作品タイトル不明
145話 守護天使、勇者に標的を定める
勇者エレンの伴侶に、新たな命が宿ってた、一方その頃。
神々のおわす世界。
とある神殿の、大理石の床の上に、10の天使達が跪いていた。
『守護天使達よ、面を上げよ』
「「「ハッ……!」」」
そこにいるのは、様々な見た目の男女10名。
みな白い翼を生やしているのが特徴的だ。
「おお創造主様達よ! ご機嫌麗しゅうございます!」
天使を代表し、1名が前に出てくる。
「皆様方におかれましては、ますますのご健勝の……」
『【メタトロン】よ挨拶は良い。さっそく本題に入る』
守護天使メタトロン。
10名いる守護天使たちのリーダーだ。
でっぷりと太った、とても天使とは思えぬほどの巨漢だ。
ブンッ……! とメタトロン達の前に、映像が現れる。
「なんですかな、この貧相なサルは」
『こやつは神を自称する不届き者、名前を勇者神エレンという』
「か、神ですってぇ~……ぷっ! ぷぎゃははははははっ!」
メタトロンは腹を抱えて笑う。
美形が醜く崩れ、心の底から爆笑する。
「わ、わが創造主たちよ……ぷっ! こんなガキが神を名乗っているのですかぁ?」
『うむ。ゆゆしき事態であろう?』
「全くもってその通りですなぁ~」
小馬鹿にしたようにメタトロンが鼻を鳴らす。
「たかが人間ごときが図に乗りよって。なるほど……つまり我らに与えられし使命は、こやつめに罰を与えよ、ということですな?」
『然り、メタトロンよ。守護天使を総動員し、こやつを排除せよ』
「ぬはははっ! それには及びませぬ。我らが全員で掛からずとも、誰かひとりで十分でありますぞぉ!」
他の守護天使たちも、メタトロンと同じ意見の様子だった。
くすくす……と小馬鹿にするように笑っている。
『念には念をだ。宝具の使用も許可しよう』
「なんと、そこまで警戒なされる相手なのですかな?」
『こやつは得体の知らない邪神の力を身につけておるでな』
「邪神……なるほど。あいわかりました! 我ら守護天使、見事この不遜な輩を排除し、その首をわが創造主様達の前に、必ずや持って参りましょうぞぉ!」
『期待しておる』
ぶつん、と神々との通信が切れる。
「まったく、主様達も心配が過ぎる」
「その通りだな、こんな人間のガキひとりに負けるはずがなかろうに」
はははっ、と守護天使達が笑う。
「あ、あのぉ~……」
「ん? どうしたのだ、【サンダルフォン】?」
小柄な女の子天使が、恐る恐る手を上げる。
「この子ぉ~……人間じゃないですよぉ~……?」
サンダルフォンが、エレンの映像を見ていう。
「人間じゃない? どういうことであるか?」
「ええっとぉ~……半分は人間で、半分は精霊です。それ自体は珍しいことじゃないんですが……ただぁ~……」
「ただ?」
彼女は身につけている眼鏡をくいっと上げて言う。
「この子ぉ~……肉体の【精霊化】がだいぶ進んでいるんですぅ~……」
「なんだ精霊化とは?」
「人間が精霊になることですぅ~……。この子、精霊とのハーフではあるみたいですがぁ~……肉体は人間のそれをベースにしていましたぁ~……けどぉ~……今は肉体が精霊になりかけてますねぇ~……」
ふんっ、とメタトロンが言う。
「精霊? だからなんだ。こやつは不遜にも神でない分際で神を名乗り、あまつさえ人間達から神と呼ばれている。それは度し難いこと。ゆえに罰を与えるのよ」
「で、ですがぁ~……これは異常事態ですよぉ~……。人間が精霊へと進化するなんて、普通じゃ考えられないことです~……」
不安げな表情で、サンダルフォンは映像を見やる。
「この子ぉ~……なにか、よからぬ物に取り憑かれているような気がしますぅ~……」
「その邪神とやらの影響だろうな」
「だとしたらぁ~……不憫ですよぉ~……」
ビキッ、とメタトロン含めて、守護天使達が怒りの表情を浮かべる。
「貴様サンダルフォン! 神の命令に逆らうというのか!」
メタトロンが代表して、彼女の腹部を蹴り上げる。
「ご、ごめんなさぁいぃ~……」
「ふんっ! 二度とそのようなバカなことを口にするな。エレンは悪! 敵だ! よいな皆の物!」
「「「おう!」」」
========
いーち、にーい、さーん……。
バカが10人か。
そのうち、ま、1名だけはマシな方。
まったく何が天使だ。何が神だ。
エレンがどれだけの悪人を滅ぼしてきたと思っている?
その強さを知っておきながら刃向かおうとするんだからね。
神ってヤツはバカばっかりなんだなぁ。
さて、ま、僕のすることは何も変わらないよ。
このばかどもを使って、エレンの精霊化を進めるだけさ。
そうすれば…… 精霊(ぼく) と子作りできるようになるからね♡
はぁん♡ 楽しみだなぁ~……♡
========