軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第417話 提案

宴は大盛り上がりで終わり、空き家で宿泊させてもらった翌日。

今日のうちに帰るため、帰る前にゴさんと話をしておきたい。

「ゴさん、昨日はありがとうございました。宴、すごく楽しかったです」

「おお、佐藤さん! 楽しんでくれたなら何よりだ! ただ、すまねぇな! こっちばかり盛り上がっちまってよ!」

「そんなことありませんよ。見ているだけでも楽しかったです」

宴では催し物の一環として腕相撲大会が行われた。

全員参加ということで参加だけはしたものの、私はもちろん1回戦敗退。

それも瞬殺という、楽しむ暇すら与えてもらえなかった。

参加者としては楽しめなかったものの、観客としては腕相撲大会自体は非常に面白かったからね。

「アシュロスさんとローゼさんが強かったもんな! あれは俺も見ていて興奮したぜ!」

「特にローゼさんがすごかったです。倍くらい大きな男性を倒していましたもんね」

「ローゼに負けた奴らは、ずっと落ち込んでいたぜ! いいお灸にもなったし、感謝しかねぇな!」

ローゼさん曰く、スタートと同時に倒し切る瞬発力勝負を仕掛けることで勝てたみたいで、アシュロスさんとローゼさんは共に三回戦まで進出していた。

ヤトさんは私と同じく一回負けで、決勝戦は指揮官決めの大会で優勝したボさん対村長のゴさんで、ゴさんの瞬殺だった。

「それにしてもゴさんはすごかったですね。ボさんもパワーは他の方と比べても頭一つ抜けていた気がしましたが、軽く倒していましたもんね」

「軽く倒したように見せただけだ! フルパワーで倒しにいった結果だぜ!」

「それでも優勝はすごいです」

「ボには疲れもあったからな! 運だぜ、運!」

ゴさんは謙遜しているものの、一ひねりしているのはかっこよかった。

ギナワノスのコロッセウムの支配人ではないけど、単純に力が強いというのはやはりワクワクする。

「佐藤さんは褒めすぎだっての! んで、出発前に何をしに来たんだよ! 褒めに来たってだけじゃねぇんだろ?」

照れるように話題を変えてきたゴさん。

私としては、もう少し腕相撲大会の話をしてもよかったんだけど……。

出発までの時間も限られているし、本題に入らせてもらおう。

「もう少し話したいところですが、本題に入らせていただきますね。ゴさん、いきなりなんですが……農業をやってみませんか?」

「ん? 農業? 野菜とか木の実を育てるってやつか?」

「そうです。巨人族の村は食糧難に喘いでいると聞きまして、農業の提案をさせてもらいに来ました」

私は自信満々に提案したんだけど、ゴさんはいまいちピンと来ていないようで、渋い顔をしている。

「そんな難しいこと、俺たちにできんのか? 自慢じゃねぇが、俺たちは超が付くほど不器用だぜ?」

「器用さは関係ないと思っています。どちらかというと、力の方が大事だと思いますので、向いていると思いました」

「そ、そうなのか? 本当によくわからねぇんだが、俺たちでもできるのか?」

「はい。私たちのところは自給自足ができていますし、私たちから農業を習った龍、龍人族の方々も成功しています」

その言葉にピンと来たようで、ゴさんは手のひらを拳で叩いた。

「ヤト様が食料に余裕があるって言っていたのはそういうことだったのか! 確かに思い返してみれば、エデルギウス山に畑がいくつもあった!」

「やってみれば案外成功するものですし、ここにはティーブレイクという水源もありますからね。農業をやるにはもってこいの土地だと思います」

魔王の領土のように、痩せ切った土地なうえに環境も厳しかったら、安易に勧めることはできないんだけど、この辺りは農業に適したいい場所。

女性陣が器用なことは生地から分かっているし、労力もしっかりとあるからね。

「自分たちで食料を生み出す……。そ、そんなことが可能なのかよ! 考えたこともなかったぜ!」

「それで、どうでしょうか? ゴさんが乗り気なのであれば、農業のイロハを私が教えます。色々とお世話になりましたからね」

「い、いいのか? もちろん教えてくれ!」

ゴさんに両手をがっちり掴まれ、思い切りブンブンと振り回される。

あまりのパワーに吹っ飛ぶかと思ったものの、その力から心から乗り気であることも分かって嬉しい。

「分かりました。それではゴさんに農業のイロハを伝授しますね。百聞は一見にしかずと言いますし……まずは私たちの畑を見てもらうのが早いと思いますので、都合の良いタイミングで遊びに来てくれますか?」

「俺が佐藤さんの村へ遊びに行ってもいいのか? 佐藤さん、色々とすまねぇな!」

「こちらもお世話になりましたので。フィーロモスの生地、ありがとうございました」

「やっぱりヤト様の親友になれるだけあるぜ! 佐藤さんとは長い付き合いにしていきたい!」

「そう言ってもらえて光栄です」

私はゴさんと握手を交わし、約束も取り付けた。

本当に来るかどうかは分からないけど、ゴさんがやってきた時は農業の知識を全て教えてあげよう。

そう心の中で決意し、私はヤトさんの背に乗って、巨人族の村を後にしたのだった。