軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第613話

脱色した【スライムの死核】、岩塩細工のカバーに使えたらいいなぁ。どうせ水溶するなら死核でいいじゃない。妄想を膨らませていても仕方ないので詳しい事は学園で聞かねば。

そうそう、ミケヲさんに明日馬車組合に訪れるかどうか聞かないと。あまり使いたくないけど時空を超えるあの新聞を使うか。だってほら、「新聞ー!!」って叫ぶのが恥ずかしいんだよ。

「コカちゃん、明日はポニー達と顔合わせするからね」

コッピョ コッピョ

(「ポニーっておうまさん?」)

「そうだよ。 三毛皇(みけおう) 閣下が来るかは分からないけどね」

コッコッ コッピョ

(「おじにゃん、おじにゃん。あいたいな」)

さて…虚空に向かって「新聞ー!!」。何度投げてもどういうシステムか分からない。超越時空する 魔(ま) 交差(クロス) とでもいうのか? いつか上様に真意を聞きたい。

返事を待ってる間に寝る準備かな。皆の今日の寝床ポジションも聞いておかないと。今日はカトリーヌとコカちゃんが一緒か。アンディーは久し振りにケージの上ね。

ガシャン “ 新聞ーー!! ”

心臓に悪い返信が返ってきた。絶対、これを使うと寿命が縮んでるだろ。助けてヒャクタロール!! だがしかしタロールだけに弱そうだ。 弱(ジャク) タロールだ。ならば頼るべきはセンジロールか? それともシン・ジロールか? シン・ジロールならおぼろげながら浮かんできた対処法を教えてくれるかもしれない。イーチロールも居るかもしれない。ジューンイーチロールもターンジロール居そうだな。

なになに、今夜茶室でお待ちしますだと。新聞と茶室と以外にも通信や密談に使える手筈が欲しいものよ。ぶっちゃけるとスマホ的な何かとも言うが。スマホが無理ならガラケーでもいいよ。最悪、ポケベルで。

流石にミケヲさんが寮に訪ねてくるのはマズイからなぁ。一応、三階は女子限定だ。但し従魔は除く。そうなると茶室が一番安心安全か……元日本人しか入れないけど。

三頭には 三毛皇(みけおう) 閣下のスキルの空間で対談するので、小一時間ぐらい倒れていても心配しないでと伝えておいた。

そして空間に 躙口(にじりぐち) が出現。徐々に近付いてくる。金色に輝く 躙口(にじりぐち) が近付くにつれ大きくなってくる。月からかぐや姫のお迎えが来るシーンってこんな感じなのだろうか? 尤も、やって来るのは天人ではなく 殿上人(えらいひと) なんだが。

意識のみ茶室に入る。 [ ◯人目の訪問者 ] 、これどうにかならないものか。

「よく来たな、妹よ」

「どうも。俺はミケヲさんをどうお呼びしましょうかねぇ? アニキ? ニキ? お兄ちゃん?」

「吾輩、見た目は髭っ 娘(こ) 、中身はオッサンにお兄ちゃん呼ばわりされるのは嬉しくないんだけどねぇ」

「べっ、別にイヤじゃないんだからねっ!! ってやつですか?」

「いや、マジで嫌なやつよ」

しかし、軽口をポンポンとやりとりし合える仲っていいよねぇ。気兼ねしないオッサン同士の会話だしな。しかも日本語だし。

「しかし毎回思うけど結構不便ですよね」

「そうそうミーシャ君、吾輩、新しいスキルが生えたのだよ。それも移動系」

「マジっすか???」

「『 夜這い中(ヨーバーイーチュウ) 』というスキルだよ。効果は知り合いの所に転移出来る」

「名前というか響きが嫌なんですけど」

「これ、配達系の派生なんだよね。派生の関係上、生えてくるのは猫獣人限定な気もする」

「その更に派生で『 老婆移住(ローヴァーイージュー) 』とかどうですかね?」

「姥捨山っぽいよ。まぁ上様のツボにはまれば実装されるとは思うがね」

「そんな簡単なものなんですか?」

「そりゃあ、神様を喜ばせた者勝ちだろうしねぇ」

「それより『 夜這い中(ヨーバーイーチュウ) 』というスキルの仕様を教えてください」

「知ってる相手、知ってる場所になら移動出来るスキルだ。しかも日没後から日の出前までしか使えない」

「ガチの夜這いじゃないですか」

「知り合いが異性限定じゃない辺り、コンプライアンスみを感じるとは思わないかい?」

「上様、遊びすぎですね」

「まぁ、これでミーシャ君の家に移動しやすくはなったよ。流石に職校の学生寮は指定しないけど」

「養母と妹が住んでますよ」

「おや、オロール先生も寮にいるのか」

「角部屋ですね。ヤニ臭いですよ」

「酒、ヤニ、塩、不健康三拍子か……。古代エルフが短命なのがよく分かる」

「あのですね、コカコッコが解毒出来るみたいです」

俺もミケヲさんも日本語に飢えているらしい。下らない話が止まらない。

「そうだ、大事な話があります。俺とミケヲさんとオロール先生の共通言語についてです」

「大事も何も、吾輩とミーシャ君互いに言語のユニークスキルで事足りるではないか」

「そのユニークスキルを誤魔化す為の秘薬があるとオロール先生に言われまして……」

そして始まる古代エルフの秘薬『グエンターレ』の説明。ミケヲさんの顔色が徐々に悪くなっていく。

「それは劇薬ではないのかね?」

「俺もそう思いますね」

「名前はとっても役満くさいのに、素材リストが 南四局(オーラス) の親の割れ目で持ち点が千点無くて、三人 立直(リーチ) が来ていて 一向聴(イーシャンテン) 、一番切りたい牌がドラで超危険 牌(パイ) って感じだ」

「ミケヲさん、それ分かりにくい例えですよ。まぁ俺は分かりますけどね」

「ボス部屋でポーションも無ければMPもカツカツ、 回復役(ヒーラー) は絶賛気絶中で、残り手段がバーサーカー化するスキルのみ。強制帰還のオーブは部屋の隅にいる 斥候(スカウト) が持っている。これならどうかね?」

「いや、そこまで酷くないと思いますよ」

「それを吾輩達が飲む……と」

「はい。俺達が飲まないとオロール先生が日本語で話し始めます」

「それは由々しき問題だ。諦めて『グエンターレ』を飲もうではないか」

隠蔽工作というものは実に大変なものなのだ。