軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第200話 脅威のレベル

俺はサツキさんの部屋でアルクの迎えを待っている。

「それでどうするの? ギルドにステータスカードのことやユニークスキルのことを報告する?」

「保留だな。ギルドもユニークスキルのことは把握しているだろうが、現状は各支部が隠しているから黙認状態だ。多分、ユニークスキルを使った犯罪が明るみに出てきた時にその話が出てくるだろう。その時にしれっと報告かな」

しれっとね……

「将来的にはステータスカードを取り上げかー。レベルとかスキルを把握できないのは痛いわね」

「まあ、その辺は後の世代のことだ。お前は関係ない」

それもそうだ。

もし、俺がステータスカードを管理される時代に冒険者になってたらどうなっていたんだろうか?

「そういえば、冒険者を引退したらステータスカードはどうなるの? 個人で持つのはダメよね?」

確かそうだった気がする。

俺とナナポンは普通に持ってるけど。

「ダメだな。引退の場合は破棄かギルド預かりになる」

「選べるの?」

「ああ。復帰するかもしれない人間はギルド預かりを選ぶな。絶対に復帰しないと決めた人間は破棄する」

んー?

「皆、ギルド預かりを選ばない?」

俺ならそうする。

何があるかわからんし。

「まあ、基本的にはそうする。だが、後ろ髪を引かれないようにと考えて破棄する人間は意外といる。カエデもそうだ」

カエデちゃんのステータスカードはもうないのか……

まあ、TSポーションを飲ませればまた出てくるけど。

「サツキさんは?」

「私はまだあるな。復帰する気もないが、記念に持っておこうと思って。たまに自分のステータスカードを眺めたりする。私、頑張ったなーって」

ああ……この人は管理する側の人間だからか。

「フロンティアで落としたって言って、持っておこうかしら?」

「良いんじゃないか? 実際、そういうヤツもいるだろ」

そうしようかな。

剣術レベル6を見て、ニヤニヤしよう。

俺とサツキさんがそのまま1時間くらい話していると、急にアルクが現れた。

俺とサツキさんはアルクが急に現れたことでビクッとする。

「戻ったよ」

アルクは悪びれもなくそう言い、ソファーに座った。

「あんた、急に現れないでよ。ビックリしたじゃない」

「そう言われても困るよ。転移前に念話で声をかけることもあるけど、君らは使えないし」

部屋の前に転移して、ノックしろよ。

サツキさんが鼻をほじってたらどうすんだよ。

「まあいいわ。それにしても結構な時間がかかったわね」

アルクとヨシノさんがここを出て1時間以上が経っている。

ここから家まではそんなに遠くないはずだ。

「君の奥さんだっけ? カエデに説明してたんだよ。軽くパニックだったもん。先輩がテレビでアホなことを言ってるーって……」

誰がアホじゃい。

説明してなかったとはいえ、言いすぎ。

「あなたのことも説明した?」

「あらかたはしたよ。例のオークションのことは君の独断だから知らないって言ったけど」

そこはフォローしとけよ。

「気が利かない子ねー」

「そこは自分でしなよ。奥さんでしょ?」

奥さんじゃねーっての。

まだ……

「あなた、そんなんじゃ立派な魔女になれないわよ?」

「なる気ないけど!? なんでそんなことになってんの!?」

「アルク、あなたはさっき私の弟子になったのよ」

「いつの間に!? 絶対に嫌だよ! 君、ロクでもない人間の代表格じゃん!」

同じ挑発持ちのくせに失礼なヤツだな。

「これは決定事項なの。あなたは私のために転移を使えばいいの。ジュースあげたでしょ」

「安っす……君だってお菓子をバカ食いしたくせに」

「うるさいわねー。あなたの彼女さんを男にしてやるわよ。そして、あんたを王妃様にするわよ」

「……………………」

悩んじゃった…………

「うーん……」

それもありだなって顔してるし……

こいつ、業が深いわ。

「TSポーションはいくらでもあげるからお幸せに。家に帰りましょう」

「そうだね。カエデが早く先輩を連れてきてって言ってたし」

説明を求めてるな…………

「サツキさん、私は帰るわ」

「ん。そうしろ。私も帰る、昨日はここに泊まりだったからな」

あー、俺らのせいだ。

「ごめんなさいね」

