軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

3-17

ブレードで切り払い最後に残った中型を撃破する。

大型の上部にある砲門は大体潰しておいたので攻撃されることはほとんどなく、煙幕でこちらをまともに狙えなくなった中型は一体ずつ順番に仕留められた。

これでやっと本命を潰せると肩を回しながら大型の上部へと着地。

何か攻撃手段はあるかと思い、一応煙幕が晴れた後もしばらく待機してみたが、大型は真っすぐエデンへと飛行するだけで何もしない。

やはりと言うべきか、こいつらは状況に応じて行動を変化させることがほとんどできない。

(言語化するとアップデートができていない? いや、最初の命令を忠実に実行し続けている、の方が近いか?)

ぶっちゃけこいつらデペスは謎すぎる。

この状況でも行動パターンが変化しないのだ。

まるで昔のゲームに出てくる敵みたいに思えて現実味が薄れてしまう。

ともあれ、抵抗しないというのであれば、このまま解体を実行するまでである。

倒した後に素材でも残ればまだ有用だったのだろうが、何故かデペスは倒すと霧散する。

「この辺も謎だよなぁ」と首を傾げながらブレードで装甲を削り、中に少し入れるようになったのでバトルアーマーに換装して対艦刀で穴を広げる。

十分に穴が広がったところでプラズマキャノンでさらなる拡張。

そこにありったけの爆発物を放り投げ、ジェットパックに換装して大型デペスから飛び立ち起爆。

これで終わったかと思ったが、炎に塗れながらも未だに飛行を続けるその巨体には思わず「マジかよ」という驚愕の声が漏れる。

仕方なしに再び上部に着地をしてバトルアーマーに変更。

レールガンとレールキャノンをそれっぽい箇所に叩き込み続ける。

しかし弾切れまで撃ったのにまだ動いている。

「ええ……うっそだろ、お前」

よもや大型にここまでの耐久力があるとは思わなかった。

もしかしたら何処かに核となるような場所があるのでは?

そう考えて攻撃する箇所を変えてみたりしていたが、真っ二つにするとかの方が効果的だったのかもしれない。

なので先ほど爆発物を投げ入れた反対部分から掘削を開始。

しばらく掘り進めたところで、グレネードランチャーやロケットランチャーの爆発で穴をドンドン広げていく。

最後にこれで止めとばかりにバイクを出して、レーザースライサーを起動する。

今度こそは貫いた閃光がガクンと前部を切り離すように崩れていく。

流石にここまでやって倒せないことはないだろう。

ジェットパックに換装した俺は崩れ行く大型から遠ざかる。

機械型は倒し方によっては爆発するが、今回は地上へボロボロと汚染された金属片をまき散らしながら霧散してくれた。

敵の殲滅を確認した俺は滑空飛行へと移行し、地上が近づいたところでジェットパックを解除。

バイクを出して着地と同時に走り出した。

結局大型の解体だけで三十分以上使ってしまった。

中型の相手も想定外に時間を使う結果となっていたので、間に合って何よりである。

ということで無事エデンに帰還。

待っていたのはお偉方と第八期の面々。

何故かこちらの戦闘内容を知っており、その件については見知らぬ研究員からの説明があった。

ジョニーのデバイスを利用した汚染対策もバッチリな撮影機材を開発。

それを使った戦闘観戦システムを構築し、今回試験的に運用していたとのことである。

「今回で問題点を洗い出し、次回以降に生かしたいと思っています」と研究員が胸を張っているが、この動画を何に使うつもりなのかをまずは問い質す。

「ここまで至近距離での機械型タイプDとFの戦闘データは大変貴重です。戦術課へ真っ先に回されると思いますが……」

全部はわからないと言葉を濁す研究員。

ということで次に視線を向けたのはエデンのお偉方。

取り敢えず名前を知っているレデル上級議員に詰め寄り、創作物に使用しないように厳重に注意する。

これ以上あれこれ作られるのは御免である。

「見たい」という気持ちもあるが、俺個人の感情なのでロールプレイが優先。

敵の分析目的以外には使用しないという約束を取り付け、俺がほっと一安心していたところに誰かの呟きが聞こえてくる。

「強くなるのも考えものねぇ」

口調からして恐らくエルメシア。

エデンの創作物を閲覧しているが故に俺の置かれた状況を恐らく知っているのだろう。

わかっているならこっちの負担を減らしてくれ、という懇願の視線を送ってみたが、エルメシアは鼻で笑って拒否している。

この目隠れお腐れ魔女をどうにかして巻き込めないかと思案するが、俺にダメージが来ないものはさっぱり思いつかない。

思いつくのは精々自爆の巻き添えにするくらいだ。

仕方なくこの件は一旦諦めるとして、何やら話を聞きたがっている様子の研究員。

こっちを見てそわそわしているように見えるが、戦術的な話ならばこの空気を変えるためにも歓迎しよう。

「あのー、この戦闘に関する質問があるのですが……?」

俺は頷き研究員の話を聞いてみるとどうやらあの煙幕について聞きたいことがあるらしく、その詳細……と言っても俺が覚えている範囲でフレーバーテキストの内容を話す。

ジャミングスモークグレネードがただの煙幕でないと知ると「やっぱりそうですよねぇ」と少し残念がっていた。

使い捨ての補助兵装ならば上手く使えばデペスは適応しないのではないか?

