作品タイトル不明
184話 完全なる霊王形態【後編】
ぼくらが声を合わせると、一体化が開始される。
以前のぼくは、霊装の仕組みをよくわかっていなかった。
決められた単語を言えば、ふたりは合体できるものだって思っていた。
けれど違うんだ。
霊装は単なる、合体ではない。
お互いの全てを知り、全てを委ね、そして体と心を一つにする。
ぼくはルルイエさんの全てを知った。
長い長い時間をかけて、彼女の人となり、歴史を理解した。
身体の中にルルイエさんが流れてくる……のではない。
ぼくもまた存在を、ルルイエさんに分け与えるのだ。
お互いの存在を認め、お互いを理解し、そして相手が理解してくれることを待つんじゃなくて、こちらからも心を開く。
それが霊装の極意。
それが、精霊と一体化して、神へと至るということ。
今まで、霊装の時は、後ろから彼女が抱きしめてくるようなイメージだった。
けれど今は違う。
ぼくらは正面から抱き合い、重なり……そして、光がはぜる。
そこにいたのは、以前の漆黒の衣に包まれた、ぼくたちじゃない。
曇りなき純白の衣装に、白銀の長髪。
そして構えた霊王の剣の刃には、燃えるような紅蓮の瞳が写っている。
「ハッ……できたじゃねえか。ちゃんと……」
母さんは地上でぼくらを見上げている。
祝福するように、穏やかに笑っていた。
これが、完璧なる、霊装。
完全なる、精霊王と合体した姿。
「これが、【 完全霊王形態(アルティメット・フォーム) 】だ!」