軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

順調な仕事と不調な私生活

俺はダンジョン『廃鉱山ラービィクス』で採れる魔鉄と、魔力を含んだ魔物素材を、錬金術で合金にした新素材『魔鋼』を扱う鍛冶屋を探していた。

ぶっちゃけ、鍛冶まで手が回らないから。

商人ギルドで、ドワーフの親方がやる鍛冶屋を紹介して貰い訪れていたいる。

そこで、『魔鋼』のインゴットをドワーフの親方に実際に見てもらい……

「おいおい、なんでモンを出しやがる。魔鉄に見えるが違うな。オレでも分からないとは……合金か? タダの合金じゃない。魔鉄にしっかりと馴染んで、粘りを出してるな」

流石はドワーフだね。見ただけで、ほぼ言い当ててる。

魔鋼のインゴットを持ち上げたり、光に当てたり、手で叩いて感触を確認していた。

「どうだい? オヤジさんはこの『魔鋼』で、武器や防具を作ってみたくないかな?」

「おお、コイツは『魔鋼』というのか? もちろんやらせてくれ。ひょっとしたら、お前の装備も……魔鋼だな」

新品に見えていた俺の装備は、自分で打ったモノだったんだ。そうなんだ、だから新品を身に着けた新人冒険者っていうのは間違えない。俺が侮られても、しょうがない。

しかし、魔鋼を見た瞬間に見抜くとは流石だね。

この親方なら価値が分かってるし、任せても大丈夫かな……

「親方、この魔鋼を卸すから任せてもいいかい? 数は制限があるけどね。俺は冒険者でもあるから、鍛冶まで出来ないんだよ」

「おお、コイツを任せてくれるのか? もちろんやらせてくれ。お前さんが納得のいくものを、仕上げてみせるぞ」

ドワーフの親方は力コブを作り、ガッハハっと上機嫌に笑った。

これで少しは時間が出来るから、俺も久しぶりにダンジョンに行く時間が取れるな。

ダンジョンの方は、エスナさんとミラさんに任せたままだったからね……そろそろ、俺もやらないとね。

それに最近は、冒険者ギルドにも寄ってないしね。フィオナさんとは、何度か一緒に食事をしたけどね。

やっぱり、心配だからね。それにエスナさんとミラさんも、最近は少し普段と違う感じがしたからね。

その日の夜に、エスナさんとミラさんに魔鋼を任せられる鍛冶屋が見つかって時間が取れるから、冒険者活動を再開する事を告げると、

「……! 大丈夫です。私達だけで、やれてますから。ルディさんは商業ギルドとの交渉や、商会の立ち上げなんかをお願いします。私達では出来ませんから」

「そ、そうよ。せっかく頑張って来たのに、他人に任せるなんて……素材ならアタシ達が採って来るから……お願いよ」

なんか、エスナさんは珍しく長文で話すしミラさんは急に優しいな……いつもの二人じゃないけど。

確かに、商会は税金の関係から交渉まで必要だしな。二人では無理かな……

アオイとアカネもいるから、二人が冒険で致命傷なんかを負う事は万が一も無いだろう。

「分かった、ある程度商会が落ち着くまで頼むな。それと、フィオナさんは最近はどうかな?」

「うん、ダンジョンは任せて下さい。フィオナさんは、今は挨拶をするくらいですね」

ん? エスナさんを心配して俺に相談してきた関係で、あんなにフィオナさんに懐いていたエスナさんが? まるで他人事のようだ。

「そうね、フィオナも私達の担当から外れてからはね……」

ミラさんもか? なんか、ケンカでもしたのかな? まあ、お互いに大人なんだから個人で解決するだろう。

女性同士だし少し時間を置いてみよう。

「分かった。商会の方に、取り掛かるよ。それと今月の金額が出たよ。売り上げと経費を引いて、残りを三分割した金額だよ。はい」

お金の入った袋を三つ出して、それぞれの前に置く。俺達は魔鋼の売り上げや商売の利益など、全て等分に分配している。やっぱり金額で仲違いする冒険者パーティーは多いので、最初の取り決めから利益は等分すると決めている。

新人冒険者にとっては、かなりの金額だろうね。お金を等分するとこの後、予定があると二人は立ち去った。

う〜ん、やはりオカシイかな……

すぐには無理だけど、早めに商会を片付けてコッソリ後をつけてみよう。

かなり急いで商会の立ち上げから、納税や魔鋼の専売などの作業を終えたのは既に二ヶ月経っていた。

その間も売り上げは右肩上がりで、利益も多くなる。

エスナさんとミラさんのダンジョンでの成果は、それほど変わらなかったが……利益は出ている。

最近は、エスナさんとミラさんの二人共に話す時間があまり取れなくなっていた。

俺は故郷の村と同じような、孤独な気持ちを抱えていた。しかもあの時はアオイがいたからまだ良かったけど、今はアオイもアカネも居ないからね。

それも終わり、これからは時間も取れるから冒険者活動を再開しよう。

その前に二人の様子がオカシイから、少し後を着いて行こうか。何か隠し事をしてそうだしね……

俺は冒険者ギルドへ向かう二人の後を、着いて行く。

大通りを歩いて行く二人は、仲良く話ながら冒険者ギルドへ向かっていた。俺は人混みに紛れ込み、後を追う。

そこで俺は想像していなかった事を、見てしまった。

「そうか……だからあの時に、商会の立ち上げをしろって言ってたのか。二人が俺の冒険者活動復帰を、嫌がっていたワケが分かったよ」

冒険者ギルドの前で二人は……