軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

新人冒険者が集まる街

【ある二年目の冒険者ギルド受付嬢】

サスーニア海洋国……四方を海に囲まれた島国です。この国には、数多くのダンジョンと呼ばれる不思議な空間が存在します。

そこには通常では考えられない環境が、突然現れます。それは洞窟だったり、火山地帯だったり、寒冷地だったり。環境だけでなく、魔物も多く存在する人を拒んでいるかのような空間です。

しかし、そこに果敢にチャレンジしている人種が冒険者と呼ばれる者達です。

このダンジョンは環境や魔物だけでなく、宝物や鉱物や貴重な薬草などを入手する事ができる、資源の宝庫でもあるのです。

冒険者達はこれを目的に、ダンジョンに潜り続けているのです。

そしてサスーニア海洋国では冒険者は尊敬される職業でもあり、高ランク冒険者になると貴族でなくても特権階級的な扱いになります。それこそ一般人が金・地位・名誉を得られる、職業の代表格といってもいいです。

そして、ここダンジョン都市と呼ばれているダンジョン密集地帯にある都市で、周りにある全てのダンジョンが初心者向けになのです。その為、国の初心者達はもちろん、他国からも多くの冒険者を志す若者達(一部若くない者も……)が数多く集まる都市があります。

迷宮都市ビギナリア……この地域の古い言葉で、初心者達という意味らしいです。

今年も成人したばかりの冒険者志望の若者達が、数多く集まったようです。

腕に覚えがある若者、魔法に特化した若者など……

皆が自信と希望を胸に秘めて、この迷宮都市ビギナリアに来た冒険者の卵達なのです。

この中から、明日の『英雄級』と呼ばれるSランク冒険者以上が生まれるかもしれませんね。

私も冒険者ギルド受付嬢として、有望な新人の発掘に精を出します。

この発掘で上手くいくと『英雄』の専属受付嬢の座を、手に入れられるかもしれません。

受付嬢には、専属受付嬢という制度がありまして……その方の成果によって、お給料にもボーナスなど特典があります。

しかも、稼げる冒険者さんの近くで、サポートするとは……強く逞しい冒険者さんの伴侶になる夢を抱く受付嬢も多くて、この国では受付嬢は女子のなりたい職業ランキングでは常に一位なんです。そういう私も恋を知る事に……ぽっ。

それだけではありません。私はまだ二年目の新人に近い、受付嬢です。同じ目線に立って、冒険のサポート出来るはずです。グッと両手の拳を握り、気合を入れました。

受付嬢初年度は……聞かないで下さい。

でも、負けてられません。頑張ってる冒険者さんをサポートする事こそが、私の役目なんですから……

今日も、アチラコチラから才能溢れる新人さんがやって来ました。あっちの人は強そう……あっ、先輩受付嬢に取られてしまいました。

おっ、こっちの人は魔力が溢れてる……あっ、違う先輩が。

やっと私にもと思ったら……ポーター志望の子。

ポーターとは、荷物持ちや冒険者のサポートなどをする子です。

う〜ん、今日もいないのかな……良さそうな冒険者さんは、先輩受付嬢に取られてしまいます。私がもう少し、色っぽい感じなら。私は少し、子供っぽく見えてしまいがちです。背が低いからかな? 胸はある方だと思いますが……う〜んと悩んでいたら、

「ちょっといいか?」

ありゃりゃ、お客様に気が付きませんでした。

だけど……先輩受付嬢はどうしたのかしら? 辺りを見渡すと、不敵な笑いをする先輩受付嬢達?

なんだろう? この人になにか? あっ?

そう、目の前にいる成人したてて感じの男の子。

見た目は細マッチョだけど、カワイイ顔をしてますね。でも……左腕がない?

しかも肩にはブルースライム? あれ? あんな色だっけ?

なるほど、受付嬢の間では『ハズレ』と言われてる要素がいくつかある。

この子の場合は欠損部位がある事、左腕の事ね。

それと魔物を連れている事から、テイマーだと思われる。しかも、最弱の魔物と言われるスライムだよ。

これを見た先輩受付嬢は、私の方に誘導したのでしょうね。全くもう、冒険者さんを差別するなんて。

……でも私は、なんか『ビビビッ』と来てしまいました。

この人はきっと、スゴイ冒険者さんになると思います。まだ、二年目の受付嬢ですが私の感ですよ。

この子は、他の冒険者さんにない……ん〜、なんだろう、内側にある凄みな感じ? を私は捉えたのです。まだ二年目の受付嬢ですが……

「あ〜、悪い。忙しかったか? なら別の……」

「あっ、いえ。申し訳けありませんでした。少しボーとしてました。改めまして……いらっしゃいませ。冒険者ギルドビギナリア支部へようこそ、私は受付嬢のフィオナと申します。冒険者のご登録でしょうか?」

危ない危ない。ボケッとしてました。この子も、冒険者志望なのですね。これは私にも、チャンスが来たのかも……ん? なんと……この子はギルドカードを、私に出したではないですか。

「うん、登録はやって来たから、所属の変更を頼むよ」

なんと、もう登録されてました……残念です。冒険者証を魔道具に通して確認した所。えっ、登録してからの活動はまだ無いみたい。じゃあ、私にも……チャンスが、

「……ルディ様、以上で説明終わりますが、あの……」

「あっ、そうそう。これからは、フィオナさんが俺の専属って事でいいのかな? まあ、ランクが低いウチはあまり関係ないだろうけどね。あっ、気楽に名前を呼んで下さいね」

「はいっ、おまかせ下さいませ。それではルディ君とお呼びしますね。これからルディ君の冒険者活動のサポートを、一生懸命致しますので宜しくお願いします」

私はこうして片腕のスライムを従えた、若い冒険者ルディ君との出会いをしたのでした。ちょっと素敵な出会いにワクワクしたのは内緒なのです……