混乱の時代を迎えるだろう」
急に話のトーンが変わったな……。
「それは認識しております。しかしそれでも、王政府の都合や身分や差別で不当に虐げられ、困窮するような人々を放っておくことなどできません……」
「そんなことはわかっている。だから私も聖女エリシア様を通じて『反断罪戦線』を支援し、微力ながら王政府転覆の一助を担ったのだ」
え? そうなの?
「お父様はずっと以前から王政府のやり方に疑問を持っていたの。エリシアに感化されたところもあるでしょうけれど、王国を良くしようと取り組まれていたのよ」
今さらそんなことをさらっと言うか……。
「でしたら……良かったんじゃないですかね。混乱はあるかもしれませんが、王国は必ず良くなりますよ」
「そういうことではない!」
……なんで急に怒鳴るの?
「私自身がこんな急な変化についていけないのだ……。こんな変化がなければ、私のクローデリアがお嫁に行くなどと言い出さなかったはずなのだ」
公爵の目から一筋の涙が流れる。
そんな公爵の涙に何の動揺も見せずに、クローデリアが言う。
「今までも私の婚約の話が上がるたびに同じ感じだったから気にしなくていいよ、ユウマ」
「違う!」
公爵が目を血走らせてクローデリアを見る。
「今まではクローデリアが相手に心を奪われるようなことはなかった。だから婚約があろうと、その心は、父である私に寄り添っていたのだ」
そしてその血走った視線は俺に移る。
「だがユウマ君、君は違う。クローデリアの心ごと奪いおった。これは王国中を揺るがすような大事件なのだ。だって、誰もが崇めるほど美しくて良い娘なのだよ?」
王国中までは揺らいでいないと思いますが……?
「これはとても重大な罪だ。ユウマ君、クローデリアの心を奪い、王国を混乱させた罪でここに断罪する!」
混乱しているのはあんただよ。
そして、公爵が小さく呟く。
「この断罪により……クローデリアとの終身拘束の刑に処すことを、ここに認めよう」
ん……?
「獄中でいろいろ思い返し、反省することもあるだろう」
「お父様、はっきり結婚を認めるって言ってよ」
「嫌だ! 終身拘束の刑だ!」
え? やっぱり結婚を認めてくれていたの? 言い方……。
「獄中で、クローデリアを悲しませるようなことがあれば即処刑だから覚悟して投獄されるがよい」
公爵の警告に、俺は胸を張る。
「はい、そんなことするくらいなら死にます」
「だからすぐ『死ぬ』とか言わないで!」
クローデリアが笑いながら、怒鳴る。
「ユウマ君が死んだらいつでも公爵家に戻ってきなさい」
公爵が笑顔を見せる。
「やめてってば!」
叫びながら、クローデリアはこの上ない、幸福そうな笑顔を浮かべた。
こうして公爵家のカオスの中、俺とクローデリアは結ばれることになったのでした。
——完——