軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

復讐の第一幕

故郷が魔物のスタンピードに襲われているという情報から、俺とアオイは故郷を潰すのを横取りされる形にガマン出来ずに、スタンピードに突っ込む決心をした。

現場に着くと、狼型魔物に既に荒らされ変わり果てた故郷の姿だった。顔見知りが魔物に食い漁られ、復興しかけていた畑は荒らされ、建物は破壊されていた。

戦闘音から防衛に一番適していた村長宅での持久戦になっているようで、アオイの特性を活かして村長宅に着いた。

そこにはほとんどが戦えない者と、キズついた者達だけであった。村の戦闘力として期待されていた『勇者』や周りの女達、村長一派、ウチのオヤジ達など既に逃げ出したそうだ。

しかも、火事場泥棒のような真似をして、村中の財産を根こそぎ奪って逃走したみたいだ。

そこまで堕ちたか……ヤツらにはそれなりの報いを受けさせてやるが、今はスタンピードを終わらせる為に俺は狼型魔物に相棒のアオイと突っ込んだ。

「それじゃあ、いっちょヤリますか。派手に暴れようぜ相棒。イッツ、パーティータイムってか」

「キュイ、キュイ、キュ」

フフフッ、冒険者になる前に、スタンピードに突っ込む事になるとはな。普通の冒険者でも、そんな無謀な事はやらないよね。

なにせ村人が魔物を倒したのも、二百匹位だろうからまだ千八百くらいはいる。

俺達二人対千八百匹の狼。この戦力差は泣けるぞ。

まぁ、暴れてやるさ。

「アオイ、俺達の戦力が落ちない程度に分裂体を出して、村長宅の周りに散らばって防衛してくれ。そして俺達は……」

右手にアイアンクラブの槍を装備して、左腕には剣を装備。肩の上でアオイも、触手や炎などを出して援護してくれる。それにより三百六十度、死角はない。

役割もアオイが牽制や遠距離。俺が槍での中距離、剣の短距離。

狼型魔物もたった一人に、次々と倒れる仲間達にだんだんと逃げ腰になってきている。

あー、何か考えないようにしていたけど……俺は狼型魔物に左腕が食われて、ムカついていたみたいだ。俺達から距離を取り始めた狼達に、アイアンクラブの槍を突きつけて、

「どうやら俺はお前達がキライみたいだ。この左腕をヤラれたのも狼だったから、これは八つ当たりになるけどいいよな。いや、八つ当たり決定だ」

距離をとっていた狼達に無理やり突っ込んで、槍や剣で倒していく。何で魔法を使わないかというと……自分の手で切り裂きたいじゃん。狼はキバで俺の左腕を食い千切ってくれたし、人間のキバはコレだろう。

剣と槍を交差させて、今度は歩いて近づいていく。

俺への恐怖が伝染していくのが、手に取るように分かる。最早、逃げ出すのも時間の問題だと思っていたが……

「ガルルル、ガオ」

そこに巨体の狼が現れる。毛並みが黒く大きな身体で魔力がみなぎっているのが分かる。それを見た俺は……

「アハハ、そうか。そうなんだね。キミがスタンピードの元凶だったんだね。いや〜、会いたかったよ。こんなに待ち焦がれた相手は、前世も含めて始めてだ。まるで運命を感じでしまう、俺はこの気持ちはあの感情に近いモノかも。俺のこの感情は、乙女チックに言うと恋焦がれていたよ。俺の左腕は美味かったか? クソヤロウ」

何故だろうなあの時の狼とは、体格も雰囲気も違うのに俺の左腕を食った狼だと分かった。

そして、このスタンピードを操る主だと。

魔物の進化条件などは分かっていない事が多いが、進化してもお互いが分かるとは……まさに赤い糸というものを信じたくなるな。

「ガルルル、ガオオオオ!」

そうか、そうか。中級テイマーになったからか? 少しコイツの気持ちが分かる。コイツも俺を探して、この村を襲撃したみたいだ。まあ、エサ場でもあるらしいが。何でも進化したのは、俺を食ったかららしい。

左腕一本で普通のグレイトウルフだった個体から、恐らく冒険者ギルドの魔物図鑑でみた『ヘルハウンド』と呼ばれる災害級の魔物に進化したんだろうね。

「そうかそうか、お互いをこんなにも求めていたなんて。俺達の間に、言葉なんて必要はないだろう? 分かってるさ。愛も行き過ぎると、憎しみに変わるらしいぞ。俺の復讐第一幕だ。さあ、殺し合おう」

俺は槍と剣をクロスして、構えて腰を落とす。ヘルハウンドも姿勢を低くして、前脚と後脚をバネのようにして飛び出すつもりのようだ。

災害級魔物を前に俺は鼻血が出そうな程興奮しているが、頭は逆に凄く冷静になっていく。そして強制的に身体が、ベストコンディションになっていくかのように感じる。

俺の今までの全てを持って、お前を倒してやる。強化魔法に身体強化スキルを重ね掛けして、さらに魔力を練って包んでいく。俺の独自に開発した魔力強化技術『魔装』と名付けた。

ヘルハウンドが飛び出す弾丸のように、高速スピードでそのまま突っ込んできた。俺はそれを……右に躱して、左足でヘルハウンドの腹を蹴り上げる。

ヘルハウンドは口からヨダレを出しながら、上空に打ち上がる。

俺は落下点に回り込んで、槍と剣を構える。

落下してくるヘルハウンドと俺は目が合った。この奇妙な関係も、コレで終わりだな。空中では身動き取れないだろう。

「ある意味、お前さんには感謝している部分もあるんだぜ。俺が覚醒出来たのも、お前さんのおかげかもな。だから『愛してるぜ、サヨナラだ』クソヤロウ」