軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第477話 アンコール

それから障害物レースに、お神輿力自慢比べ。

そして、子供たちのみを集めた子供神輿も行われ、今年からの新しい試みであるお神輿は大盛況のうちに幕を閉じた。

私自身、学生時代を最後に、あまりお祭りには行っていなかったため、お神輿が成功するのか不安だったものの……。

やはり歴史として紡がれてきた理由がよく分かる盛り上がりだった。

来年以降も行うとしても、この盛り上がりなら問題なさそうだと思う。

そして少しの休憩の後、お祭りの一番の目玉でもある花火が打ち上がる。

昨日のリハーサルでは打ち上げた数が少なかったのに、しっかりと魅了されたからね。

今日はどんな感じに仕上がるのか、今からワクワクしてしまう。

広場から別荘へと戻ってきた私たちは、店番をしてくれていたヴェレスさんに特製かき氷を作ってから、お客さんにかき氷を売りまくった。

そして、日が落ち始めたタイミングで――サムさんのアナウンスが入る。

「お待たせした。これから縁日のフィナーレを飾る花火を打ち上げさせてもらう。ぜひ楽しんでくれ!」

去年参加してくれた方たちからの歓声がありつつ、一発目の特大花火が打ち上げられた。

初めて見る方の心も鷲掴みにする一発のあと、連続で夜空に無数の花火が打ち上がる。

縁日に参加している全ての人が、空を見上げながら楽しんでくれている。

私はそんな光景も楽しみつつ、自分用に作ったかき氷も食べながら、花火も心から楽しませてもらう。

日本の花火ももちろん凄かったが、異世界での花火も負けていない。

高い建物がなく、広大な平原に打ち上げられる花火の見やすさは段違いだし、空気が澄んでいるからか綺麗に映るからね。

あっという間に時が過ぎていき、怒涛の三十連発を最後に花火の打ち上げが終わってしまった。

お客さんからは盛大な拍手が送られているけど……終わったのはあくまでも通常の花火。

そのことを知っている、昨日のリハーサルに参加してくれたみんなが、口々にアンコールの声を上げ始めた。

追加がないときのアンコールほど焦るものはないけど、今回はさらに凄い花火が控えていることもあり、アンコールでの盛り上げはありがたい。

自演のような形になってしまうけど、私自身もアンコールの声を飛ばし、観客たちの声を煽っていく。

次第にアンコールの声が伝播し、大合唱になったところで――ロッゾさん特製の魔法花火が打ち上げられた。

豪火球のような大きな火の玉が空まで上がり、大爆発を起こすと、ひまわりのような雷撃が花を咲かせた。

雷のひまわりの圧巻さに、無意識に拍手をしてしまう。

「昨日の魔法花火も凄かったですが、今日のも圧巻ですね!」

「本当に凄いです。これだけでお金を取れるクオリティですよ」

この花火だけでも、有料分の元は取らせてあげることができた。

そう思えるほどの素晴らしい出来映え。

そこからも次々に魔法花火が打ち上がり、予想のできない魔法のギミックに驚かされっぱなしだった。

お客さんたちも先ほど以上にキラキラした目で空を見上げており、今年の縁日も大成功で締めくくることができたと思う。

魔法花火でフィナーレを飾ったあと、馬車を出して全てのお客さんを無事に帰すことができた。

本当は『サトゥーイン』での宿泊プランも考えていたんだけど、人手不足でもてなすことが絶対にできなかっただろうし、開催を見送ったのは正解だったな。

「片付けると一気にいつもの日常が戻ったみたいになりますね。寂しくもありつつ、ホッとする不思議な感情です」

「分かります。非日常から日常に戻るときは、毎回その感情になります」

シーラさんと元通りの別荘近辺を見渡していると、片付けを終えて帰りの支度をしているサムさんたちが見えた。

今回のMVPはさすがにロッゾさんとシッドさんだけど、例年同様、サムさんには全てにおいて助けてもらった。

「サムさん、今年もありがとうございました。おかげさまで去年を超える縁日にすることができました」

「礼を言うのは私の方さ。今年も素晴らしい興行に携わらせてもらえて光栄だよ」

爽やかな笑顔で差し出された手を、私は間髪置かずに握る。

成功した後の握手は格別に気持ちがいいなぁ。

「ということで、今年も臨時ボーナスを出させていただきます。有料+売上も凄まじかったので、去年以上のボーナスを用意させてもらいました」

「「「うおおおおおーーー!!!」」」

サムさんは苦い顔をしているんだけど、後ろにいる屋台を手伝ってくれたおじさんたちは雄叫びを上げて喜んでくれている。

やはり誠意はお金で見せないとね。

「佐藤さん、本当にいらないんだぞ? 既に充分な報酬はもらっているからな」

「報酬以上の頑張りをしてくれましたからね。どうか来年もよろしくお願いします」

「もちろんだ! 佐藤さんのためなら、祭り以外でも手伝うからよ!」

「その通り! 俺らのことはいつでも頼ってくれ!」

「来年の祭りでは絶対に呼んでくれよな!」

歓喜の言葉を受けながら、私は一人一人に金一封を手渡していく。

最後はサムさんに渡したんだけど、先ほど以上に渋い表情だ。

「サムさん、受け取ってください。次のイベントも秋にはありますから、その時にも力を貸してくれたら幸いです」

「お金をもらったら頑張らざるを得ないからな。プレッシャーが大きいんだけど……ふぅ。佐藤さんのためなら全力でやらせてもらうよ」

「はい。よろしくお願いします」

再度サムさんと固い握手を交わしてから、馬車で帰っていくサムさんたちを見送った。

これでお祭りは本当に終わりという感じであり、凄く寂しいんだけど……シーラさんが言っていたように、いつもの日常へと戻るホッとした気持ちもある、不思議な心境だ。