軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第616話

コピョコッピョ〜〜

コカちゃんの可愛い鳴き声とツンツン攻撃で目が覚めた。そこから先はいつも通りのルーチンで動けば無問題、心配ないさー。空いた時間で端切れの端始末をすれば針仕事の手も鈍らないというものよ。俺はまだブランケットステッチと巻きかがりしか出来ないけどな。ローザ=リオールさんなんかは簡単なレース編みで端の始末をしたりしてるって言ってた。少し時間が掛かる代わりに納品単価がかなり上がるのか。いいなぁ……。

尤も、巻きかがりは効果的なかがり幅を覚えるのが目的らしい。ハンカチみたいに見た目重視で細かくかがるものもあれば、単に 解(ほつ) れ防止でザックリとかがるだけのものもある。

そしてフェアリー種の中でも一際小さいデミフェアリー種は前世の端ミシン処理みたいな端始末が出来るのだ。糸端を引っ張ればス〜ッと解れていくアレね。分解するなら有難いけど、洋服の縫い目が解けていくと困るあの縫い方。身体が小さいからこそ出来る処理だとも言う。デミフェアリーは布目の隙間に特殊なかぎ針を差し込み糸を引っ掛けて縫っている。縫うと言うよりはかぎ針編みなので布が複数枚重なって厚手になると布目が見えなくなって縫えなくなるのか。

かがり作業もピンキリなので、職校には専門の講師が居る。はぐれシルキーのマーサ先生だ。はぐれシルキーと呼ばれているのは単にマーサ先生は家事全般が好きじゃないからで、縫い物仕事は完璧なのに掃除は苦手な言わば片手落ちシルキーなのだ。本人は「かがり職のマーサだよ」と言っている。なのでマーサ先生にシルキーらしい仕事を期待してはいけない。

そんなマーサ先生の誇る最高のかがり作業は、糸を使わず布端を物理的に巻いて端始末をする特殊作業だ。向こうが透ける程の薄絹の布端処理は下手にかがると布がつれてしまう。そこで使われるのが巻き込む処理なのだ。ただ、出来る職人さんがもの凄く少ないのだとか。ちなみにドワーフにはその作業の出来る職人さんは殆ど居ないらしい。ドワーフにも出来ない仕事って聞かされると恐ろしいわ。マーサ先生、仕事人だよ。それだけで食べていけるよ。

俺は刺し子素材の仮処理が出来る様になればいいだけだなんだけど、ある程度の布端処理が出来た方が便利なので練習している。オロール先生に言わせると手習い賃で毎日母親にエールを飲ませてくれる孝行娘らしいけどな。そう言うと響きは良いが、単にエールをたかられているだけだ。

毎日増え続ける端始末用の布をかがり、ある程度まで減らした。布の種類も様々。この作業で布質に合わせた処理を覚えろって事かよ。偶にトラップでかがり不要な布が含まれているんだよなぁ……。これも生徒に見極め力を付けさせる為らしい。トラップに引っ掛かった生徒の 作(・) 品(・) が食堂前に展示されているのを見掛けた事があったわ。氏名が公表される訳ではないのでイジメではなくあくまでも注意喚起の一環という事よ。

チクチクチクチク……、研磨してぇ!!

ホタテビキニも途中経過をノートに書き込んでおく。二の週中には完成させてしまいたい。年内にタッキー達に納品するのが目標だよ。

ガジェットは帰ってきたアルチュールさんと飛行訓練をした後、階段タンスの中で酒盛りするらしい。お酒の差し入れをしておいた。

途中、市場に寄って少し萎びた野菜を購入。馬車組合のポニー達に差し入れだ。少し萎びているだけで腐っている訳ではない。所謂、前世で言うところのスーパーのおつとめ品コーナーの棚に置かれた野菜レベルね。 値引きシール(エンチャント) が掛かっているとも言う。水に浸して 回復魔法(リジェネレイト) を掛けたらシャキッと蘇るかどうか知りたいところ。

ん……??? 八百屋さんの裏手に光るものが見えた。あれってもしかしたらキノコか? こんな所に『 茸の輪(カルーセル) 』が有るものなの?

例え『 茸の輪(カルーセル) 』だとしても踏まなきゃ大丈夫だ。

鑑定してみたらマジで『 茸の輪(カルーセル) 』なんだけど。危険が有るのは山だけじゃなかった。そして『 茸の輪(カルーセル) 』の上に何かの生き物?が浮いて見える。妖精? 精霊? 浮いているのならセーフって事なの?

「☆#¥%% ※π$√……」

ヤベェ、スキル経由でも会話にならないぞ。

「こんにちは」

「∑√∀%$〜」

「参ったな。ボク、君が何て言ってるか分からないや。そうだ、これ、食べる?」

「※%%!!」

【 魔増(マゾ) 草クッキー】って便利だな。安全アピールの為にアンディー達にも渡し、俺も食べる。謎の精霊さん?もポリポリとクッキーを食べていた。【 魔増(マゾ) 草クッキー】しか勝たん。使い方合ってる?

ムキュウ キュウキュウ?

「√%% π#¥」

キューウ キューウ

「∀ππ※…… ∃℃」

ちょい待て、アンディーって精霊さんと会話出来るの!?

「アンディー、お話出来るの?」

ムキュウムキュウ

(「だいもんさん くっきー ありがとう いってるの」)

「ダイモンさん? ダイモンさんって言うの?」

キュウ キュウ

(「だいもんさん おうち さがちてるの」)

「お家? 迷子なの?」

「##%ー!!」

ムキュウキュウ ムキュウ

(「ばーばの おちゃけ ねこみけを おはなち できる?」)

あっ…、翻訳コニャック、もしくはミケヲさんのスキルで会話が可能かもしれないって事ね。うーん、迷子かぁ……これは馬車組合に連れて行くべきなのか?

うーむ、面倒臭い事に巻き込まれてしまったな……。