軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第四十五話 鍛冶屋と断罪と

「クローデリア様、大変申し訳ないのですが、今日は店じまいにしたいのですが……」

父がクローデリアに本当に申し訳なさそうに言った。

公爵令嬢クローデリアは、俺ことユウマ・クレイも所属する宰相直轄組織「 断罪(ヴァーティクト) 結社(・オーダー) 」のメンバーだ。

そして公爵令嬢ながら恐ろしく強く、「剣姫」の称号を持っている。ソロでの実績しかなかったため、S級の実力がありながら、長らくA級冒険者であったのだが、先日「 断罪の(ヴァーティクト・) 刃(ブレイド) 」という新規冒険者パーティーを立ち上げ、極悪ダンジョンを攻略した実績により、ついにS級にまで昇格した。勇者不在の中、S級冒険者は王国で彼女ただ一人であり、名実ともに王国最強となった。

ちなみに「断罪の刃」のメンバーは、彼女以外には俺ことユウマ・クレイのみである。ジョブは「断罪見物人」。冒険者に相応しい人物ではない。早く辞めたい。

さて、そんなクローデリアだが、新しい武器を新調したいということで、父の「クレイの鍛冶屋」に素材を持参してきた上で、やってきたのだ。父の鍛冶屋としての腕は客観的に見てもかなりのものだと思うので、俺も自信をもって紹介した。

ちなみに俺の本職は「鍛冶屋見習い」で、父の仕事を手伝っている。

父はクローデリアの持ってきた希少な素材に興奮し、やる気に満ちあふれていたはずなのだが、突然店じまいだと言い出した。しかも客は公爵令嬢であり、S級冒険者の「剣姫」にもかかわらずだ。

「まだ午前中なのに閉めるってことは……」

考えられる理由は一つしかない。

「そうだ、ユウマ。今日は大物の断罪があるみたいなんだ」

鍛冶屋としての腕は確かなのだが、父は仕事よりも趣味の断罪見物を常に優先する。たとえ貴族や王族や王国騎士団長や聖教会騎士団長や勇者や剣姫が来店していようが、それだけは譲らない。

そしてそれは子である俺も一緒だ。

「断罪結社」リーダーの宰相ジークフリートから今日の断罪の連絡はなかったので、今回は任務でもなく、純粋に断罪見物を楽しめるということでもある。

ちなみに俺は一刻も早く「断罪結社」も辞めて、ただただ断罪を楽しむモブ平民に戻りたいと常日頃から思っている。

「クローデリア様、申し訳ないですが、行かないと」

「え? 私の剣は?」

クローデリアが不機嫌な顔をする。しかし、それでも俺は行かなければならない。

「父の腕は確かなので大丈夫です。クローデリア様は父の打った剣なら、さらに強くなること間違いなしです。ささ、クローデリア様も行きましょう。大物の断罪ですって」

「そう、断罪なのね。じゃあ、仕方ないか」

クローデリアは俺の断罪好きも十分理解してくれているのだ。なんてすばらしい公爵令嬢様なんでしょう。

「ユウマと一緒に行くわ」

そう言ってクローデリアが微笑んだ。