作品タイトル不明
落ちぶれていく拒絶されし者
迷宮都市ビギナリアで、今最も注目されている冒険者パーティーがある。
初級ダンジョンでも、高難易度の所を攻略する。しかも、持ち込む魔物素材や資源など大量に持ち帰ってくる。冒険者ギルドにとっては、とてもありがたい冒険者パーティーになる。
だけど……その注目パーティーが、現在トラブルが続いていた。
斥候役レアジョブ忍者のエスナ、彼女はスライムのアオイにより、守られていた。暴力のトラウマを克服したかに見えていたのも、アオイがカードしていたから。それが無くなり、ダンジョンの魔物という容赦のない暴力に常にさらされるようになってトラウマは再発した。
盾役の盾士ミラ、彼女は盲目で、魔力感知や熱感知で周囲を探っていた。それもアカネの特性を活かした事により、目の代わりになっていたが……アカネのサポートも無くなり、魔力感知も熱感知も凡人よりも少し優れてる程度になっている。
そして、二人は気がついていなかったが、ルディの身体強化のスキルをスライム達を通して使用していた。
それによりハンデがあっても、二人は魔物相手に善戦出来ていた。
そして、魔物素材の収納と運搬もスライム達が行っていたので、もちろんこれからは自分達で行わないとダメだ。
そしてルディを追い出した男二人の冒険者、剣士のブリッツ、重戦士のエドガーだ。元々、中級ダンジョンに挑めるほど実力はなく、燻っている冒険者だった。
そして……彼らの正体は、専属受付嬢になったエマールの腰巾着だったのだ。そう、エマールが登り調子の『リジェクテッド』を乗っ取り操る為に、送ったのが男二人だ。
その策略で、冒険者パーティー『リジェクテッド』を手に入れる為に……当時の専属受付嬢であったフィオナを追い出して、自分が専属受付嬢に収まった。
そこでリーダーだったルディが魔物素材の加工や商売を行う為に、一次的にパーティーを離れたのはエマールにとって幸運だった。
いくら魔物素材の加工して販売しても、いらない素材は出てくる。それの売り買いは、当然冒険者ギルドへ持ち込む事になる。
さらにエマールにとって幸運だったのが、魔物素材の売却益をエスナとミラは誤魔化していた。要するにルディには内緒で、着服していたのだ。
それを察知したエマールはリーダーのルディに黙ってる事にして、二人の信用を得た。
そこまでの仕込みが出来てからは、全てが上手く事が進んでいた。
ルディが本格的に忙しくなると、エマールは二人の男冒険者と合同で探索をさせるようになる。そう、手駒二人を『リジェクテッド』と、交流させるようになる。
女の子だけの探索は危ない……とか言って納得させた。女の子の扱いに慣れた二人だから、すぐに仲良くなり四人組の冒険者パーティーと、他の冒険者にも周知させたのだった。
その甲斐もあり、『リジェクテッド』は、この男女四人パーティーだと認識されていく。
ここまで下地が整うとルディが冒険者に復帰しても、追い出す事が容易に出来た。女二人も、恋愛経験が無かったので簡単に落ちたようだ。
完璧な作戦で『リジェクテッド』のリーダーを交代させ、すぐに追放まで持っていけた……のに、
「どういう事よ、今日の成果がコレっぽっち? 何かの間違えでしょ? 今までの十分の一じゃない……いくら、収納が無くなったからって……」
確かに完璧だった。ルディを追い出すまでは……そう、『リジェクテッド』は元々はルディの力を基礎に作られた冒険者パーティーだから、この成果は当然の事だ。けして女性二人が優秀なのではない。
そして、追放によりルディのスライムが離れた事によるデメリットが出てきた……いや、本来の冒険者パーティーとしての力が今なのだろう。
スライムと一心同体でない、エスナとミラは戦闘は足手まといに……まだ、男二人の方が動けてる。
索敵も、エスナが辛うじて使える程度。
日々、目減りしていくお金。成果が十分の一では、収入も同様なのだ。しかも、ルディが商会をやってくれていたから、冒険者での活動以外でも収入があったのに……
女二人も自分達の今までの生活は……ルディの優しさの上で成り立っていたのを理解した。冒険者活動が休みの時は、街中でルディを探して彷徨う。ただ、自分達の犯した過ちを謝りまりたかった……というのを言い訳に、ルディに再接近するつもりでいた。ルディはこの時には、迷宮都市ビギナリアにいなかったので叶う事は無かったが……
そして……この状況で一番非難を受けたのが、専属受付嬢エマールだった。迷宮都市ビギナリアのナンバーワン受付嬢になっていたエマールだったが、エース『リジェクテッド』が突然の失速。冒険者ギルドでの稼ぎガシラだった、冒険者パーティーが低迷したのだ。
その責任は……専属受付嬢エマールがモロに被っていた。
ルディ追放より一ヶ月経ち、二ヶ月経ち、三ヶ月経つ頃には敏腕受付嬢と言われたエマールは、今は逆のあだ名ついていた……『パーティークラッシャー』と。
時を同じくして、迷宮都市ビギナリアの隣村の冒険者出張所で、とんでもない成果を出す冒険者パーティーが現れた。
新しく結成された冒険者パーティーで、名を『セレスティアル・ガーデン』という。リーダーの帰る事の出来ない故郷での言葉で『天界の庭』という。
凄腕の冒険者達で結成された、冒険者パーティーで三人組だ。リーダーは黒髪・黒目の隻腕の少年、元リジェクテッドのリーダーでもあった……ルディだ。
そして両脇を固めるのは、ゆるふわの涼やかな青い髪の優しげな雰囲気がある清楚な少女……名をアオイ。
もう一方に佇むのは燃えるような赤い髪が風で揺れている、勝ち気な雰囲気がある活発な少女……名をアカネ。
あの日、迷宮都市ビギナリアを去った後に元々の専属受付嬢であったフィオナと再契約して、ルディが舞い戻って来た。強力な相棒達を連れて……