軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第258話 交渉

アス君を見送ってから、数日も経たないうちにミラグロスさんがやってきた。

大きな袋を持っており、サツマイモと交換するための鉱石類を持ってきてくれたのかもしれない。

「ミラグロスさん、いらっしゃいませ。あの後は大丈夫でしたか?」

「ん。アスは逆に元気になっていたくらいだから、全部佐藤さんが保護してくれたおかげ」

「それは良かったです。変な時間にやってきたので、保護できて本当に良かったです」

「本当にごめんなさい。厳重にしていたつもりだったけど、管理が甘かったと思う。……あっ、そうだ。これ、アスの両親からのお礼」

そう言って、大きな袋を差し出してきたミラグロスさん。

サツマイモと交換するための鉱石類かと思ったけど、アス君を保護したことへのお礼の品だったんだ。

「ありがとうございます。こんなにいただくほどのことはしていないんですけど……ありがたく頂戴します」

「アスがずっとここのことを話しているからね。最近は佐藤さんのところに行きたいってうるさいし、余程楽しかったんだと思う。こちらこそありがとう」

お互いに頭を下げ合いながら、私は大きな袋を受け取った。

中身は鉱石っぽいけど、この間持ってきてくれたものだろうか。

「ミラグロスさん、この袋に入っているのは鉱石ですか?」

「ううん。佐藤さんが欲しいって言っていた魔力塊。家族総出で魔物を狩って集めた」

「そうだったんですか。こんなに大量の魔力塊をありがとうございます」

「ううん。鉱石は何が欲しいのか聞いていなかったから、今回訪ねたときに聞こうと思ってる。……ロッゾさんは試し終えたかな?」

「分かりませんが、多分試し終えたと思います。後でロッゾさんのところにも行きましょうか」

そんな会話をしてから、一度別荘に向かうことにした。

魔力塊も置きたいし、鉱石についての話をする前に、サツマイモがどうなったのかを聞いておかないといけないからね。

この感じだと、無事に育ってくれていそうだけど……。

育ったものの収穫量が少なかった場合は、別の作物を勧めないといけないかもしれない。

「ミラグロスさん。早速ですが、サツマイモがどうなったのかお聞きしてもいいですか?」

「ん。おかげさまでたくさん育った。育てた量が少なかったから、残り少なくはあるけど……たくさん育てれば、食糧難が解決するかもしれない」

「そうでしたか。それは良かったです。植える時期はもう少し後が理想的なんですが、この様子なら、すぐに次のサツマイモを育てても良さそうですね」

「ん。味も美味しいし、佐藤さんのおかげで何とかなりそう」

「こちらもホッとしています」

この報告を聞けて本当に良かった。

ちゃんと育つかどうかが不安だったし、育つと分かれば、たくさん育てることができる。

味に飽きてしまわないかが唯一の懸念点だけど、こちらの世界の食べ物に比べたら美味しいからね。

寝かせれば甘くなるし、収穫後すぐに食べればジャガイモっぽくも食べることができる。

そう考えたら、しばらくは工夫のしようがあると思う。

「すぐに次のサツマイモの種が欲しいんだけど、その話し合いをさせてもらってもいい? こちらとしては鉱石でも魔力塊でも用意できる」

「なら、ロッゾさんを呼んできた方が良さそうですね。こちらから伺おうと思ってましたが、お茶も残っているので呼んできますね」

ミラグロスさんにそう言い残し、ロッゾさんを呼んでくることにした。

ロッゾさんは自宅で作業をしており、事情を説明するとすぐに別荘まで来てくれた。

「おう! ミラグロス、久しぶりだな!」

「ん。ロッゾさん、久しぶり」

「で、鉱石がどうだったかを聞きたいんだったな! 結果から言わせてもらうと、どの鉱石も使えた! ただ、使いどころが限られている鉱石も多かったから、俺的に欲しいのはこの白い筋が入った鉱石と、オレンジ色の鉱石の2種! 他もちょっと詰めてほしいが、メインはこの2種の鉱石にしてくれたら、使いようはいくらでもあると思うぜ!」

何が良いのかまでは私には分からないけど、ロッゾさんの言うことは全面的に信用していい。

ということで、ロッゾさんが挙げた2種類の鉱石と魔力塊を主に取引してもらおう。

「ガルメンタ鉱石とショットラット鉱石の2種ね。分かった。戻り次第、集めておく」

「ミラグロスさん、よろしくお願いします。サツマイモの種に関しては、帰る際にお渡ししますのですぐに育ててください」

「えっ? こっちはまだ物を用意できていないのに、もらっていいの?」

「もちろんです。ミラグロスさんを信頼していますし、一刻も早く食糧難を解決してほしいですから」

「佐藤さんには頭が上がらない。この場所にたどり着けて本当に良かった」

「私もミラグロスさんと出会えて良かったので、その気持ちはお互い様です」

ミラグロスさんは若干涙ぐんでいる。

けっこう泣いているところは目にするけど、ミラグロスさんが泣くのは決まって食料関連。

それだけでも、本当に厳しい状況だったことがよく分かる。

「良い関係だな! 俺だけなんもせずに、良い鉱石を使えることになるがいいのか?」

「もちろんです。と言いますか、その鉱石を使って、役立つアイテムや施設を作って欲しいので、ロッゾさんが何もしないわけではありませんから」

「俺にとっちゃ、それがご褒美なんだがな! まぁ、全員が嬉しいなら良い取引だ!」

それから、アス君が食べた焼きバナナを食べてみたいという話になり、ミラグロスさんにも焼きバナナをご馳走した。

焼きバナナを食べた後は、サツマイモの種を持って、笑顔で魔王の領土へと戻っていったのだった。