作品タイトル不明
第六十七話 王国の断罪前夜
「ジークフリート様の協力は得られませんでした」
断罪迷宮デスホールのアジトに戻った俺は、クローデリアにそう告げた。
「そう……。仕方ないわね。あの方には、あの方の信念があるのでしょう」
クローデリアにとっては想定内というところだろうか。
「『 断罪(ヴァーティクト) 結社(・オーダー) 』をようやく辞めることができましたよ」
俺は力なく笑う。
「じゃあ、あなたは『 断罪の(ヴァーティクト・) 刃(ブレイド) 』に専念できるわね。今は『 真・(トゥルー) 断罪(ヴァーティクト) 戦線(・フロント) ね。あなたは私だけのユウマ……」
クローデリアもどこか寂しそうに見えた。
「今さらだけれど……私のわがままに巻き込んでしまって、ごめんなさい」
「何を仰るんですか? 真実を知った今、俺もただ安全圏で断罪見物するだけのモブ平民ではいられないですよ。それに何より、クローデリア様を悲しませるような王国を許すことなどできません!」
「……ありがとう、ユウマ。何があってもあなただけは必ず守るから」
「それは俺のセリフですよ、クローデリア様。あなたを傷つける者は王太子だろうが国王だろうが宰相だろうが、『断罪の使徒』 X(エックス) が断罪しまくってやります」
クローデリアが幸せそうに微笑む。
その美しい微笑みを見て、俺は決意を新たにする。
「いよいよ、明日ですね」
「そうね、いよいよね」
「王国が少しでも変わればいいのですが」
「ユウマ、私、本当はね……。王国に虐げられた人々を助けたいのは嘘ではないんだけど……。もう一つどうしても叶えたいことがあるの」
「……何です?」
「すべてがうまくいったら教えてあげる」
美しい公爵令嬢の顔が、ふと無邪気な少女の笑みに変わり、俺はどきりとしてしまう。
「必ず叶いますよ、クローデリア様。あなたのようなすてきな方の願いが叶わないような世界なら、俺は女神に抗議してやります」