作品タイトル不明
第六十一話 王国断罪計画
南方辺境伯セドリックの断罪が終わり、事件の凶悪性から速やかにセドリックの死刑が執行された。
クローデリアと俺は、斬首されるセドリックの姿を、目を逸らさず、しっかりと見届けた。
俺はその光景を一生忘れることはないだろう。
アイゼンベルク辺境伯家には家督を継ぐ子孫がおらず、家は取り潰しになるだろう。後任の辺境伯も見つからないとなれば、村の人々はただ死を待ち、村は消滅することになるのだろう。
クローデリアが、帰る前にレーヴェンハイト公爵家に立ち寄るよう言ってきた。
俺たちはひと言も言葉を交わすことなく、無言で王都の大通りを歩いた。
レーヴェンハイト公爵家の屋敷に着くと、俺はクローデリアの私室に通された。
調度品は上等なものに違いなかったが、公爵令嬢の私室というわりに、驚くほど装飾品が少ない、質素な部屋だった。
「ユウマを迎えるなら、もっと可愛らしい部屋にしておきたかったわ」
そんな軽口を言うクローデリアだったが、セドリックの処刑のショックが拭いきれていないのは明らかだった。
俺も無理やり微笑もうとしたが、顔の筋肉がうまく動かない。余計な話をする余裕もない。
「……クローデリア様、俺は正直なところ、どうしたらいいのかわかりません。王国が間違ったことをしていることも今ではわかりますが、王国を断罪するなんて大それたことができるのでしょうか?」
「わからないわ。でも、何かしなければ王国は変わらない。それに……」
クローデリアが俺をまっすぐ見つめる。
「ユウマ、あなたの力を借りれば、何かが変えられる気がすると思うの。あなたは他の人と何か違う。転生者だからというのでもない。何か特別な力で人々を救う、そんな不思議な力があると思うの」
「クローデリア様……。以前から思っていましたが、俺のことを買い被りすぎですよ。石を投げたりヤジを飛ばす程度しかできない俺に何ができるんですか……」
「その一見つまらなく見える力で、あなたはいくつもの難事件を解決して、人を助けてきたのよ。私もその一人。理屈抜きで、私はあなただけは信じられる。
あなたが協力してくれると言ってくれれば、きっとすべてうまくいくと思うの」
王国に楯突いてただで済むはずがない。下手をしたら、自分が断罪台に立たされるはめになるだろう。
つい先ほど見たセドリックの処刑の様子が俺の脳裏に浮かび、体が震える。
だが……王国に虐げられ、あるいは見捨てられ、困窮の中で死んでいく人々を、俺は見ないふりができるだろうか?
……それももしかしたらできるかもしれない。しかし、俺がどうしてもできないのは、俺の大切な相棒のクローデリアが、悲しみの中に沈んでいるのを見過ごすことだ。
「俺は自分が何ができるかわかりません。王国に歯向かうなんて大それたことができるとも思いません。ただ、あなたのためなのであれば、協力します」
俺の答えを聞いたクローデリアが微笑んだ。
「あなたならそう言ってくれると思ったわ。ありがとう、ユウマ」
「で、これからどうするんです?」
俺が尋ねると、クローデリアが小悪魔のような悪い顔を見せる。
「私に計画があるわ」