軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

村の仲良し六人組

勇者やその周りを固める女達。この小さな村では同世代で、それなりに仲良くしていたはずだ。

俺達は同じモノで笑い、同じモノで泣き、同じモノに熱くなり、同じモノで落ち込む。

小さな頃から一緒で、それはこれからもすっと続いていくと俺は……そう勝手に思っていた。

そう思っていたのは俺だけ、いや僕だけだったんだね……

※ルディ回想:スキル授与される前の日常

「よお、ルディ。今日は何をする」

肩を組んでくる同じ年の少年ランドルフ。(後の勇者)

「ああ、ランドルフ。今日は仕事は終わったのかい?」

僕達は幼馴染だが、僕達の関係は主人と奴隷。いや僕達じゃなくて親がね。ランドルフ達親子は、僕の親が経営する牧場と農地で農奴として働いていた。まぁ、小さな村だからあまり主人と奴隷の関係は、感じた事は無いけどね。

「もう、ランドルフは後から来てボク達の邪魔をしないでよね。ルディもボクと遊んでいるでしょ」

隣の家に住んでいる幼馴染の女友達ラウラだ。

いつも僕の後をついてくる。子犬みたいなヤツ。

「お兄ちゃ〜ん」タタタッと走り寄ってきて抱きつく小さな影がいる。義理の妹ルイーゼ。

「あらあら、仲良しさんね。ルディちゃん、お姉ちゃんも……」おっとりした口調で微笑んでいる、義理の姉ウルリケ。

僕の義理姉妹になる。僕の母は僕を産むと亡くなってしまった。代わりにウチのオヤジと結婚したのがこの姉妹の母親だ。僕の実母とも親友だったらしい。

右側にラウラ、左側にルイーゼ、後ろからウルリケ姉が抱きついてくる。身動きができん。

その時は必死で全く気にしてなかった……隣でスゴイ顔で睨んでいるランドルフに。

「ルディから離れて〜。もう、婚約者の私だけの場所なのよ」

一番最後に合流したのが僕の婚約者でもある、村一番の美少女クリスティだ。僕にくっついていた女達を、一人一人僕から剥がしていく。

そして自分の場所を確保した、クリスティは満足そうにしている。

「もう、後から来たのに……婚約者だからって、ズルい」

ルイーゼはぶうぶうと文句を言って、ラウラは頬を膨らませてる。ウルリケ姉はウフフッと笑っていた。

僕達は村でも有名な、仲良し六人組と言われている。

僕の腕を引っ張り合う少女達。それを苦々しく見ている少年。

これが今までの日常の姿だったのに……

「よ〜し、今日はみんなで魔法を使えるようになった時の為に、魔力操作の練習しよーぜ」

僕が走り出すと、後から少女達もついてくる。そして最後はランドルフだ。

村でも比較的、静かな所でみんなで魔力操作の練習をする。

魔力操作を練習する事により将来的に、魔法や技能などを上手く操れる土台を作る。小さな頃から僕は得意で良く練習をした。周りにいる少女達も釣られてやっている。

ランドルフだけはあまり真面目には……寝てるし。

そんな感じで村ではこの魔力操作の出来から『神童』と言われて将来を期待されていた。

当然、僕の親は最も期待していただろうな。

だからこそ……憎いんだろうな。

「おお、ルディ。おかえり。今日も村の連中から褒められておったぞ。流石は俺の息子だ。このまま、お前が立派に育ち俺の跡を継げば……この辺りを治める事も夢じゃなくなるな、アハハ」

ウチのオヤジはとにかく野心が強い。だけど僕はこの時にはオヤジが苦手になっていた。その野心がいつか身を滅ぼすような気がしていたから。

「本当ね。ルディがしっかりしてくれてるからウルリケもルイーゼも懐いてくれて嬉しいわ。ウチを大きくする為にも頑張りなさい」

僕の義母になるロランダだ。ウルリケ・ルイーゼの母親になる。僕の実母の親友になるらしいが……あまり実母の話をしてくれない。

あまりこの時は実感して無かったが……オカシイ。

まぁ、そんな感じだったのに。これがスキル『スライム』を授かった時から……逆転していく。

『勇者』……伝説にもなっているスキルである。職業スキルと呼ばれる強力なスキル。この職業スキルの中に武術や魔法など、様々な特性を詰め込んだ複合的なスキルになる。

この『勇者』スキルがランドルフに宿ってから、僕と彼の立場が逆転したのだ。

最強と名高い『勇者』、最弱魔物の代表『スライム』。スキルが僕とランドルフの立場が逆転してしまった原因になる。なんか国からお偉いさんが来て、ランドルフは将来的に学園に入るとか……それを見ていた村のオトナ達は、その夜はドンチャン騒ぎ。

その影響を子供達も受け継いでいく。仲良し六人組も次々と、ランドルフに乗り換えていく。

僕もこの時は『転生者』にも目覚めていなく、『スライム』の有用性に気がついていなかった。

そして仲良し六人組は『勇者パーティー』と名前を変えて冒険者の真似事をやるようになる。

その中でもスライムを一匹だけしか呼べない僕は足手まといに……魔力操作が出来ても魔法が使えない。

ランドルフ達にとって神童と呼ばれた僕は、地べたを這い回るスライムそのものだったに違いない。

だから、僕は関係改善の為に勇者パーティーとしては荷物持ちや雑用をこなしている。時には魔物を引きつける役目もさせられ、僕の逃げ回る様を皆で楽しんでいた。

僕の無様な姿に女達の心は急激に離れて、ランドルフが総取りしていく。今となったらあんな女達はいらないけど……この時はマジで泣いた。

そして自分の能力を恨んだ。なんで僕は『勇者』じゃないんだと……