作品タイトル不明
視力の代わりの新たな目
俺は新しく冒険者パーティー『リジェクテッド』を組んだ。でも、考えて欲しい。
リーダー俺……片腕スライムテイマー。
エスナさん……コミュ症オドオド斥候。
ミラさん ……盲目ドワーフ少女。
以上です。マトモなメンバーがいねーじゃん。
先行きが不安しか無いような編成に、頭を抱えつつ俺はミラさんと特訓をしていた。
元々、目の見えていたドワーフ少女ミラさんはやはり、視界に頼っていた部分が大きかった。なんで、盲目になったのかは聞いてない。
そこで、ミラさんとアカネをコンビにして目の代わりになれる様に特訓する事にした。
俺が考えていたのが、魔法関係と熱関係だね。
魔法関係は、魔力を薄く流し反射や遮断などで目の代わりにする事に。魔力探索とでも呼ぼうか。
熱関係はサーモグラフィーみたいな、寒暖差を利用して目の代わりに代用してみよう。
結局はどちらも出来そうだが、かなり練習が必要になる。俺はアオイをエスナさんに、アカネをミラさんに貸すので結局は一人で戦う事になった。分裂体は素材回収の為……これもしょうがないよね。
これでタンク職のミラさん、斥候職のエスナさん、魔法職の俺。これは逆に、機能すれば強くなるかな。欲をいえば、もう一人前衛のアタッカーがいれば……
まあ、それよりも今のメンバーでちゃんと戦える様にしないとね。一応まだ蓄えがあるから、何とかなるけど……
俺が迷宮都市ビギナリアにやって来て、既に三ヶ月が経とうとしていた。
俺達はまだ、ダンジョンに潜れずにいた。やはり目の代わりや、トラウマは一筋縄ではいかないよね。
でもね、当の本人達は……
「……アタシも大分慣れたよ。もう、ダンジョンへ行こうよ。このままだと……」
「……私も、もう、大丈夫です」
う〜ん、焦るのも分かるんだけどね。どうして、俺が戦闘力だけなら成人半年前でCランク冒険者『クリムゾンダンス』のメンバー全員より強かったのに、その後も特訓していたと思うのだろうか。彼女達も焦るのは分かるけど、『焦りは禁物』と言って聞かせる。
ましてや彼女達はそれぞれに、ハンデを背負っているのに……ハァ、先が思いヤられる。
それから、更に一ヶ月。俺達はスライムの丘で、訓練をしていた。最弱といわれる魔物スライムを相手にする日々は、ツマラナイのだろうな。二人からは、苛立ちのような感じを度々察する。しかし、俺は嫌がられても彼女達の安全を優先していた。
俺だって、早くダンジョンへ行きたかったけど……ダンジョンの厳しさは『クリムゾンダンス』から叩き込まれた。それをおざなりには、出来ないし。
彼女達にも状況などを説明して、焦る気持ちを抑えていた。お金で慌ててる感じなので、お金を援助したりもした。
いざこざもあったけど、及第点まで来れたよ。リーダーって自分を悪者にしたりしないとダメだから、心労がスゴイよね。世の中のリーダーさん、マジで尊敬です。
そして満を持して、やってきました『新緑の森』に。
以前はエスナさんと二人で来たけど、今回はミラさんをプラスして。
そして探索を開始しているが、二人とも成長しているから無双状態だ。
「だから、アタシ達ならやれるって、言ってたんだよ。リーダーが、慎重過ぎるから……これからはたくさん稼いで『女神の涙』だって見つけてやる」
俺はミラさんから、最近はリーダーって呼ばれている。
「……はあ〜、トドメ、です」
エスナさんも、問題なさそうだね。最近は、トラウマの症状も出ていないようだね。
二人がこれなら、ダンジョンも平気かもね。
「大丈夫そうだね。よし、今日はこの辺りにして、少し採集をしてから帰ろう」
二人共、『えっ〜』って顔をしていたが、俺が折れないのを分かっているから大人しく従っている。
一応、ワケを話して納得をして貰う。
「……てなワケだから最初のダンジョンは、必ず二時間で終わりにする。師匠の冒険者からも、そう教わってる」
二人は明らかに不満顔だけど、ダメなものはダメ。新人の初ダンジョンは、致死率が高いのだ。
だから必ず、二時間で切り上げる。調子に乗った新人冒険者程、死亡したり取り返しのつかない怪我をしたりする。だから二人の気分が乗って来ても、ここはダメなところなんだよね。
そうして、採集も終えて俺達は冒険者ギルドへとやって来た。
相変わらず冒険者ギルドは賑やかで、新人冒険者達は色物集団の俺達に興味があるみたいだ。
エスナさんもミラさんも、見た目は美少女だしね。
ただ、クセが強いからね。
「おかえりなさい。『リジェクテッド』の皆様。本日は、ダンジョンに行くとの事でしたが……」
俺達は受付嬢フィオナさんにそれぞれ挨拶をして、それぞれが無事だと確認して貰った。冒険者ギルドでも、最初のダンジョンアタックには気を使っているようだね。
フィオナさんも、ふぅと無事を確認出来た安堵からため息を出したが……エスナさんもミラさんも、
「やだ、大げさね」「……雑魚ばかり、問題ない、です」
ヤル気があるのは、分かるけどね。そのうち、痛い目をみるような気がしてしょうがない。そうならない様に、少し厳しくしなければダメなのかな……
俺達は明日からもダンジョンに挑む為に成果物を換金して貰い、また周りをビックリさせた。
そして、翌日も『新緑の森』攻略に乗り出した。
ようやく冒険者として、始まった様に感じていた。