軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

56話 魔族と悪徳領主

ある日の夜。

クエストに向かう途中、ぼくたちは鉱山近くの村に立ち寄った。

「もう遅いし、この村に泊めて貰えないか交渉してみましょう」

ぼくらは村長の家を訪れる。

「旅人様、この村に泊まるのは、やめておいた方が良いと思いますのじゃ……」

「どうしてですか?」

「近頃この村は、【魔族】に目をつけられているのでございまする……」

魔族。

人間を超越した強さを持つ、特別な一族のこと。

「鉱山で取れる【魔鉱石】を、魔族は理不尽に奪っていくのじゃ。領主への納税分すらも……」

魔鉱石とは、魔法道具を作る際に必須となる素材の一つだ。

「でも領主もさすがに、魔族に頻繁に襲われているなら、納税する魔鉱石の数も減らしてくれるんじゃない?」

ティナの問いかけに、村長が首を振る。

「魔族によって奪われても、領主様はお構いなしに、納税分を持って行かれます……」

もちろん魔族の襲撃によって、村の所有する魔鉱石は減っている。

だから納税のために、領民たる村人達は、昼夜問わずに採掘作業にいそしむんだって。

「魔族の襲撃はここ最近頻繁になってきておりますじゃ。それが続けばわしらは……もう……」

と、そのときだった。

『若様、敵にございます。どうやら魔族のようです』

「わかった! みんな、行こう!」

今日はクレアさんは家でお留守番だ。

建物の外へ出る。

【ばっはっはぁ! 今日も魔鉱石もらいにきたぜぇ! この男爵級魔族・エネゴーリ様がよぉお!】

エネゴーリは、3メートルほどの猿人型魔族だった。

「ティナ、男爵級って?」

「魔族は強さによって階級が別れているの。最高が公爵、最低が男爵ね」

「じゃあエネゴーリは一番下ってこと?」

「けど気をつけて。魔族は最下位だとしても、SSランクの竜種と同等以上の力を持っていると聞くわ」

エネゴーリがニヤニヤと笑いながら、ぼくたちの元へやってくる。

【大人しく魔鉱石を差し出しなぁ。そうすりゃ命は助けてやるぜぇ~?】

「くっ……! わしらは……ただ理不尽に搾取されるしかないのか……!」

村長が歯がみしながら言う。

【ったりめえだろぉ? 弱者は強者に一生搾り取られる運命なのさぁ!】

「待て!!」

ぼくたちはエネゴーリの前に躍り出る。

「魔鉱石はおまえに渡さない、どうしてもっていうなら、ぼくらが相手だ!」

きょとん、とエネゴーリは目を点にする。

ぷっ……! と吹き出す。

【ばっはっはぁ~~~~! ひぃ~~~~! ひぃ~~~~~! う、ウケる……やばい、ツボった。うぎゃひゃひゃひゃ!】

「何がおかしいんだっ?」

【だって……てめえみたいな……ぷくすす、 人間(サル) 風情が、しかも……ぷっ、最も非力そうなガキが、おれにかなうとでも思ってるのがなぁ……ぎゃはははははっ!】

エネゴーリは腹を抱えて、涙を流しながら笑う。

「やってみなきゃわからないだろ!」

【あー、はいはい。そうでちゅねぇ~。やってみないとわからないでちゅねぇ~?】

『若様になんたる無礼な者ですか! 万死に値します!』

ダッ……! とランが風のようにエネゴーリに肉薄する。

かなりの速さ。

常人では目で動きを追うことはできない。

ランがエネゴーリの背後に出現し、クビをかみちぎろうとする。

『もらった!』

【あめえんだよぉ! このノロマ!】

びたんっ! と魔族がランをたたき落とす。

激しい音を立てて、フェンリルは地面にめり込んだ。

「ランッ!」

すぐさまぼくは不死鳥の治癒の炎で、ランの傷を癒やす。

【っかー! やっぱおれってば天っ才! パワーだけでなくスピードまで一級品なんてよぉ!】

確かにフェンリルに追いつく速さと、一撃で倒す膂力は凄いかも知れない。

「けど……誰かを理不尽に傷つけて、平然と笑っているヤツを……ぼくは許さない!」

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精霊使いへの敵対行動を感知しました。

→エネゴーリの 魔核(イビル・エレメント) を剥奪します。

精霊使いの能力が発動します。

→エネゴーリの魔核から、スキル【金剛力】、【超加速】を獲得しました。

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【許さないから、なんだっていうんだぁ? もしかしておれを倒すってのか? お?】

