軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第083話 雑談

俺とヨシノさんはファミレスでチーズハンバーグを食べている。

「ねえ、あなたってなんでそんなにケチなの?」

「ケチじゃない」

「じゃあ、ここを払ってよ」

「…………え? いや、いいぞ」

めっちゃ驚いた顔をしたし……

「あなたってポーションをケチって死にそうね」

「それはない。私はフロンティアがいかに危険かをわかっている。私は武器も防具も良いやつを揃えているし、回復ポーションも絶対に用意して冒険に行く」

そういえば、この人の剣って1億超えだったな。

パーティーリーダーだし、その辺はちゃんとしているんだろう。

「ふーん、まあいいけど、めんどくさいから進んで取引をしたい相手ではないわね」

「基本的にこういう取引は別の者がやるな。今日は特別」

特別にしなくてもいいからその別の者を呼んでほしかったわ。

まあ、取引とは別に探りがあるからだろうな。

「ならいいわ。今度からはその人も呼んでちょうだい」

「そうする…………なあ、レベル2の回復ポーションは売らないのか?」

おそらく、これがメインの話題だろう。

「レベル2の回復ポーションなんて知らないわね」

「隠すな。サツキ姉さんから聞いているだろう。私は本部長の部下だ」

「ふふふ、素直な子ね」

「君に隠しても無駄だろう。なにせ魔女なんだから」

魔女ねー……

本当に魔女が定着したな。

実は魔法が使えないって言ったらどういう反応をするのだろう?

「本部長さんに伝えて。もう少し待って」

「もう少し? どれくらいだ?」

「クレアに売るって約束したの。クレア・ウォーカーって知ってるわよね?」

「ああ、アメリカのAランクだ。もう契約したのか?」

まあ、さすがにクレアは知ってるわな。

「まだ。今、彼女はアメリカに帰ってるのよ。戻ってきたら契約する」

「まだ契約してないなら先にしたい」

本契約がまだなら割り込める。

確かにそうだろう。

だが、それは企業や商人の考え方だ。

俺はそのどちらでもない。

「焦らない、焦らない。確かにまだ契約してないけど、私はクレアに売るって言ったの。私はそれを優先する。魔女は約束を守るのよ」

「どういう契約を結ぶんだ?」

「レベル2の回復ポーションを100個売る。そして、他所には売らない」

「待て…………さすがにそれは待ってくれ」

ヨシノさんが焦っているのがわかる。

「もちろん、期限を決めるわよ。ただ、そういった細かい決めごとがまだなの。その契約が終わったら本部長さんのところに行くから待ってなさいって言ってるの」

「何とか先にこっちと契約できないか?」

「しようと思ったけど、レベル2の回復ポーションを100万円ではねー…………クスクス」

「それは…………すまない。こちらのミスだ」

まあ、あんたらは関係ないだろうよ。

進藤先生が悪い。

あと、あの元上司に似た野中って男。

「あ、そうだ。私を拘束するって話はどうなったの? 全然、誰も来ないけど」

「あんな脅しをされたら拘束なんてできない。君だってわかっているだろう」

得体の知れない魔女がゲートを閉じてやるって言ってきたらねー……

「ふふ、拘束されないのなら安心だわ」

「なあ、本当にゲートを閉じることができるのか?」

できるわけねーじゃん。

「さあ? どうかしら? どうせ、あなた達も信じてはいないのでしょうけど、1パーセントでもできる可能性を残しておくわ」

可能性が1パーセントもあれば十分。

それで何もできなくなるし、動けなくなる。

エレノア・オーシャンを捕えるメリットよりもゲートが閉じられるデメリットの方が遥かに大きいのだ。

「その通りだ。アメリカからの圧力もあるし、君を拘束することはできないから黙認状態になっている。だが、それを気にしない連中もいることを忘れるな」

この前の連中のことかな?

まあ、そもそもすでにゲートを閉じられている連中からしたら関係ないし、メリット、デメリットを考えない連中もいる。

「気を付けるわー」

「随分と余裕だな……」

「ふふ、震えて怖がった方が良かった?」

「君、誰かさんに似てるな」

誰かさんって沖田君かな?

沖田君はもうイキってないぞ!

「さぞ、美人なんでしょうね」

「美人ではないな…………普通の……普通? うん、普通の男だ」

言い淀むなや!

絶対に良い意味じゃないだろ!

悪口だろ!

「ふーん、まあいいわ」

「なあ、これからどうする気だ?」

ヨシノさんはチーズハンバーグを食べ終えたようでフォークを皿に置く。

「これからとは?」

「冒険者を続けるのか?」

「当たり前じゃない」

「ダイアナ鉱山か?」

さすがに本部長の子飼いなだけあって詳しいな。

「そこはもういいかな? ねえ、いい場所を知らない? 私の弟子でも行けるところ」

「弟子? 横川ナナカか?」

ナナポンのことを知っているのか……

例の誘拐事件でハリーとクレアが言ったんだな。

「ナナカさんは未成年の学生さんだから言わないでね。今度からは変装してくるから」

「変装ねー……まあ、横川のことは黙っておく。私としても女性冒険者を危険な目に遭わせるつもりはないからな」

この前の新人指導といい、やっぱりこの人はそういう女性冒険者を支援する活動もしているんだ。

「よろしく」

「でも、弟子って何だ? 横川を魔女にでもする気か?」

実は魔法が使える分、ナナポンの方がエレノアさんより魔女だったりする。

「そんなつもりはないわよ。単純にお手伝いをしてもらってるだけ。それでナナカさんが行けそうなところってどこ?」

「横川のレベルは?」

「8だったかな?」

あとちょっとで追いつく!

「ふーん……ミレイユ街道はどうだ? 昨日、沖田君にも勧めた」

やっぱりミレイユ街道になるか。