軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第十二話 偽聖女の断罪6

クローデリアと俺は聖教会の大聖堂に走った。

もちろんクローデリアが先頭で露払いしながら。道中も多く偽聖騎士に襲われたが、ほとんどが明らかに訓練をされていない「にわか」だったので、クローデリアの敵ではなかった。

大聖堂の周りには多くの聖騎士と偽聖騎士が集結していた。これだけ厳重な警備にあたっているということは、首謀者が拠点としているに違いないだろう。

そして、ジークフリートの言伝のとおりであれば、 王国騎士団(ロイヤル・ナイツ) は王城での混乱の対応で、大聖堂に攻め入ることはできていないのだ。

この隙に乗じて、聖教会が偽聖女と偽聖騎士を増殖させようとしているのは間違いない。

だから俺たちがやらないといけない。

と息巻いたものの、敵騎士の数が思ったより多い……

「ユウマ、絶対に私の後ろから離れないでね」

クローデリアが前方の敵騎士たちを見据えたまま、背後の俺に声をかけた。

「はい、全力でしがみつきます!」

言われなくともそのつもりでした。

「その前に聖騎士長の場所はわかる?」

なるほど、有象無象の相手をしていたらキリがなさそうだから、ボスを叩いてしまうというわけか。

「わかりました。任せてください」

むしろそれができなければ俺は足手まといになるだけだ。俺は石袋から石を取り出し固く握った。

罪状は……「偽聖女の感染を広めて王国民を支配しようとする首謀者」とか……? 迷っている暇はない。とりあえず、この罪状で設定する。

「 断罪の石投げ(コンデム・ストーン) !」

俺の手から放たれた石が聖騎士と偽聖騎士の群れの頭上を飛翔し、奥の方までぐんぐん伸びていく。最前線で指揮を取るタイプではなく、後方で騎士たちを駒のように扱うタイプか?

そんなやつは引きずり出して断罪台に登らせてやる! ……我らがクローデリア様がな!

ところが、石が突然ホップし、大聖堂の鐘楼を上るように上昇していく。

これは……聖教会=天上の神の御業ってこと?

俺の想像に従うかのように石はぐんぐん上っていく。マジか……

と思っていると、大聖堂の鐘楼の塔の上部にある鐘がごーんと鳴った。

鐘楼が黒幕?

「あそこに聖騎士長がいるの?」

そうですよね、人がいるんですよね、たぶん。

「聖騎士長かはわかりませんが、この事件の首謀者がいるはずです」

「じゃあ、鐘楼の鐘を目指せばいいのね。ありがとう、ユウマ。やっぱりあなたは頼りになるわ」

そう言ってくれるのはこの異世界でたぶんあなただけです。

しかし、この騎士たちの大軍をかいくぐってどうやってあそこまで辿り着けばいいんだ?

「 殲悪の(アニヒレーション) 剣舞(・ロンド) 」

クローデリアが優雅に踊るように剣を横に一閃した。

すると剣から広範囲に斬撃が飛び、聖騎士たちが倒れていった。

剣技スキルか。単純にすごいな。正規の聖騎士はけっこう強いはずなのに……

たったの一撃で大聖堂の入り口までの道ができたかと思うと、扉の前に一人だけ倒れずにいた聖騎士がいた。

クローデリアがその聖騎士に向かって走り出したので、俺も慌ててついていく。

「『剣姫』クローデリア様とお見受けする。私は『白鉄の守護者』聖騎士長ルーファ……ぐふぅ」

こいつが聖騎士長だったのか……。最後まで名乗る前に、「剣姫」の一振りで一蹴されてしまったが……。

「峰打ちよ」

めちゃくちゃ強いのに、人を安易に殺さないところもクローデリアはさすがだ。

こいつは後でちゃんと断罪しないといけないしな。

大聖堂の中の神官たちが、俺たちの姿を見てぎょっとしていたが、構わず俺たちは大聖堂の鐘楼の塔に向かい、石造りの螺旋階段を駆け上がる。が、ステータス低めの俺はクローデリアのスピードについていくのはちょっときつい。

だが、この先にいる首謀者を捕らえて断罪をすることだけを夢想して俺は必死に上っていく。

やがて鐘楼の上部の鐘の間にたどり着く。

そこには法衣を着たじいさんが伸びて倒れていた。こいつに石が当たって、バランスを崩して鐘に頭を当てて気絶したんだろう。……その瞬間を見たかった。

「大司教様……嘘でしょ」

大司教? あ、確かになんか顔見たことある。大司教……グレゴール様だ。

「大司教様はとても素晴らしい方よ。聖女信仰を誰よりも深く理解して、慈悲に満ちた聖職者の鑑のような方なの」

確かに大司教の善行はよく知られているものの、悪いことしたなんて話は聞いたことがないな。

「そんな人がなぜこんな騒動を起こしたんでしょうか?」

「私にはわからない……。いえ、信じられないの。でも、それ以上に私はユウマを信じているから……」

大司教にモブ平民が勝ってしまうことがあるとは……

鐘楼の先端の鐘の間からは、王都の全景が見渡せた。

そこかしこで起こる悲鳴や怒号も聞こえた。

この大司教は何を思ってここから王都の混乱を眺めていたのか。——それを断罪の場で、すべて明かしてもらおう。