「そのとおり! いこう、みんな!」

仲間達がうなずいて、武器を構える。

【やれやれ、身の程を知らないサルどもに、教えてやろう。圧倒的な力の差ってやつをなぁ……】

こき……と指を鳴らして、エネゴーリは腕を回す。

【がきぃ。ハンディをやるぜぇ~?】

くいくい、とエネゴーリが指を曲げていう。

【1発だ。1発だけ好きなところに打たせてやるよ?】

どうやら挑発してきている様子だ。

ぼくでは1発入れたところで、楽勝に勝てるとでも思っているのだろう。

「バカにしやがって……わかった、望み通り1発ぶってやる!」

ぼくは拳を握りしめて、エネゴーリの土手っ腹に放つ。

【まぁもっともぉ? てめえみたいな非力なサルじゃあ? おれに傷つけることなんてぐぅえええええ!】

風に吹かれた木の葉のように、エネゴーリは上空へと吹っ飛ぶ。

【なんだこのパワーはぁ!? 人間のレベルを遥かに超えてやがる……く、くそぉおおお!】

クルクル回って、地面に激突。

「一気にたたみかけるよ、みんな!」

「「おう!」」

すここんっ、とティナの矢は手足を打ち抜いて拘束する。

アスナさんは駆け抜けて、剣聖のスキルで相手を切り刻む。

【ちょ、ちょっとたんま! 待て! 待てってば! おれを殺すと背後に控えている組織が……】

「エレン、今よ」

アスナさんは胴体だけとなったエネゴーリを掴んで、宙に投げる。

ぼくは精霊の武器を弓矢に変えて、炎の矢を放つ。

「【 不死鳥の紅蓮矢(フェニックス・バリスタ) 】!」

強大な炎の矢は、空中でエネゴーリと激突。

凄まじい爆音とともに……彼は黒焦げになって倒れた。

「き、奇跡じゃあ! 魔族を倒すなんて! あ、あなた方は救世主じゃああ!」

村長をはじめとして、村人がぼくらの前に跪いて涙を流す。

『見事じゃエレン、魔族すらも圧倒してみせるとはな! さすがじゃ!』

さて、魔族を倒した、ちょうどそのタイミングだ。

ちゃかぽこ、と馬車が村に近づいてきたのである。

「領主様じゃ!」

停止し、扉が開くと……高そうな服に身を包んだ男が出てくる。

「相変わらず芋臭い村だなっ! 村長! おい村長!」

「は、はい! ただいま……!」

村長が領主の前に跪く。

「納税分の魔鉱石を取りに来たぞぉ?」

ニヤニヤ、と意地悪く領主が笑いながら言う。

「は、はい! ただいま持ってきます!」

「まぁもっともぉ? また魔族に襲われて魔鉱石がないはずだろうからぁ? 無賃の強制労働で……って、なに? 今、なんと言った?」

「はい、魔鉱石をお持ちしますので、少しお待ちください!」

村長は村人ともに、立ち去っていく。

「あ、あれ……? おかしいな……?」

と領主がつぶやく。

ややあって。

「魔鉱石です。どうぞ、お納めください」

手押し車を押しながら、村長がやってくる。

台の上には、恐ろしい数の魔鉱石が乗っていた。

「あ、あれぇ~……? なんで魔鉱石があるんだよぉ~? エネゴーリは……?」

ぼくは彼の前に立って言う。

「そこに黒焦げになっていますよ?」

「なっ!? そんなばかな! 魔族だぞ魔族! 人間ごときがかなうはずないんだ!」

顔を真っ赤にして、領主が怒る。

「それより……領主様。あなた……エネゴーリとグルでしょう?」

「なっ!? 何を言いがかりを! 何の証拠があって言うのだね!?」

「あなたは……どうして、魔族の名前がエネゴーリだと知っているのですか?」

さぁ……と領主が青い顔をする。

「そ、それは……! その……村長が……」

「わしは報告してませんのじゃ」

それを聞いた村人達が、領主へ押し寄せる。

「ど、どけぇ! 貧乏人どもがぁあああ!」

バッ、と領主が杖を取り出して、村人に向ける。

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精霊使いへの敵対行動を感知しました。

領主ワイールへのペナルティを実行します。

→領主の 精霊核(エレメンタル) を一時的に剥奪します。

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「なっ!? なぜだぁ! なぜ魔法が使えないぃい!」

「皆の者! ワイールをとっ捕まえるのじゃ!」

「ひぃいいいいいい!」

ワイールは村人達に恐れをなして、馬車に乗ると、一目散で逃げていく。

「覚えてろよぉおおお! おまえら全員皆殺しにしてやるからなぁああああ」

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精霊使いへの敵対行動を感知しました。

領主ワイールへのペナルティを実行します。

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