軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第090話 こいつら、いい人すぎね? ★

俺達がモンスターを倒しながら進んでいくと、街道の横に看板が立ててあるのが見えた。

俺は気になったので看板に近づき、読んでみる。

【この先 1キロ先 立入禁止】

シンプルにこう書いてあった。

「もしかして、この先が禁止エリア?」

俺はヨシノさんに聞いてみる。

「そうだね。だから念のため、ここまでになる。この先は自衛隊がうようよしているし、変に怪しまれると、取り調べを受けるよ」

「噂では男女問わず、身ぐるみをはがされて調べられるんだってさ」

怖いなー。

でも、そのくらいはやるか……

もし、勝手に侵入されれば、ゲートを閉じられる可能性もあるんだし。

「そりゃ、この先は怖くて行けんな」

「そうだね。だからここで引き返す。まあ、いい時間だし、昼食にしようか」

ヨシノさんがこんな怖い所での昼食を提案してきた。

「ここで?」

「逆に安心なんだよ。ガラの悪いヤツもここでは絡んでこないし、自衛隊連中も昼時に飯を食ってるくらいだったらスルーだ」

リンさんが説明してくれる。

「じゃあ、ここで食べよう」

正直、腹減ったわ。

俺達は街道から少し逸れた平原にシートを敷き、座った。

シートはリンさんが持ってきたものだ。

俺達はシートに座ると、それぞれ昼食を食べ始める。

俺はカエデちゃんが持たしてくれた丸いおにぎりで、ヨシノさんはコンビニのパンだった。

そして、人妻さんはお弁当を持ってきていた。

「リンさんが作ったの?」

「そうだよ。どうせ旦那の分も作るしね。あんたは…………自分で握ったの?」

リンさんが箸で俺のおにぎりを指してくる。

「うんにゃ。愛妻弁当」

ぶっちゃけ、俺はおにぎりを三角に握れたりする。

「そう……」

リンさんがそっと目を逸らした。

「ちょっと聞きたいんだけどさ、自衛隊って強いん?」

俺はおにぎりを食べながら聞く。

「強いよ。個々の力もだけど、軍隊だけあって、連携とかがすごい」

「自衛隊連中はフロンティアで訓練してるしねー。まあ、ちょっと怖いけど、安心だな」

やっぱり強いんだ。

あんまりケンカを売らないようにしよ。

俺達はピクニック気分で昼ごはんを食べ、少し休憩すると、冒険を再開する。

午後からはヨシノさんの提案で来た道を引き返すことになった。

帰り道では少し街道を逸れたりしながらも3人でローテーションを組みながらモンスターを倒していく。

そして、ゲート前に戻ってきた時は時刻が4時半だった。

ゲート前には朝よりも多くの冒険者達がたむろしている。

そいつらはチラッと俺というかヨシノさんを見たが、すぐに視線を戻し、仲間達と話し始めた。

「これがここでやる場合の冒険のやり方だね。半日だったらもうちょっと手前で引き返す感じ」

ゲート前に着くと、ヨシノさんが説明してくれる。

4時半に帰ってくるあたり、ちゃんと調整してくれたようだ。

「なるほどー。いい感じの時間だね」

「何度も来てるしね」

「最初は夜になったり、3時とかの中途半端だったよな」

今日一日の流れが何回も冒険をして確立した進め方なわけか。

それを教えてくれるんだから本当に親切だわ。

絶対に金を取れると思う。

もし、払えって言われたら払うもん。

「今日はありがとうございました。勉強になりましたわ」

「いえいえ。これぐらいは普通にやるよ」

「あー、そろそろ帰ろうよ。私、スーパーに寄らなきゃだし」

リンさんは晩御飯を作らないといけないらしい。

「では、解散しようか。沖田君、今度はいつにする?」

今度か……

「またここに来るの? 俺は当分、ここでやるけど、ヨシノさんはレベルが低いんじゃない?」

「どこに来ても儲かるは儲かるからねー。今日だって、10万以上は儲けてる。十分だよ」

10万……

俺もそのぐらいを儲けたわけか。

すごいな。

「じゃあ、空いてたらまたお願いします。連絡しますんで」

「わかった。待ってるよ。じゃあ、私達は先に帰るから。君も早く帰りなよ。じゃあね」

ヨシノさんとリンさんがゲートに向かって歩き出す。

「おつかれー」

「はい、お疲れ様」

「おつかれさん」

俺は2人がゲートをくぐり、帰還するのを見送ると、カバンからステータスカードを取り出し、見てみる。

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名前 沖田ハジメ

レベル8

ジョブ 剣士

スキル

≪剣術lv6≫

≪話術lv1≫

≪挑発lv1≫

☆≪錬金術≫

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レベル8

回復ポーションlv1、性転換ポーション

眠り薬、純水

翻訳ポーション、アイテム袋

透明化ポーション、鑑定メガネ、鑑定コンタクト

回復ポーションlv2、強化ポーション(力)

強化ポーション(速)、強化ポーション(防)

オートマップ

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さすがは中級エリアだ。

1日でレベルが上がった。

俺はこれでナナポンに追いついたわけだ。

そして、新しいレシピはオートマップ。

どういうものかというと、歩いたところが自動で地図になる不思議な紙を作れるようになるらしい。

うん、いらね。

だって、フロンティアには自衛隊の人が測量した地図があるもん。

もちろん、地球にも地図はある。

ハズレだったな……

まあ、こういうこともあるだろう。

次に期待!

◆◇◆

私達はゲートをくぐると、新宿ギルドに戻ってきた。

「リン、沖田君をどう思った?」

「強いね。ハイウルフもグレートイーグルも瞬殺じゃん。さっさとBランクにすればいいのに」

確かに少なく見積もってもBランクの実力はあるだろう。

「ランクはカエデが止めているんでしょ。沖田君は少し調子に乗るところがあるし、まずは経験を積ませているって感じじゃないかな」

「彼氏を心配してる感じか? まあ、私らもだけど、最初から武術の覚えがあるヤツはそういう傾向にあるしね」

いや、私はそこまで調子に乗っていなかった。

リンは調子に乗りまくってたけど。

「他に気になることは?」

「ステータスカードを出さなかった」

リンも気付いたか……

「だよね」

私やリンがステータスカードを出すことはない。

見られるとマズいし、何より、ミレイユ街道でレベルが上がることなんてないからだ。

だが、沖田君は違う。

彼はレベル7だ。

レベル7がミレイユ街道でモンスターを倒していれば、レベルはすぐに上がる。

多分、レベル10くらいならすぐだろう。

でも、彼は今日一日、昼休みですらステータスカードを出さず、レベルを一切、確認しなかった。

普通はする。

特にルーキーはこちらが注意するくらいにステータスカードを見るものだ。

それこそ、戦闘が終わるたびにする。

「見られたくなかったってことか?」

「多分ね。でも、彼、普通にスキルを言ってるよね?」

「剣術を自慢し、挑発を危惧していたな」

そう、ステータスカードを出さないのは秘密主義なのかとも思えるが、そうなると、スキルを口に出すのはおかしい。

「サツキ姉さんかカエデが止めた?」

「そう考えるのが普通だね。ということはユニークスキル持ちの可能性が高いな」

あの強さはユニークスキルに関係したものなんだろうか?

それとも、別か……

エレノア・オーシャンに沖田君……

同時期にあの不人気ギルドに現れた2人。

偶然?

あれを使って調べるか……

「リン、明日以降も付き合ってくれない?」

「悪いけど、明日は旦那が動物園に連れていってくれる」

少しだけ……

ほんの少しだけ、イラッとした。