軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第306話 大賑わい

シャノンさんの他にも、蓮さんたちやベルベットさん、フリースさんやハリー君なんかも遊びに来てくれたが、会話はほとんどできなかった。

せっかくだし、ゆっくり話したかったところだけど、この大賑わいでは仕方のないこと。

来場数は想定以上で、第2陣が乗ってきた馬車で第1陣には帰ってもらうということをしなければ、とんでもないことになっていた。

もっと遊びたいと言ってくれた子供たちが多かったので、かなり心苦しかったけどね。

「佐藤さん、お疲れ様です。今は休憩ですか?」

「シーラさんもお疲れ様です。今は休憩中です。作り置きしてあるたこ焼きを、私の代わりにジョエル君が売ってくれているんですよ」

「なるほど。それじゃすぐに戻らないといけないんですね」

「花火をそろそろ打ち上げるので、そこの確認を行ったらすぐに戻らないといけません。……どうかしましたか?」

シーラさんは頬を膨らませており、何か不満があったのだろうか?

「いえ……。佐藤さんと一緒に回りたかったなと思っていただけです。昨日のリハーサルも私たちは作り手でしたからね」

「確かに、今回はずっと作る側でしたね。シーラさんにも負担を強いてしまってすみません」

「いえいえ! 楽しいので謝られるのは違います。私があるのは、佐藤さんと一緒に見て回りたかったという不満だけですから」

キッパリとそう言ってくれたシーラさん。

照れくささもあるけれど、真正面から伝えてもらうのは嬉しい。

「ありがとうございます。私もできるならシーラさんと回りたかったですね。まだ終わっていないので早計かもしれませんが、来年の目標はもう少し余裕を持たせることですかね?」

「ですね。私たちも楽しめる側に回れる工夫をしましょう。来年は佐藤さんと一緒に回るのを楽しみにしています」

「私も楽しみにしています」

来場数も不明だったことから、今年は1日だけの開催だったけど、来年は数日に渡って開催してもいいかもしれない。

私たちが楽できる施策はもちろん、来てくれる方たちもゆっくり楽しんでもらえるようになるしね。

私は早くも来年のことを考えつつ、シーラさんと別れて花火を打ち上げる場所へと向かった。

お祭りの賑わいとはかけ離れた場所で、せっせと花火の準備をしてくれている人たちが見える。

ここの中心人物はロッゾさんとシッドさん。

2人とも甚平姿で、イカ焼きを片手に指示を飛ばしている。

Theジャパニーズスタイルだけど、やけに甚平が似合っているな。

普段の服よりもかっこよく見える。

「ロッゾさん、シッドさん。花火の調子はどうですか?」

「おう、佐藤さん! こっちは万全だぜ! いつでも打ち上げられる!」

「試し打ちできなかったのは少し怖いが、まぁ大丈夫だと思うぜ」

「それなら良かったです。お祭りを楽しませてあげられず、すみません」

「いやいや! 昨日、十分に楽しんだからな! 花火も面白いし、この服もめちゃくちゃいいから何一つ不満はねぇよ!」

「俺らも花火がどう上がるのかワクワクしてるんだわ。佐藤さんも向こうから楽しんでくれ」

「はい。よろしくお願いします」

ロッゾさんとシッドさんのことだし、一切心配はしていなかったけど、改めて問題ないと分かって良かった。

これ以上の滞在は邪魔になるだけだし、私はすぐに離れて自分にできることをやる。

ということで、ジョエル君に任せているたこ焼き売り場に急いで戻ろう。

留守にしていた時間は15分ほどだったんだけど、積み上がっていたたこ焼きのパックがもうなくなりかけている。

ジョエル君が不安そうにキョロキョロしながら、たこ焼きを売っているのが見えた。

私を見つけると満面の笑みを浮かべ、両手を使って呼んでいる。

「佐藤さん! たこ焼きの在庫がなくなるんじゃないかと不安でしたよ! なくなる前に戻ってきてくれて良かったです!」

「焦らせてしまってすみません。店番を代わっていただき、ありがとうございました」

「いえいえ! それにしてもすごい売れ行きですね! 10分ちょっとしか店番をしていませんが、もうヘロヘロですよ!」

「大変ですが、ありがたい限りです。もっと売らないとーー」

そう言葉を発したところで、大きな音と共に空に花火が打ち上がった。

綺麗で大きな花火であり、屋台に夢中だった人たちが空を見上げて声を上げた。

市販の花火とは別次元の、本物の打ち上げ花火。

音も、その光景も、花火を知っている私にも衝撃的で、思わず感動してしまう。

「うわー! すっごい! あれが花火ですか! 迫力満点で綺麗ですねー!」

「ええ、本当にすごいです」

ジョエル君と感想を言い合いながら、私はお客さんたちと一緒に花火を楽しんだ。

屋台をバックに空に打ち上げる花火は日本の光景そのもので、縁日を開催して本当に良かったと心の底から思ったのだった。