軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第478話 忘れん坊

縁日が無事に終了してから五日が経過した。

いつもの日常へと戻り、平和に過ごしていたいところだけど、やらねばならないことがたくさんある。

新しい宿のこともそうだし、そろそろ獣魔も増やしたい。

漫画の経過報告も聞きに行きたいし、ヴェレスさんが言っていた嫌な予感というのも気になる。

ただ、まず最優先で推し進めるべきは、リザードマン族の処遇についてだ。

ここからどうするかをジャバルさんに託したものの、縁日を挟んだこともあって結構な日にちが経ってしまっている。

さすがにそろそろ方針も決まっただろうし、リザードマン族のもとへ向かいたい。

ということで、縁日のときに巨人族の村に行くことをヤトさんと約束しており、そろそろやってくる頃合いなんだけど……。

「おーい! 佐藤、遊びに来たのじゃー!」

噂をすれば何とやら。

タイミングよくヤトさんが遊びに来てくれた。

「ヤトさん、約束通り来てくれたんですね」

「ん? 約束……?」

ドラゴンの状態から人間の姿になって駆け寄ってきたヤトさんは、可愛らしく小首を傾げている。

てっきり巨人族の村に行ってくれるために来てくれたのかと思っていたけど、約束を忘れていて単純に遊びに来た様子。

先ほどの発言を思い返したら、「遊びに来た」とハッキリ言っていたもんね。

色々と言いたいことはあるものの、まぁ来てくれたのなら特に問題はない。

「もしかして、お嬢様は佐藤さんと何か約束をしていたんですか?」

今日はついてきていたアシュロスさんが、少し申し訳なさそうな表情でそう尋ねてきた。

私がヤトさんとしか話していなかったのも悪いため、アシュロスさんには申し訳なさそうにしないでほしい。

「していたのですが、ちゃんと来てくれたので問題ないですよ。そろそろリザードマン族との話し合いをしないといけないので、巨人族の村に行きたいという話をしていたんです」

「おお! そう言えばそんな話をしておったのじゃ! お祭りが楽しくて、すっかり忘れてしまっていたのじゃ!」

ヤトさんはワハハと楽しそうに笑っている中、アシュロスさんはすごい顔でヤトさんを見ている。

「佐藤さん、お嬢様が本当に申し訳ございません」

「アシュロスさんが謝る必要はないですよ。何度も言いますが、事前にする準備などもありませんし、何も問題ありませんので。その代わり、巨人族の村まで送ってもらえますか?」

「ええー! ここで遊べないのー?」

「お嬢様!」

「うぅ……。分かっておる! 送ればいいんじゃな!」

何故か投げやりになっているものの、送ってくれることを約束してくれた。

一悶着あったものの、無事に巨人族の村まで行くことはできそうだ。

そして、身支度を整えてから、すぐに巨人族の村に向けて出発した。

ヤトさんの荒い飛行にも大分慣れてきており、人間の順応能力の高さには驚かされる。

「ふぅー、着いたのじゃ! 早いところ話を終わらせて、村で佐藤と遊ぶのじゃー!」

ヤトさんはガオーという感じの動作をしながら、そう吠えている。

アシュロスさんはジト目で、私は苦笑しながら横目で見つつ、とりあえずゴさんのもとへと向かった。

「おっ! 佐藤さんにヤト様、アシュロスさんじゃねぇか! 佐藤さんのとこの祭りは最高だったぜ! ここをあまり離れないから知らなかったが、人間のとこの祭りはあんなに凄いんだな!」

「それは違うのじゃ! 佐藤のとこが特別なのじゃ!」

「そうだったのか……? 農業の知恵を教えてもらった時から理解していたつもりだったが、佐藤さんは俺なんかの想像よりも遥かに凄い人なんだな!」

「ふふん、今更分かるなんて遅すぎるのじゃ!」

何故かヤトさんが胸を張っている。

人間状態では、ゴさんの方が倍くらい大きいため、見上げる形になっているのがちょっと面白い。

「お祭りを楽しんでもらえたのなら良かったです。ただ、今日は別件で訪ねてきまして……」

「リザードマン族のことだろう? 俺たちも待っていたからな! 佐藤さんの指示次第で、いつでも全員でリザードマン族のところへ行けるぜ!」

「ありがとうございます。ちなみに、この間に変わった動きはありましたか?」

「いいや、全くねぇな! ティーブレイクにも姿を見せていないし、食料は大丈夫なのかとこっちが心配になるくらいだったぜ!」

どうやら村の中から出ていない様子。

反逆の意思もなさそうなことからも、早いところ行ってあげた方がよさそうだ。

「なるほど。なら、すぐにでも向かった方がよさそうですね。私の方はいつでも向かえますので、ゴさんたちには念のための護衛をお願いしてもよろしいですか?」

「もちろんだ! すぐに人を集めてくるから待っていてくれ!」

ゴさんは両手で力こぶを作ってから、走ってみんなを呼びに行ってくれた。

襲われる可能性も少なからずあるため、リザードマン族との話し合いは緊張するものの、ゴさんたちがいてくれるのは本当に心強い。

私はヤトさんとアシュロスさんと話しながら、ゴさんたちが戻ってくるのを待ったのだった。