軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

新たな仲間

エスナさんの激重な、事情を聞いた。それは俺と同じように不遇を押し付けられ、迫害され続けてきた少女だった。

そのトラウマで人との接触を敏感に感じてしまい、身体が硬直してしまうというものだった。

見た目では分からないけど、暴力なんかがあったのだろう……

俺は一応、秘策があるからエスナさんを連れて、訓練に行こうとしたが……

「ルディ君、エスナさんちょと待って。この紙にサインをお願い。パーティー申請よ。リーダーは、ルディ君がしてあげてね。パーティー名は、後でも平気よ」

あっ、忘れてた。それぞれが、パーティー申請に名前を書いた。ん? エスナさんも、字が書けるんだね。村で迫害されてるって話だから、てっきり……お母さんが、学がある人だったのかな。

泣き止んだエスナさんを見ると……そうだよね。服はボロい。髪の毛や顔も汚れてる。彼女の持ち物といえば、ナイフ一本だけだね。ひょっとしたら……

「エスナさん、どこに泊まってるの?」

……? 分からないといった顔だね。

「エスナさんは、今はギルドの新人冒険者用に解放している所で寝泊まりしてますよ」

なるほどね。野宿じゃない分、マシかな……でも、あれって男女一緒だしね。放おっておけないよね。

お金ならあるから……

「俺達はパーティーを組んだんだから、一緒の宿に泊まらないかい? お金なら心配ないよ」

「えっ、ルディさん。そんな、悪いです。私なら全然平気ですから……」

「ん〜。じゃあ、リーダー命令ってことで。そんなに気になるなら、冒険者として一緒に稼いで返してくれたら良いよ」

渋っているエスナさんを引っ張り、宿屋『木漏れ日亭』にやって来た。

「ただいま〜」

「あら? ルディさん、おかえりなさい。早かったのね……お客様かしら?」

美人女将さんがいた。

「女将さん、今日からもう一部屋お願い出来ますか? 後、お風呂をいいですか?」

女将さんはビックリした顔を一瞬したが、すぐに普段のホンワカした雰囲気になった。

後ろにいるエスナさんを見ると……リラちゃんを呼んでくれた。

「はいはい、彼女のお部屋ね。お風呂も彼女かしら?」

俺が頷くと来てくれたリラちゃんが、エスナさんを引っ張りお風呂へ向かっていった。お風呂へ連れて行かれる時の、あの顔は……不安で一杯そうだった。

俺は一階の食堂で、お茶を飲みながら待っていた。

しばらくすると、エスナさんがフラフラしながら出てきた。その後をリラちゃんが、腕まくりしたまま着いてきた。

「ルディ君、お待たせ。ゴシゴシしてきたよ。エスナちゃん、お風呂始めてだって……」

やっぱり、そうだよね。この世界は、お風呂が珍しいからね。普段は布なんかを濡らして、身体を拭くのが日常だしね。一般家庭には、まず無いはず。しかもエスナさんの家は、迫害されていたなら……尚更だよね。

「うん、ありがとう」

俺はリラちゃんに、銀貨数枚を握らせた。

「こんなにいいの? ありがとう」

リラちゃんは、ご機嫌に去っていった。そこにはピカピカにリラちゃんに、磨かれたエスナさんが呆然と立っていた。その後、女将さんが……

「あら、いいわね。でも冒険者さんなら、目を隠してはダメよ。このイスに座りなさい。髪の毛を揃えてあげますよ」

言われるままにイスに座らせられ、女将さんに前髪をチョキチョキと揃えて貰っていた。

「ん〜、いいわね。可愛くなったわ。さあ、ルディ君に、可愛くなったエスナちゃんを見てもらいましょう」

「あ、えっ、えっ」

女将さんに逆らう事はせずに、俺の前にまで誘導されていた。その顔は下を向きつつ、目は上目遣い。お風呂上がりでホカホカしているので、頬も上気して赤くなっている。埃ぽかった髪も、サラサラになり耳にかける仕草がなんとなくエロいな。

「うん。エスナさん、キレイだね。見違えたよ。やっぱり、女の子は可愛くしてないとね」

「さすが、ルディ君ね。そうよ、エスナちゃん。女の子はいつも可愛くしてないとね。見てご覧なさい。ルディ君の、あのデレデレした顔。これが、女の子の武器なのよ」

「はっ、はい。頑張ります」

しかし、エスナさんは目が髪に隠れてた時には、少し思っていたけど……やっぱり美人さんだったんだね。

ちょっとラッキーっと、思ったのは内緒だよ。本当に、ちょっとだよ。

最低限の身だしなみを揃えた俺達は、迷宮都市ビギナリアの外に来ていた。そこは、最弱魔物スライムだけが生息する『スライムの丘』と呼ばれている場所があった。冒険者初心者が最初に訪れる丘だ。

ここで、しばらくはエスナさんのトラウマ克服なんかをやっていきたい。

「さあ、しばらくはここで訓練しよう。その前にエスナさんに紹介するよ。出ておいで……アオイ」

俺は帰還していたアオイを、スキル『スライム』で呼び出した。

「キュイ、キュイ」

「わぁ、ま、魔物です」

すぐにナイフを構えるエスナさん。

「あ〜、大丈夫だよ。このスライムはアオイって言って、俺の相棒だよ。一緒戦ってくれるんだよ」

「そうなんですか? 分かりました」

分かってくれたのか、ナイフを下ろしてくれた。

「そして、エスナさんにも……出ておいでアカネ」

俺達の目の前には、赤い色したレッドスライムがピョコンと出てきた。

「ピュイ、ピュイ」

そう、俺のスキル『スライム』のレベルが上がって新しくアオイの他にも、呼べるスライムが増えたんだ。それが、レッドスライムのアカネだよ。

エスナさんとアカネ……新しい仲間だね。