軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第185話 仲直り

ヤトさんからどこまで聞いているのか分からない。

全て聞いてはいそうだけど、ヤトさんのことだから何も話していない可能性もある。

「まずは……ヤト様と知り合った切っ掛けは何なの? 何故か大絶賛していたけど、佐藤にそこまでの魅力があるように思えないのよね」

「私もそう思うので、大絶賛していた理由は分かりません。ヤトさんとの出会いは、空腹で倒れていたところを私の従魔が助けたんです。そこから、ここを気に入ってくれたみたいで、よく遊びに来てくれるんですよ」

「ふーん。助けられたから、ヤト様は佐藤に懐いているのね」

「多分、そうだと思います。あと、ここの料理も気に入ってくれていますね」

やはり、ヤトさんは何も話していなかったみたいだ。

ドラゴンとして有名なヤトさんが、冴えないおっさんと友好的なのは、イザベラさん目線では不思議で仕方がなかったと思う。

「それにしても、従魔――ね。ここに来た時から気になってはいたけど、空を飛んでいる黒い鳥の魔物や、灰色のリザードの魔物。後は変わった色をしたスライムに、ゴブリン達も佐藤の従魔なの?」

「そうですね。全て私の従魔です。聞いているかもしれませんが、私は異世界人でして、特殊なスキルを持っているんです。そのスキルのお陰で、色々と変わったことができるんですよ」

「……初めて聞いたわ。ヤト様、本当に何も喋らずに私を連れてきたからね。まぁでも、異世界人なら好かれているのも納得したわ。佐藤は少し変だもの」

「そうですかね? ごく普通だと思うんですけど」

「普通の人は耳で興奮しないわよ」

それを言われてしまったら、私としてはぐうの音も出ない。

でも、ファンタジー好きなら興奮して仕方がないと思うんだけどなぁ。

そんなことを考えていると、どうやらヤトさんの方も落ち着いたようで、シーラさんと一緒に戻ってきた。

イザベラさんも落ち着いているし、もう大丈夫だろう。

「ヤトさん、イザベラさん。ここでは仲良くしてください。喧嘩は駄目ですからね」

「うぬ! もう落ち着いたから大丈夫なのじゃ! イザベラ、すまぬ!」

「私の方こそごめんなさい。ヤト様をついからかってしまったわ」

お互いに握手を済ませ、これで万事解決。

せっかくならば、仲良くやってもらいたいからね。

「仲直りしてくださり、ありがとうございます。それで、イザベラさんには色々と聞いたんですが、今回は何か目的があって来たんですか? それとも、純粋に遊びに来ただけでしょうか?」

「ローゼが一度も国を出たことがないことを憂いていたイザベラに、ここを紹介したくて連れてきたんじゃ!」

「ハイエルフの王女様でしたよね? ここに連れてくるということでしょうか?」

「まだ決まっていないわ。でも、佐藤は地味だけど良い人ではあるから、初めて外出にここはありかもしれないとは思ったわね」

もしかしたら、最初のイザベラさんの態度は、私を試すことが目的だったのかもしれない。

あそこで私が怒っていたら、ローゼさんを連れてくる場所として相応しくないという判断を下していた――と考えるとしっくりくる。

イザベラさんがローゼさんを慕っているのが、会ったばかりだけど分かるからね。

まぁ私をからかって、何故かヤトさんが怒ったことは、イザベラさんも想定外だったと思うけど。

「来る者拒まずでやっていますので、いつでも連れてきてください。私もローゼさんとは会ってみたいですからね」

「ローゼはシャイじゃからな! 一言も喋らないかもしれないのじゃ!」

「そうなんですか? なら、ここを楽しんでくれるかもしれません」

漫画やゲームといった1人用の娯楽が充実しているからね。

ただ、それを知らないイザベラさんは、私のそんな言葉に首を横に傾げている。

「言っている意味がよく分からないけど、歓迎してくれるのは嬉しいわ。もし連れてきた時はよろしく頼むわね」

「もちろんです。ということで、今日はイザベラさんの歓迎会を開きしょうか。今回のもてなし具合で、ローゼさんが遊びに来るかどうかが決まるんですよね?」

「そうだけど……私は別に歓迎しなくてもいいわよ? エルフの国から色々と持ってきているから、寝るところだけ貸してくれれば十分」

「イザベラ、何を言っておるのじゃ! 佐藤がせっかく歓迎会を開いてくれると言っているのに! ……歓迎会では、美味しいご飯が出てくるのじゃな?」

「もちろんです。腕を振るって異世界料理を作らせて頂きます」

「ご飯はエルフの国のものしか食べる気がおきな――」

「イザベラ、うるさいのじゃ! 黙って佐藤の料理を食べるのじゃ! きっと腰を抜かすからの!」

イザベラさんはあまり乗り気ではないみたいだけど、ヤトさんが無理やり言い包めて歓迎会を開くことになった。

嫌なら無理に開くこともないんじゃないかなとも思うけど……。

乗り気じゃなければ乗り気じゃないほど、日本の料理の素晴らしさを伝えたいという気持ちが強くなってくる。

ここはノーマンさん達の力も借り、本気の異世界料理でもてなしてあげよう。

一つ気合いが入ったところで、私は早速ノーマンさんのところに向かったのだった。