軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第620話

ミケヲさんの茶室と違って『 穴開き(アナーキー) 虚空渡り(スカイウォーカー) 』は肉体ごと別次元に転移する。

“ あ ” は亜空間の “ あ ”

“ い ” は異次元の “ い ”

“ う ” は宇宙の “ う ”

“ え ” 恵方の “ え ”

“ お ” は何だろう?

とか下らない事を考えているうちに商業ギルドに到着。道中、アンディーとダイモーンさんが謎の会話を楽しんでいたけどな。ミケヲさんが笑っていたからこの三者では会話が成立するんだろう。ミケヲさんが日本語で「マスターが大好きって熱弁をふるってるよ」と教えてくれたけど。

お近付きの印に……という訳ではないけど、ダイモーンさんに【 魔増(マゾ) 草クッキー】を箱買いしてプレゼントした。アンディー達が物欲しそうにクッキーを見つめているので従魔用には【野草クッキー】込で箱買いしたけど。流石に 小羽妖精(ポゥ・リース) 族が【野草クッキー】を食べるか分からないからな。

「$$%!!」

ムキュウ キュウ

(「ますたー だいもんさん やそうくっきー ほちいの」)

「おや、そちらもお好きでしたか?」

「※%% Ψ∀」

ムキュウ〜ン キュウ

(「あたち ますたー だいもんさん いっちょ」)

「 三毛皇(みけおう) 閣下もお好きですよね?」

「まぁ、嫌いじゃないね」

キュウキュウ

(「ねこみけを いっちょ」)

「$※%%!!」

大量のクッキーをゲット出来て俺達はホクホク。大量のクッキーが売れた商業ギルドもホクホク。普段はエルフ領、つまり『ロング=ヒル』から購入しているって話だった。これを機にドワーフ領からも購入してもらいたい。そして『グリーン=フォレスト』の山奥で春先に採れる【 魔増(マゾ) 草】の新芽は最高級品だったよ。主に上級以上の魔力回復薬の材料に回されるので、間違ってもクッキー素材に混ぜられたりはしないけど。

商業ギルドには正直に転送陣の使用を申請した。ダイモーンさんが迷子になっていた事、ミケヲさんが帰りに同行する事。そこに俺が招かれた事。俺は入り口を覗いて戻るだけだが。戻る時にはミケヲさんがここ商業ギルドまで送ってくれる。そしてミケヲさんは自宅に帰る。

表向きは転送陣を機動し妖精界の入り口に向かう……んだけど、実際は『 穴開き(アナーキー) 虚空渡り(スカイウォーカー) 』のスキルで転移する。そこは秘密で。

ここが商業ギルドの秘密の部屋、こと転送陣の間か。四畳半ほどの部屋で転送陣以外は何も無かった。まぁ荷受けの部屋だと考えればそんなものか。

ダイモーンさんだけど、俺が迷子状態を救出した事に加えてクッキー繋がりですっかり懐かれてしまった。 小羽妖精(ポゥ・リース) 族にしろ魔獣にしろ、一緒に草を食べると仲良くなれるのか?

「皆と仲良くなれるのは良いとして、ミーシャ君はもう少し食べ物に気を付けないといけないね」

「 三毛皇(みけおう) 閣下、それはどういう意味ですか?」

「ほら、古来より冥界や異界で供された食物を口にして現世に帰れなくなる話ってあるじゃない? まぁ、そう言う事だね」

「あっ…」

「ミーシャ君はちゃんと神様達にお供え物をしてるでしょ?」

「はい。美味しい料理や物珍しい料理を作った時は必ずお供えしてますね」

「それ、とても大事だからね」

「そうなんですか?」

「我々が神様達にお供え物をすると神様達がお供え物からエネルギーを吸う。そのあと我々に下げ渡されて我々は神様達と一緒に食事をするって設定なのよ。食べられない物だったら検品して返してくれた扱いだけど」

「そうなんだ。つまり、お供え物をするって行為は毎回上の者から盃を渡されてるみたいな事なんですね」

「吾輩、その例えはどうかと思うが」

そう言えば前世のお節料理がそんな感じだったな。流石は上様、日本的感覚の設定をぶっ込んでるわ。

「まぁ、そういう訳でだね、ミーシャ君が運悪く冥界の食物を口にしてしまい冥界に拉致されそうになったとする。その時に積極的に神様達にお供え物をしてミーシャ君の言うところの盃を受けまくっていたならば、神様達が「うちの若いモンに何してきとんねん」って助けてくれるハズだよ」

「その例えもアレですけど」

「望んで冥界入りするなら黙認されるだろうけど、騙されたんなら一度ぐらいは助けの手を差し伸べてくれるんじゃない?」

「まさかお供えにそんな秘密が隠されていたとは」

「そりゃあほら、神様だって慕ってくれる相手には何か返したくなるもんでしょ」

「言われてみればボク、ブロッコリー料理をお供えしたら【地母神レミ】様の加護が付きました」

「ブロッコリー料理!?」

「はい。前世のTVで見たブロッコリーを丸ごと一本皿に立てる料理なんですけど……」

「あれかーーい!!」

「おや、ご存じでしたか?」

「それをお供えされて加護を下さるレミ神も肝が太い。吾輩、今度、丸ごとニンジン料理でもお供えしてみようかな……」

{ ―― まぁ、期待してるわよ ―― }

「きっ、聞こえた!? ミーシャ君も天の声聞いた???」

「あれ、多分レミ神です。 三毛皇(みけおう) 閣下もレミ神の加護持ちになって下さいね」

ムキュウ ムキュウ

(「あたち もじゃもじゃ ちゅき」)

「おや、可愛いおねだりだ」

「∃※%% ∑¥???」

ムキュウ〜ン キュウ〜ン

(「ますたー だいもんさん もじゃもじゃ たべてみたいの」)

「今度ご馳走しますね。何なら転送陣でお届けしますよ」

「%%!!」

みんな大好き、丸ごと一本ブロッコリー料理。マジかよ………。

「では移動しようじゃないか。全員で手を繋いで、従魔はミーシャから離れずに」

ミケヲさんがそう宣言し、俺達は商業ギルドの秘密の部屋の転送陣から妖精界の入り口に転送された。