軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1-18

悲報:今回のリザルトが微妙すぎる

・Tier9ショットガン

・Tier8ハンドガン

・Tier9強化服

・Tier7近接武器

敵が弱かったので低ランクが多いのはまあ仕方ない。

最低ランクとは言え、強化服が出たことで武器スロットが増えたのも嬉しい。

Tier7が一番弱い敵でも出ることがわかっただけよしとするべきだとも思う。

しかし、だ。

「なんでよりにもよって出てくるのが近接武器なんだよ!」

この悪意すら感じるリザルトには頭を抱えたくなる。

しかも見た目が完全に日本刀だから無下に扱うのも憚られる。

おまけに近接武器は専用のスロットなので武器枠が増加したとて意味はない。

「強力な武器が一つも出なかったのが本当に厳しい」

俺は自室でベッドに倒れ込んで呟く。

強化服で武器スロットが解放されたと言ってもリロードは手動である。

元々状況に応じて手持ちの武器を変更できるので、ゲームと違って武器枠が増えるメリットがそこまで大きくないことを先の戦闘でわかってしまった。

やりようは幾らでもあると思うが、それは強化服の恩恵を受けることができる高ランクであってこそだろう。

低ランクの強化服は実質防御性能が僅かに上昇する程度で、運動能力向上等の恩恵はないに等しい。

結論、今回のリザルトは微妙すぎる。

全く使いものにならないと言われればそうではないし、かと言って使えるかと言われれば素直に頷くこともできない。

現状使い道はあるのだろうが、一工夫が必要なのは明白であり、その工夫をどうするかが思い浮かばないのだ。

取り敢えず、装備品を強化服に変更して近接武器枠もコンバットナイフから日本刀に変えておく。

見た目の違いは弾薬パックが腰の左右に配置されたことくらいしかない。

肩に背負った日本刀は格好良いとは思うが、今の俺に使いこなせるかと問われれば……正直自信がない、とかしか言えない。

(攻撃力1850だから使えないわけではないんだよなー)

見た目だけ日本刀の宇宙人由来の素材を使った近接武器。

撃墜した敵の無人機から剥ぎ取った装甲の一部を刀の形にしたもの、という説明文があったと記憶している。

なので同ランク帯の射撃武器より攻撃力は高い。

基本的に低ランクの近接武器を主体にするならば、他の武装で敵の動きを止めたり高速移動からの辻斬りがメインの使い方となる。

近接縛りプレイをするような物好きもいるが、それでハードモードをクリアできたプレイヤーがいたとは聞いたことがない。

ノーマルモードならクリアした頭のおかしい奴らならいるが、如何にやり込み勢と言えど、あんな変態どもと同列に語られたくはない。

なので近接武器はサブウェポン扱い。

臨機応変に必要に迫られれば使う。

問題は射撃武器の弱さが改善されなかった点だ。

(ほんと、こればかりはどうしようもない)

次の戦闘が今回と同じ戦術で上手くいく相手であることを祈るしかない。

大きな溜息を一つ吐き出し、俺は自室を出て訓練場へと向かう。

新しく入った武器の使い心地は確かめる必要はあるのだから仕方ない。

そんなわけで訓練場。

まずはハンドガンの試し打ちから始めているわけだが……「これいらなくね?」という感想しか出てこない。

(ハンドガンはTierが上がると敵の技術使ってパルスガンになるとは言え……)

正直これなら初期装備の方がマシである。

リロード速度に優れるとは言え、この連射力とマガジン数で巨大なデペス相手に使用するのは厳しいと感じる。

とは言えTier8なので単発の威力は360あり、現状の武装ではマシな部類に入る。

強いて使う場面を考えるのであれば対人戦だろう。

これに関してはないに越したことはないが、手札が増えたと前向きに考えよう。

結論が出たところでショットガンだ。

これはもう予想通りだった。

一発辺りの攻撃力はたったの24だが一射で32発の散弾を放つ。

つまり全弾命中時の総攻撃力768となり、防御力の低い相手には最高峰のDPSを叩き出す武器である。

戦術の幅が広がる武器であることは間違いないのだが、何故これが最低ランクで出てきたのか?

せめてこっちがTier8だったならばと悪しきガチャ文化を呪う。

最後に一応近接武器の刀を披露……といきたいがここは射撃訓練場。

近接武器用の訓練場とかあるのだろうか、と思ったが普通にあった。

初日にあった青い柱に近い性能の小さい版がそこにはあり、近接戦闘がメインの英霊たちはこれに攻撃をしているようだ。

自動修復機能があるので損耗を気にせず使えるこのサンドバックは斬撃にも対応している。

そんなわけであちこちに設置されている電柱くらいの太さがある青い柱の前に立ち、刀を抜いて上段に構える。

ゲームで使っていた近接武器は最高ランクかその一つ下のもの。

性能でゴリ押しするスタイル以外での斬撃は経験が少ない。

だが、別ゲーであろうと経験が生きることは既に体験している。

深く息を吸う。

目の前に標的に意識を集中し――刀を振り下ろす。

袈裟斬りの一撃は柱の中ほどまで到達した。

切断はできなかったか、と大きく息を吐いて刀を引くと後ろから「ほう?」と感心するような声が聞こえてきた。

振り返るとそこにはリオレスの姿があった。

俺の剣の腕に感心するとは思えないので、恐らくこの刀に興味があるのではないかと思われる。

なので刀を鞘に戻して「使ってみるか?」とばかりに無言で差し出してみる。

するとリオレスも無言で受け取り、刀を抜くとじっくりと刀身を眺め、指で叩くなどして調べている。

「硬いな」

「敵が使っていた未知の金属で成形しただけの代物だ。硬さ以外に取柄はないと思う」

リオレスの呟きに補足したところ「なるほど」とだけ返し、上段に構えてからの一閃。

その一撃は見事に青い柱を切断してみせた。

「お見事」

パチパチと拍手をする俺にリオレスが刀を鞘に戻し返してくれる。

「十分な強度だ。上手く使えばデペス相手にも通用するだろう」

この言葉でリオレスが俺と同じ構え、同じ袈裟斬りであったことに意味があったことがわかった。

(真似をしろってことか?)

