軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第547話

コッピョ コッピョ

(ヒゲママ おうちに かえろう)

初期飼料が少し変更になっていた。それと貝殻の砕片が追加された。砂嚢に蓄えられる石ってやつかな。

親元に預けたら何かを教わったらしく、無闇矢鱈とオロール先生を突かなくなっていた。そこ、残念がらない。コカちゃんが成鳥になったらオロール先生も存分に突いてもらえるんだろうな。

あ……、オロール先生って高血圧とか持ってたら治ってるんじゃないのか?

まさか、コカコッコが突く事により古代エルフの寿命が延びる効果が期待されています、なのか? それなら俺を突いた時に尿酸も分解してくれないかなぁ……。

職校に戻ったのでクルラホーンの【カミチスイコウモリ】飛行実験の申請をしておいた。メッチャ食い付かれたんだけど。午後から公開実験と言うことにされた。今から学生用の掲示板に張り出される模様。自然の動きからゴーレム機構に流用出来る動きを見つけるとか、そう言ったネタ探しの場になるのか。間違っても対クルラホーンの拷問方法を模索するとかではないハズ。

明日、ちゃんと働いてもらう為にコウモリに餌を与えた。土魔法『土器』で盃を作り、そこに赤ワインを適当に注ぐ。鳥カゴの中に入れてやるとキィキィと鳴きながら地面に降りて盃に向かって歩き始めた。そして美味しそうに赤ワインをペロペロと舐め始める。そこそこ可愛いけど飼わないからな。舐め終わると鳥カゴをよじ登り逆さにぶら下がる。所謂コウモリスタイルだな。一応、コウモリにも明日の実験を伝えておくか。いきなりアルチュールさんの背中に着けられ 「さあ飛べ!」 と命令されても困惑するだろう?

「コウモリさん、明日なんだけどクルラホーンの背中にくっついて飛んで貰えるかな? 頑張ってくれたら明日も赤ワインをあげるよ」

キィキィ キィキィ

取り敢えずお願いはしておいた。伝わっているかどうかは不明だがな。

ムキュウ〜〜 アンディーが俺の背中で皮膜を広げる。飛べないけどね。もしかしたら 「こうやるの」 って説明してるのかもしれない。それとも 「ますたーの せなか あたちの なの」 アピールなのか?

お風呂と夕飯も済んだのでオロール先生の部屋を訪ねた。行きたくないけど呼び出しを食らったから仕方ない。

「ああ、来たか。上がっておくれ」

オロール先生の正面に座ると例のヘネシーの呪文が唱えられた。オロール先生は既に【翻訳コニャック】を口にしているのか、ドワーフ語で話しかけてきた。

「さて、話というのはだ、ミーシャ、あんたの記憶は 三毛皇(みけおう) 様のいた世界と何らかの繋がりがあるんだろう?」

「えっ、それは……」

「濁さなくてもいいよ。魂見で少し見えてしまったからね。同じ時代でないにしろ、同じ世界か同じ国か、魂の過ごした場所に縁があったよ」

あ……、これは誤魔化せないやつだ。仕方ない、腹を括るか。

「はい……。その通りです」

「大丈夫、この魂に関わる話は私とミーシャと 三毛皇(みけおう) 様にしか共有出来ないから安心しておくれ。この魂見の時の防音の呪文を使った時はだね、その中で知った秘密は第三者に漏らせなくなる制約が掛かるんだよ」

「そうなんですか?」

「これはカミサマから貰った 能力(ちから) だからね。カミサマが秘密を漏らしてはいけないと決めた事だ。守らないと 能力(ちから) も 生命(いのち) も失われるよ」

「厳しいんですね」

「まぁ、私らには当たり前の話だから気にもしてないが。まぁ、そんな訳で二人を養子にしておいた方がいい気がしたんだよ。後、ナツメグと呼ばれていた者の魂が『ハポン=ヤポン』に流れ着いたら、それも探しに行くんだろう? その未来に対しても対策を取っておかないといけないだろ?」

なんだ、養子の理由は酒云々じゃなかったんだ。俺のホヤッキーの伝承者も只の方便かもしれないぞ。

「それで 三毛皇(みけおう) 閣下を誘ったんですね。お酒目的じゃなかっ……」

「いや、酒は本当だよ。ついでにミーシャを継承者にしたいのも本当さ」

俺の思いはオロール先生に遮られた。ホタテビキニの継承者は覆らないのかよ……。

「ボク、受け継ぐのはいいですけど、ヘタクソだったらどうします?」

「そこは技術も知識も完璧だと文句なしだけどねぇ、まぁ技術は伴わなくとも他人に説明出来る知識だけでも受け継いで貰えれば、それで構わないよ。なに、技術は古代エルフの誰かが完璧に受け継ぐだろうし、古作の布が残っていれば解析は出来る。それには記録ともに知識が必要だからね。ミーシャは知識だけでも受け継いでおくれ」

なーに、指導員は実技がイマイチでも何とかなるモノさ、とオロール先生がケラケラと笑った。

「がっ、頑張ります」

「それと、まだあるよ。ミーシャは従魔と会話したくないかい?」

「はい、したいです。従魔でなくても話しはしてみたいです」

チョイ待て、そっちの方が爆弾発言だ。オロール先生には死者の声を聞くだけでなく、動物達の声を聞く能力があるとでも言うのか???

「まぁ、スキルを得るには少々苦労だけどね。精霊を使役出来る様にならないといけないねぇ……」

そのスキルは『カーヴェーの耳』と言うスキルで、伝説の巨人カーヴェーの様に様々な生き物の声を聞き取る事の出来る能力なのだとか。生き物の声に耳を傾け過ぎて街道で動けなくなったとか何とか。そのカーヴェーが使役していた精霊がジョージとメアリーだ。

「興味は有るけど、スキルの取得方法が大変なんですよね」

「数年単位だね。なので、この帽子を使う」

そう言うと俺の頭にいきなり帽子を被せた。オロール先生の次元収納って収納容量はどれぐらいあるんだろう?

「こっ、これ……、えっ、お椀!?」

鏡に映った俺の姿は、頭にお椀の様な何かが乗っていた訳で……。