作品タイトル不明
第558話
アルチュールさんとパーティー登録をした。別に討伐にも採取にも行かないけどな。酒は一緒に飲むかもしれないけど。
そして職校にも階段タンスが試供品として置かれてたよ。アルチュールさんがレンタルルームするみたいだ。まぁ、毎日早いもの勝ちで無料でお試し宿泊できる個室として置かれているだけだが。それでも妖精達はそれなりの人数が職校にも出入りしているという事なので、それなら利用者の意見を聞いてみたい。カプセルホテルならぬボックスホテルか?
ホタテビキニ研磨の為の指導申し込みもしておいた。どの講師が空いているかは不明。終業時間までには分かるみたいだ。
「連絡は 職校(ここ) でいいか? 冒険者ギルドがいいならあっちでもいいぜ」
「そうですね、職校でお願いします」
「よっしゃー、貰った酒かっ食らって小部屋で寝るぞ。カーテンもあればベッドも置いてある。妖精ホイホイってとこだな。メシも食える冒険者ギルドだと泊まれねぇだろうな」
妖精ホイホイね……。ベッドはドールサイズと言うか妖精サイズのベッドが置かれていた。スノコベッドに布団付き。ちょっと鑑定してみたい。
(鑑定)
妖精用の 荷台(パレット) ベッド: 荷台(パレット) を並べて作ったベッド。重ねて仕舞えるので部屋を広く使う事が出来る。底無し 荷台(パレット) はスノッコと呼ばれる。布団は三つ折りにして重ねた 荷台(パレット) の上に乗せると邪魔にならない。
スノコじゃなくてパレットだった。そしてさらに付け加えるとスノコじゃなくてスノッコ!! 過去の転生者が仕事したんだな。布団を三つ折りって、どう考えても前世の日本仕様だろ。
さて、コカちゃんを迎えに行くか。
「ミーシャ、あのコウモリとクルラホーンってミーシャの知り合いなのか?」
「あ、パートさん。そうです」
「凄え。どうやって捕まえてきた? やっぱりカミチスイホイホイ?」
「カミチスイホイホイ?」
何そのホイホイ。そんなトラップがあるのか?
「あれ、知らない感じ? 赤ワインを飲んだ後のグラスをテーブルに出しっ放しにしておくと捕まえられるんだぜ」
「あっ、なるほど」
「ワインを扱う所で使う技らしいぜ。こう、花の蕾みたいに底が膨らんでいて飲み口が先細の形のグラスだと逃げられなくて良いって聞いた」
まさかのワイングラスの使い方。って言うかワイングラスが【カミチスイコウモリ】対策でそうなったみたいじゃないか。俺としては過去の転生者、もしくは上様が 「ワイングラスはこの形状」 って伝えただけじゃねぇか? って思う訳だけど。
頭からワイングラスに突っ込んでグラスの底に残った赤ワインを舐め取ったまでは良かったけれど、グラスがツルツルで登れない…と。シャンパングラスだったら方向転換すら無理だな。ワイングラスなのにウツボカズラみたいな事になろうとは。
「捕まえた後はどうするんです?」
「一匹二匹なら山奥に捨ててくるって聞いたけど。喰った話は聞かないなぁ」
本当は涙目化した赤ワイン、つまり赤ワインビネガーを強制的に飲ませてから野に放つのが正解なんだとか。暫く寄り付かなくなるらしい。
「ミーシャは赤ワインをグラスで飲む時にクルクル回すのって見たことない? あれって捕まえた【カミチスイコウモリ】をグラスの中でクルクル回す動作から来てるらしいぜ」
グラスをクルクル回す行為が広まったのは、ワインが先かコウモリが先か。
哀れ、ワイングラスの中でクルクル回る【カミチスイコウモリ】。目が回るやつだ。そうやってから取り出すとコウモリが飛んで逃げられないので簡単に捕獲出来る次第。いや、それどこの都市伝説ネタだよ。信じるも信じないも貴方次第ってやつ?
あっ、これが本当の 回転コウモリ(グルグルバット) !!
「あの【カミチスイコウモリ】は先日補修した作業場の梁のところで弱っているのをアンディーが捕まえました。面白がって赤ワインを与えたら懐かれたんですよ」
「そうだったんだ。いいよなー、空を自由に飛ぶのって憧れない?」
「はい」
「魔道具になればいいのにな」
飛行実験はハーレー=ポーターさんも見学していたから将来的には飛行ユニットが生まれるかもしれない。
そんな会話をしてから別れた。パート君は炭焼きに戻るらしい。今日はこの後、寝ずの番になるとかなんとか。それでも飛行実験が見れたから文句なしなのか。
ムキュウ キュウ?
(「ますたー こうもり くるくるちたい?」)
「ボクはしないかな」
ムキュ〜ゥン
(「くるくるちてみたい」)
いかん、アンディーがワイングラスくるくるに興味を持ってる。いや、やらせないからね。
ガジェットがアルチュールさんを飛ばせるなら、もしかしたらカトリーヌも飛ばせるかもしれないぞ。カトリーヌは手持ちハーネスで運ばれ慣れしてるから、ゆっくりとした水平移動ならコウモリ式移動法でも問題なさそう。
ムキュウ?
(「ますたー どちたの?」)
「いや、ガジェットってカトリーヌを運べるのかな? って考えちゃった」
プープー ププー
(「アタシ試したいかもー」)
そうだ、戻り途中にラルフロ=レーンさんに鉱石の取扱店の話を聞きに行かないと。どうせいつ訪ねても居るんでしょ?……と思って訪ねてみたら居なかった。仕方ない、明日出直そう。