軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第75話 ルーア達の家

シッドさんが別荘にやってきてから10日目の夕方。

作業が終わる日と豪語していた10日目であり、シッドさんは本当にこの10日で家を建ててみせた。

「佐藤さん、約束通り家を建てたぞ」

「本当に10日で建ててしまったんですね……! 本当にありがとうございます」

「礼を言うのはこっちだ。本当に良いものを譲ってもらったし、通っていた10日間は毎日充電をさせてもらったからな」

「充電くらい構いませんよ。遠慮せずにいつでも来てくださいね」

「ああ、充電が切れたら必ず来させてもらう。最後に家の確認だけしてくれ。細かい調整が必要ならその場でしちまうからよ」

「分かりました。見させて頂きます」

この家に住むのはルーアさん、ポーシャさん、ロイスさんの3人のため、3人と一緒に新しく建ててもらった平屋へと向かった。

ちなみにルーアさん達はしっかりと戦力になってくれており、今は当初の予定通り普通の畑を担当してくれている。

摘芽や選定、害虫の駆除はスキルの畑と同じなんだけど、土作りに雑草の除去は耕した畑のみで行われる作業。

作業が多いのにも関わらず、育つのに時間が

かかるため、どれだけスキルの畑が優れているのかを今更ながら実感させられている。

それでいてNPにも換えることができ、そのNPでいつでも好きなときに即時届く買い物ができるのだから、思っていた以上にチートスキルなのかもしれない。

……と、話が脱線してしまったけど、とにかくルーアさん達は頑張ってくれており、元冒険者ながら順応してくれている。

僅かなお給料しかあげられていないのが申し訳ないが、そろそろルーアさん達にも日本の料理を振る舞ってあげてもいいかもしれない。

「凄いな。私達のためにこんな立派な家を建ててくれたのか」

「ルーアさん達は頑張ってくれていますからね。こちらの平屋は3人で自由に使ってくれて構いません」

「佐藤さん、本当にありがとうございます」

「死ぬまで頑張らせて頂きます」

「死ぬまで頑張るなんて絶対にやめてください。人生なんて、ほどほどに楽しくやっていきましょう」

確かに労働は大事だけど、自分の命よりも大事なことなんてほとんどない。

働きすぎで身も心も壊したことがあるため、私のモットーは楽しく生きる――だ。

そのため、3人にも気負わずに楽しんでもらいたい。

「それから家を建てましたが、いつでも出て行ってもらって構いません。別の誰かが使えますし、家を建てたからといって重荷には考えず、他にやりたいことが出来たらいつでも出て構いませんのてわ」

「本当に佐藤は聖人君子だな。ポーシャと同じく、私も忠義を尽くしたくなってしまった」

「聖人なんかではなく普通です。それに、忠義なんて本当にいりませんからね」

ルーアさんは大袈裟なことを言っているし、ポーシャさんとロイスさんは目をうるうるとさせている。

本当に当たり前のことを言っているだけのはずなんだけどなぁ。

「……良い話だとは思うが、そろそろ家の中をみてもらっていいか?」

「あっ、シッドさんすみません。ルーアさん、ポーシャさん、ロイスさん。家の中を見て、何か気になる点があったらシッドさんに遠慮なく言ってください。すぐに直せるものなら直してくれるみたいなので」

「ああ、分かった。気になるところがあったら、遠慮なく言わせてもらうよ」

それから家の中に入り、じっくりと観察したのだけど……10日で建てたとは思えないほどしっかりとした造りになっていた。

上棟もしっかりと組まれているし、基礎部分もコンクリートじゃないとはいえ、しっかりと造られている。

これを10日、それも4人だけでやってしまうのだから、シッドさんが一流の大工なのもあるだろうけど、魔法は凄いものなのだと改めて思い知らされた。

「風も一切通っていないし、外から見たよりも中が広い。気になる点なんか1つもないな……」

「本当ですね。急務とは思えない仕上がりです」

「そう言ってもらえて良かった。川が近いから水も引っ張ってこれたし、トイレも風呂も水道もある。1つ弱点なのは耐寒性には優れていないことだな」

耐寒については大丈夫だろう。

ストーブを購入すればいいし、そもそも冬季はここにいる可能性が低い。

ルーアさん達は冒険者ということだし、冬の期間はダンジョンに潜ってもらおうと考えているからね。

シーラさんチームとルーアさんチームに別れて攻略すれば、稼げる額も倍になる上、冒険者の頃に味わえなかった冒険者としての楽しさもきっと味わうことができるはず。

「耐寒性についてはこちらで何とかします。シッドさん、完璧なお仕事ありがとうございました」

「喜んでもらえて何よりだ。また何かあれば言ってくれ。あと4棟は無償で建てるからよ」

「はい。よろしくお願いします」

シッドさん達にしっかりとお礼を伝えてから、馬車に乗って去って行くのを見送った。

仕事を引き受けてくれたシッドさんはもちろん、シッドさんを紹介してくれたロッゾさんにも感謝をしなくてはいけない。

「佐藤、家まで建ててくれて本当にありがとう。この恩に報いるために働かせてもらう」

「「ありがとうございます」」

「いえいえ。働いてはもらいますが、楽しみながら気楽にいきましょう」

私は3人にそう声を掛けてから、別荘に戻ることにした。

DVDプレーヤー、DVD、ソーラー発電機を購入して、最近NPを使い込んでしまっているんだけど、せっかく家も建ったことだし、明日は3人の歓迎会を開くことにしよう。

ルーアさん、ポーシャさん、ロイスさんの3人には、まだ日本料理を振舞ったことがないからきっと喜んでくれるはず。

私は3人の反応を今から楽しみにしつつ、シーラさんの待つ別荘に戻ったのだった。