「構わん。おかげでウハウハだ。最後のオークションは絶対に成功させるぞ」

さすがは金の亡者……

「そうね。頑張りましょう。じゃあ、また…………弟子、転移を」

「弟子じゃないってば。君に足りないのは敬意だね。僕、王族だよ? 不敬罪って知ってる?」

前にもカエデちゃんに似たようなことを言われた気がする。

雑魚ヨシノさんをバカにしてた時だ。

「あなたに言われると腹立つわ。あなた、挑発レベルいくつよ?」

「6」

うわー……

こいつ、マジでやべー……

ナチュラル畜生だ。

こんなのが次の王かよ……

フロンティア、終わったな。

「アルクさん、転移をお願いします」

「えー…………何その反応? 君は何レベルなの?」

「3」

本当はご……4だけど。

「……………………」

アルクは俺の答えを聞くと、真顔になり、無言で手をかざした。

そして、俺の視界が真っ白になった。

◆◇◆

視界が晴れると、懐かしき我が家のリビングに到着していた。

「あ、先輩! あなた、何をしてるんですか!?」

テーブルに座っていたカエデちゃんが立ち上がると、俺に迫ってくる。

「最後の金儲け」

「いや、やりすぎでしょ! 会見の中継を見てて、びっくりしましたよ! 煽るわ、魔法を使うわ、しまいにはフロンティアのエリアを売るって何ですか!? 何も聞いていませんけど!」

カエデちゃんが早口でまくし立ててきた。

「俺だって、皆で相談するつもりだったよ。でも、フロンティアから帰ったら急に記者会見なんだもん」

「それでチャンスだって思ったんですね……」

「そうそう。まあ、これから色々と詰めていくよ。それでヨシノさんが本部長の所に出かけたからちょっとアルクを預かるわ」

俺がそう言って、いつの間にかソファーに移動していたアルクを見ると、カエデちゃんもアルクを見る。

すると、アルクが俺達を見てきた。

「終わった? カエデさー、さっきの飲み物をちょうだいよ。あれ、甘くて美味しい」

さすがはアルクだ。

マイペースすぎる。

「あ、うん。ちょっと待ってね」

カエデちゃんはそう言うと、キッチンに行ってしまった。

俺はお客様対応をカエデちゃんに任せ、アルクの隣に座る。

「さっきの飲み物って?」

「ココア。めっちゃ美味しい。お湯に溶かすだけなんでしょ? おみやげに買って帰る」

ココアか……

まあ、美味しいわな。

「コーヒーは?」

「コーヒーって、あの苦いやつでしょ。ヨシノが飲んでたから一口もらったけど、めっちゃ不味い。何あれ?」

まあ、コーヒーはビールと一緒で慣れが必要だからなー。

ましてや、子供のアルクには無理だろう。

「大人の飲み物よ。一応、砂糖やミルクを入れると美味しい。お父さんに買って帰ってあげなさい」

あの人はビールを美味しそうに飲んでたし、いけるだろう。

「ふーん。じゃあ、そうするか。色々と買ってこいって言われてるし」

「色々? ビールだけじゃないの?」

「他にもお酒とか便利そうなものがあったら買ってこいだってさ」

あの人、偉そうにアルクの知見を深めるためとか言ってたけど、本当におみやげ目的な気がしてくるわ。

「まあいいんじゃない? あとで店とかに連れていってあげるわよ」

「そうして。車から君達の街並みを見たけど、すごいね。建物がびっしりだよ。窮屈じゃないの?」

「日本は小さな島国なのよ。その中に人がいっぱい住んでいるからこんな街になったの。あなたや他の国々は窮屈に思うでしょうね」

フロンティアの街並みを知らないが、人口が減って、土地が余っている状態らしいから広々としていると予想がつく。

「だからあんなに高い建物が多いのか…………横に広げられないから上に広げたわけだ」

「そういうことね」

「世界が変わると土地の使い方も変わるんだね。ところで、君は僕としゃべる時はその口調だけど、カエデには変わるね」

「俺、男だもん。普通はあっち。ここ家だぞ。家でも女は嫌だわ。今はお前が混乱しないようにしているだけ」

俺は沖田君モードで答えた。

「戻んないの?」

「戻りたいけど、その前にお前の姉弟子に電話をせねばならん」

実は結構前からエレノアさんのスマホに着信やメッセージが届きまくっている。

相手はもちろん、ナナポンだ。

ナナポンも中継を見ていたっぽい。

「姉弟子?」

「そうそう。ちょっと待ってなさい。今から電話するから」

俺はスマホを取り出し、ナナポンに電話をかけることにした。