軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第573話

現段階で登録されている前世由来の諸々をミケヲさんに確認してもらう。口裏合わせの為にって事よ。何処か遠く、ヒト族領なんかで追加の転生者が確認されたら俺の転生がバレるかもしれないけど、まぁその時はその時って事で。それまではミケヲさんを隠れ蓑にして便利グッズや美味しい料理を再現していくのよ。

「それで、登録したのは……うむ、結構あるんだな」

「ははは…、つい」

「デンプンから派生するのが酷いというか凄いね。日本と直接関係ない物も製造が増えちゃってない?」

「ドワーフ皆で稼いで儲けましょうって提案したらああなりました」

「普通はデンプン一つで街を広げたりしないものだよ」

「フキの事業もあるので」

「フキと言えばトイレの紙がフキの葉っぱってマジなの? 前に使ったけど、肌当たりが柔らかくて良かったね」

「ドワーフ領ではそうですよ。獣人のトイレでは違うんですか?」

「吾輩達はヒト族から輸入してるのよ。ススキの葉っぱみたいな細長い草を干して、それで織られた紙だね。用途を知らないとランチョンマットか何かだと思うぞ」

「ヒト族って……」

「ヒト族は使い古しの布や、さっき話した織った紙みたいなものを使っているみたいだね。草の葉はプライドが邪魔するのか使わないみたいだよ」

「そうなんだ……。フキの葉っぱって結構便利ですよ。テッシュ代わりにも使えますし。どうやらドワーフしか使わないみたいですけどね」

「吾輩、元日本人としてはフキの葉は微妙なんだが。だって食べれるでしょ?」

「そんな頻繁に食べます?」

「湯がいて刻んで味噌炒めにするとか、佃煮にするとかで。とは言え茎の方が美味いけど。でも茎で商売ってドン引きされなかった?」

「されましたよ。なので主にヒト族に売りつけます。本来なら廃棄されていた茎を加工してヒト族に売って儲けます」

「茎商品が人気になったら葉っぱが使い切れなくなるんじゃないの?」

「そうかもしれないですね」

「その時は獣人に売ればいい。織り目が爪に引っ掛かるからヒト族から買い付けるトイレの紙は今一つ人気が無いのよ」

「あ〜〜、それは嫌ですね」

「浄化するとしても……ねぇ」

どうやら、拭き草の余剰問題は解消される模様。

「後、まさかの飴ちゃん配布。吾輩、異世界で大阪のおばちゃんの名物を見て仰天したよ」

「飴で試供品と言ったらそれが浮かびました」

「しかも商人があの口調で配るんだから……。吾輩吐きそうになった」

「あの商人言葉って猫の人界隈が発祥って聞いたんですけど、ミケヲさんもそうですけど配送便の人も関西弁っぽい言葉を使ってないですよね」

「ああ、あれね、あの言葉はそもそもが虎獣人語が発端なのよ。虎獣人はほら、気性も荒いし商売向きじゃないんだけど、薬を作ったり獣人族を取りまとめたりしてるからね。虎獣人があの口調で舐めとんのかワレェとか、しばいたろかとかって言ってるのって怖いじゃない。だから猫獣人が間に入る感じで商売の御手伝いをしたのが始まりだって吾輩は聞いたね」

「そんな経緯だったんだ」

「吾輩が広めた訳ではないからね。過去の獣人に転生者が居たんだろう」

エセ関西弁はそもそもが虎獣人語だったのか。ただでなくても体躯が大きく見た目からして怖い虎獣人が関西弁で話す、ガチで怖いガオーさん。一説によると商売の神様ビリー神があの口調で話していたので虎獣人が有難がって使っているうちに虎獣人語になったとか何とか。

そのビリー神は、スコ座りをする小さい虎が頭部にジャラジャラと動く飾り石の付いた杖、 “ ビリーの杖(ビリーズ・ケイン) ” を手にしている絵で描かれる。不当な商売をしている者を見つけると、神界から「パチパチアタックやー」と言う声と共に“ ビリーの杖(ビリーズ・ケイン) ” の一撃が飛んでくるのだという。

「取り敢えず、ミーシャ君が広めてしまった物は把握した。まさか野球拳まで……。しかも負けても脱がない」

「ドワーフだと飲み代の支払いを賭けちゃぃますからね」

「負けたら飲むのはお座敷芸だね。それは流行らせなくていいの?」

「駄目です。皆んな喜んで負けますよ。ワザと負けてイカサマって言われちゃうんですよ」

酒は飲め飲め、飲むならドワーフ。

「ところでミケヲさん、古代エルフの息子でドワーフの兄になった訳ですが、どれぐらい飲めるんです? 俺はそこまで酒量は多くないですけど」

「吾輩も嗜む程度よ」

「時々話題に上がるナツメグさんは飲めるクチです?」

「ナツメグはね、生前はザルだったのよ。部屋に酒が沢山置いてあって、カクテルの研究と称して宅飲みしてたね。仕事はチーママだったけど。だからと言って転生してきてもザルとは限らないだろうし……」

ヤバい、質問を内容をミスったか?

「思い出させてごめんなさい」

「いや、こうやって話題にするとナツメグの魂を呼び出せるかもしれないからね。吾輩が話をしても平気な内容だったら答える」

「俺も会ってみたいですよ」

冗談でもお世辞でもなく、前世で同じ時代の日本を知ってる相手なら会ってみたいじゃないか。そして二人が一緒に暮らすなら祝福するよ。

茶室で駄弁った時間は体感で二〜三時間ぐらいだろうか? でも精神が戻ってきたら経過時間は一時間も経っていなかった。

キュウ?

俺の気配が濃くなったせいか、アンディーが目を覚ました。上に乗っかって掛け布団状態だったのが胸元に潜り込んできた。

(「ますたー おかえりなの」)

(「ただいま。アンディー、ボクを守っていてくれてありがとう」)

(「あたちの おちごと」)

(「まだ真夜中だし、一緒に寝ようね」)

(「わかたの おやすみなの」)