無理に決まってるだろ、とは口に出さずにポーカーフェイス。

斬られたミニ柱が修復を開始したので復旧まで待機する。

「次の戦いを楽しみにしている」

俺は刀を抜いて上段に構える背中にかけられた声に反応することなく、二撃目を柱に向けて放つ。

先ほどより刃が進んだ気はするが、やはりリオレスのようにはいかないようだ。

(それにしても……なんでリオレスは俺に声をかけたんだ?)

この訓練場に入った時はいなかった。

偶然であるならば、ここで訓練をしていくはずである。

となれば、俺がここに入るのを見かけて入ってきた、ということだ。

そこであの「ほう?」というシーンに繋がる。

さらに刀を渡された彼はどう捉えたか?

もしかしたら「手本を見せてくれ」とでも勘違いさせてしまったかもしれない。

しばし考えてみたが、どのように解釈されても何か変わることはないと判断。

手に入れた武器を取り敢えず使うのは普通の流れだと思うし、刀に興味があった可能性の方が高い。

まあ、何事もないはずである。

色々と考えていたらよい時間になっていた。

昨日の戦闘の詳細を知るため、作戦室へと向かうとしよう。

本日二度目の悲報:貸し出した武器での戦果はポイントにならないと判明。

時間になったので訓練場を出て作戦室へと向かい、そこで今回の戦闘経緯と功績上位者の発表が終わり、戦果ポイントが各員に付与された。

俺に与えられたポイントはたったの4Pとまさかの一桁。

ロケランを借りたエリッサでも二桁なので、武器の貸出は功績として認められていないとわかった。

ショックを受ける俺を慰めるように肩を叩くエリッサだが、お前が原因だからな?

取り敢えずポイントで返してもらうことになったはいいのだが……今、二人して交換機の前で肩を落としている。

「二人合わせても25ポイントか……」

「一番安いものでも30ポイントかぁ……」

世知辛い。

ちなみに一番安いのが酒である。

多分容器のサイズからして250ミリリットルくらいだと思われるが、命懸けで戦ってもそれすら買えないこの物価高。

つくづくディストピアだな、と大きな溜息を吐いたところエリッサが申し訳なさそうに提案してくれる。

「あー、僕にできることなら何でも言ってね?」

素敵な提案だが「何でも」はよくないのでそこは軽く注意しておく。

「男に『何でも言って』は止めておけ。何を言われるかわかったものじゃないからな」

俺の忠告に「そっかー」とだけ返すエリッサ。

この娘は微妙にお子様なところがあるので、昨日の件を含めて改めて注意をしておく。

するとエリッサから意外なことを聞かされた。

「えっとねー、精霊様のご機嫌を取るのに歌ったり踊ったりするんだけど……」

どうやらその時に「脱げ」だのなんだの注文が飛んでくるらしい。

「それで反射的に脱いでいた」とエリッサは説明するのだが、だとすれば精霊様とやらは少女の裸を楽しむ存在ということになる。

それ以外にもあるセクハラの数々を聞かされた時、俺の中でエリッサの語る精霊様がまごうことなきエロ親父となっていた。

しかもそのエロ親父がはっちゃけたお陰で死に至り、英霊としてここに呼び出されている。

言葉にはしないが、文字にすると酷い背景である。

取り敢えず、戦果についてはこれ以上の言及はしないことにした俺は「仕方ない」とだけ言ってこの話を終わることにした。

そんなわけで解散しようとしたところの俺たちに声がかかった。

そう、俺だけでなく「俺たち」だ。

「ああ、いたいた」

ようやく見つけた、という口ぶりの金髪の男。

その後ろに誰かいるが……こいつがでかいので姿を確認できない。

どこかで見た記憶があると思ったが、次のセリフで思い出すことになる。

「戦果最下位おめでとう。最底辺二人が揃ってるのは都合がいいな」

前回の出撃で声をかけてきた槍の男だ。

言い方からして実に気分の悪い男である。

エリッサを見ると口には出さないがあからさまに嫌そうな顔をしており、子供目線でも好ましからざる人物と見て取れた。

なので反撃することにする。

「……誰だ、お前は?」

少し間を置いてよく考えたフリをしてからの「お前なんて知らん」発言に一瞬苛立ったように見える。

「いかんな、この程度で顔に出るようでは」と上から目線で笑いたくなったがここは我慢。

ネットで鍛えた煽り芸を披露するにはもってこいの相手かもしれないが、まずは用件を聞いてからである。

「で、何の用だ? 暇つぶしなら訓練場にでも行くといい」

口を開きかけたタイミングで名乗りを阻止して「お前なんかに興味ないからさっさと用件言って帰ってね」と溜息混じりにさらに煽る。

すまない、我慢できなかったんだ。

「その余裕がいつまで続くのか見物だなぁ」

そう言って男は横にずれると後ろにいた人物が誰か判明した。

アリスである。

それもかなりご立腹の様子だ。

アリスは大きく深呼吸をすると俺たちに向かい事務的な口調で用件を伝える。

「お二人には『英霊としての資質に疑義あり』との見方が強く、上層部から『審査せよ』との通達が届きました」

つきましてはご同行願います、と不本意であることを隠そうともしないアリスはそう言って槍の男を睨みつけた。