軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第556話

「ミーシャ=ニイトラックバーグにクルラホーンと【カミチスイコウモリ】の飛行実験の申請をされた時は驚いたがね」

「校長先生、申し訳ありません」

「いやいや、なかなか興味深い実験だったようで、見学希望者の選定に苦労したよ。昨日の今日でこれ程の希望者が出るとは。アルチュール氏と【カミチスイコウモリ】の許可さえ出ればまたお願いしたいぐらいだ」

「そんなに人気なんですか?」

「魔法使いもゴーレム技師も興味津々だったよ。一部のテイマーや錬金術師もだね」

「まぁそうだろうな。クルラホーンとカミチスイが揃う事自体珍しいんだ」

「そうそう、職校側からもお礼の赤ワインを用意している」

キイキイ キイキイ

(「あざーっす」)

「手伝って良かったぜ」

「それなら、先に普通の赤ワインを飲んじゃって下さい。美味しい味のはその後で」

「おいミーシャ、校長の前で飲ませるのかよ」

「いや、構わないよ。仕事の後の一杯ほど美味いものはないからね」

「流石校長、話が分かる」

校長室で赤ワインを飲むクルラホーンと【カミチスイコウモリ】。う〜ん大胆だな。俺には無理だわ。

「それでミーシャに頼みがあるんだけどな、俺はもう少しこのコウモリ、相棒と空を飛んでみてぇのよ」

キイキイキイ?

(「マジっすかアニキ」)

「えっ?」

「いや、マジで楽しかった。飛行実験だけでなく、もっと色々飛んでみてぇ。だからミーシャ、ミーシャには申し訳ねぇんだが頼まれてくれねぇか?」

「何をですか?」

「そのカミチスイをテイムしてくれや」

「へ…っ んぁっ?」

アルチュールさんのまさかのお強請りに思わず変な声がでた。そして校長先生、なに苦笑いしてるんです? 俺の苦境を見て喜んでませんか?

「テイム…って」

「俺だとマジで【カミチスイコウモリ】のテイムは不可能だからな。だから相棒をミーシャにテイムして貰うと。それで俺に貸し出してくれりゃーいいって訳よ」

キイキイ キイキイ キキ?

(「姐さん、俺を囲ってくれるんすか? 餌あざーっす」)

「ちょっ、ちょっと待って下さい」

「ああそうか、テイムだけだと微妙だったわ」

「そこは家族か冒険者パーティー、もしくは共同研究機関として 連携(リンケージ) が必要だね。まして命を預ける間柄となれば」

「えっ……、ちょっとちょっと」

勝手に進む話に軽くパニックになりかける。そして前世のお笑い芸人さんのネタで、「ちょっとちょっと」と言った後に罵ってるくせに和解しているネタがあったよなぁ……。「生霊憑依〜」ってネタも好きだったけど。

「一番後腐れ無いのが冒険者パーティーを組むってやつだな」

「アルチュールさん……」

「ん〜〜俺だと不服か?」

「不服もなにも、アルチュールさんとは対等な仕事仲間だと思ってますよ。いい仕事しますし」

「ミーシャ=ニイトラックバーグ、冒険者パーティーと言っても戦闘の為のパーティーとは限らないものでね、大所帯になれば後方支援の生産メンバーも控えていたりもするものだ。引き抜き防止で態と冒険者パーティーを組んでいる自衛している職人もいるぐらいだよ」

「引き抜き防止ですか?」

「ヒト族なんかは優秀な職人を囲い込もうとするものだからね」

「幸い俺はフリーだぜ」

冒険者パーティーというよりチーム◯◯って言った方が俺にはピンとくるか。家族や共同研究機関だと仲違いした時に関係を切り辛いけど、冒険者パーティーなら離脱も解散も簡単って事ね。そこでパーティーから追放系のラノベを思い出すのは俺が転生者だから? あ、家から追い出される廃嫡系もあるな。

「つまり、ボクがアルチュールさんと冒険者パーティーを組み、従魔にした【カミチスイコウモリ】を貸与するとアルチュールさんが空を飛べるんですね」

「そうそう」

キイキイ キイキイ キイキイ キイキイ

(「姐さんは腹減ってブッ倒れてた俺を保護して餌を飲ませてくれたっしょ? その後も保護して定期的に餌を飲ませてくれるって、マジありえねー」)

「お前は毎度毎度、キイキイ キイキイ五月蝿えなぁ……」

キイキイ!!

(「アニキ、酷いっす!!」)

これからもアルチュールさんに色々お願いするつもりで居候を誘ったけど、そこでコウモリは関係なくパーティーを組んでおくと何かと便利って事は理解した。

ムキュウ キュウ

(「あたち こうもり きらい」)

「アンディーはコウモリさんが嫌なの?」

キュウ!!

(「きらい!!」)

「アンディーが拒絶してるので……」

キイキイ キイキイ……

(「そんな姐さん……」)

キュウキュウ ムキュウ!!

キイキイ キイキイ

ムキュウ ムキュウ

キキキイ キイキイ

ムキューーキュウ!!

あっ、ケンカなのか交渉なのか分からない会話が始まった。多分、俺の背中を賭けた戦いだな。アンディーの勝ちに野草クッキー百枚!!

キイキイ キイキイ……

(「カーバンクルの姐さんに譲るっす」)

ムキュウムキュウ!!

(「ちがうの あたちの」)

キイキイ

(「了解っす」)

ムキュウ キュウキュウ

(「こうもり くるらほーんの せなか あげる」)

えっ、アンディー、コウモリのポジション決めちゃったの? 従魔契約しないと駄目なの? 森にお帰りする選択肢は……。

「職校と学園に情報を提供していただけるなら、その対価として定期的に赤ワインを提供する事を約束するが」

「校長、太っ腹だねぇ」

「貴重なサンプルだ。いいデータが取れるのを期待しているよ」

「コウモリさんを従魔にするとしても部屋が無いんです」

「ミーシャ=ニイトラックバーグは寮住まいだったね」

「はい。【グライダー・カーバンクル】、【手持ち豚】、【コカコッコ】の雛が居ます。従魔用トイレの赤スライムも置いているので、そこに【カミチスイコウモリ】を加えるスペースが……」

「満杯じゃねぇか」

「厳しいがもう一部屋借りる程ではない……と。オロール非常勤講師の部屋はどうかね?」

「オロール先生にお願いする事も考えたんですけど、オロール先生って煙草を吸われるので……」

「それは止めた方がよいな」

キイキイ キイキイ……

(「そんな姐さん……」)

従魔化しないで野良猫に餌をやる状態なら楽でいいんだけど。そうもいかない感じだ。

「それではミーシャ=ニイトラックバーグの家が出来るまで職校の小型従魔の預かり場で預かろう。鳥用のスペースを提供しよう」

あっ、校長先生がトドメの発言を……。