そう考えてのことらしいが、そもそもが特殊な煙幕なので再現できるかどうかが怪しく、そうなるとコストも増加する。

折角思いついたアイデアがいきなり没になって肩を落とす研究員。

データの取り扱いには細心の注意を払います、と言ってこの場を去って行った彼を見送り、交代するようにやってきたお偉方の話を聞く。

内容は至って単純。

俺を賛美し、新たな最高戦力として正式に告知するというもの。

これに関しては「勝手にやってくれ」というのが恐らく正しい。

また、今回は特例に近い単独出撃であるため、今後は余程のことがない限り承認されることがないことも伝えられた。

俺としてもこんなに疲れることを好んでやる気はない。

俺はただ黙って頷き、今回はあくまで実験であることを改めて確認する。

リザルトは明日になるが、その前に対処しなければならない案件がある。

「これはどういうことかな、スコール1?」

ニヤニヤと笑うデイデアラが俺が映る端末を片手に近づいてくる。

「ああ、いつの間にか映像作品が作られていた。今回は試験運用だったようだが、観戦システムが正式に運用されれば、お前も活躍次第で題材にされるだろうな」

俺の言葉ににやけた面が真面目なものへと変化する。

これはもう一押し必要だな、と俺の現状を教えてみる。

「フィオラに見つからないように変装して居住区で隠れていたのだが、アリスからは『絶対にバレないように』と念を押されてな。理由を聞けばファンが押し掛けるから、だそうだ」

「大変なだけだから止めておけ」と逆効果になるとわかっていながら、敢えてやめろと忠告しておく。

すると「ちょっと用事思い出したわ」とどこかへ向かうデイデアラ。

その背中を見送ったところでレイメルが一言。

「あなたも大分彼の扱いが上手くなりましたね?」

俺は短く「まあな」とだけ返し、この件について説明を求められたので仕方なく応じる。

興味がないものはこれで解散とばかりに立ち去り、事の経緯を話し始めたあたりで乱入者が登場。

「余の誘いを断ったのだ。埋め合わせはしてもらうぞ、スコール1!」

突如として現れたフィオラの姿を確認し、先ほどまで集まっていた同期の連中は「任せたぞ」とばかりに俺から離れていく。

こうして俺は厄介事を押し付けられ、制約の多い三戦目を地下闘技場で行うことになった。

時間制限を設け、遅滞戦術でとにかく時間をかけて引き分けに持ち込んだのだが……その結果も過程も気に食わないとまたしても駄々をこねる変態。

結局、また模擬戦を行うことを約束させられ、今日という日を終えることになる。

「一日にどんだけ戦わせるつもりなんだ」という愚痴は誰に聞かれることもなくベッドの中に消えていく。

これで明日リザルトがなかったら多分キレる自信がある。

翌朝、早速リザルトを確認すると新たに解放されたものが二つあった。

一瞬期待したのが、片方はミーティアと判明。

この間の悪さには思わず仰け反ってしまう。

昨日これがあれば中型の処理も大型の解体も時間短縮できていただろう。

大きく息を吐いて気持ちを切り替え、もう一つのアンロックされた兵装を見る。

「……?」

見覚えがない、というより見た記憶はあるが思い出せない名前がそこにはあった。

首を傾げて記憶を手繰る。

(ゲーム内では見たことはない……はず。でも何処かで見た記憶がある)

「HGM-bxz603S」の表記が何を示しているのかはわかる。

(HGMだから間違いなくビークル。作品の垣根を超えていないなら恐らくバイク。でも他のナンバリングでもこんなのあったか?)

これが何かわからない。

見覚えはあるのに記憶にはない型番に俺はただただ首をひねる。

取り敢えずわからないなら出してみればいい。

そう思って新たに解放されたビークルを出してみたところ、予想通りにバイクが出てきた。

そのバイクをマジマジと眺めて俺はようやくこれが何なのか理解した。

「……え、嘘だろ?」

色合い、形状ともに記憶にあるものと完全に合致。

このバイクは間違いなく「スコール1専用戦闘バイク」である。

ゲーム中に何度も出てきたスコールチームの隊長専用ビークル。

かつて「人類の希望」と呼ばれ、志半ばで倒れたあの英雄の専用兵装がそこにはあった。