軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第531話

「コカちゃん、おはよ……」

あ、そうだった、コカちゃんは親元に預けてたんだったな。俺より少しだけ早く起きていて、俺が起きるとコッピョ コッピョと鳴いて応えてくれるコカちゃん。まだ何日も一緒に過ごしてないのに、居ないとこんなに寂しいんだ……。

二頭が起きる前に身支度を済ませる。今日は髭飾りを外していこう。

一応、武器は装備でという事なので忘れずに持っていかないと。アンディーは背中、カトリーヌはスライムバッグの中に入れて目的地まで移動する…と。集合場所が冒険者ギルドなので不足する物があれば買い足せるのが便利。

俺は学生枠の冒険者ランクなので、一人だとマツタケ狩りに行っちゃいけない。冒険者としてのランクはF級扱い。

下から F(フリー) 級、 E(エントランス) 級、 D(デビュー) 級、 C(キャプテン) 級、 B(ベテラン) 級、 A(アドマイヤー) 級。

さらに上にはS級とかSS級とかもあるらしい。ドワーフには居ないけど。R級とかRX級とかZ級とかGT級なんかがあるかは聞いてないから不明だ。

一般的には E(エントランス) 級が一番下って事になっている。その下にある F(フリー) 級は名前の通りフリー。一応、冒険者扱いにしといてやるからご自由にどうぞって事だよ。元冒険者が復活登録とか、冒険者の身分が必要な場合に証明書代わりに登録するとか、そんな使い方をするのが F(フリー) 級。フリーダムだとかフリーランスだとか、そんな意味合いね。フリータイムとかフリースタイルではないと思う。犯罪歴があると冒険者にはなれないから、一種の身分証明代わりに用いる事も可能。

しかもこのF級、三年で失効する。その度に更新または再登録が必要。前世の運転免許と大差無し、しかも青い色の免許証だな。まぁ手間と金とを惜しまず犯罪を犯さなければいいだけの事よ。お金と言ってもエールを何杯か我慢するだけだ。

簡単に朝食を済ませて冒険者ギルドに向かう。アリサお姉ちゃんが居るからトイレ用のスライムを持ち運ばなくていいのが楽だ。街道や林道のどこにトイレが設置されているか分からない場合、スライム 龜(かめ) にスライムを入れて運ばないといけないからな。何せ従魔で大所帯なもので。

「ミーシャちゃん、おはよー」

「アリサお姉ちゃん、おはようございます」

「チーウは受付に手続きに行ってるから先に準備しちゃおう」

ヒル避けのゲートルを巻いてもらい、装備を確認する。

「今回は盾はどうしようかな……」

「盾、忘れてきました」

「要らないっちゃ要らないんだけど、間違ってホーンラビットなんかと遭遇したら困るし……。でもキノコ採取が目的だからなぁ……、よしお姉ちゃんの秘蔵の盾を貸してあげよう。ちょっと待っててね」

そう言うとアリサお姉ちゃんはロッカールームに向かっていった。『地底 娘(こ) 』で借りている荷物置き場があるのか。

「はい、トレー・シールド。軽くて丈夫なやつね」

「アリサ、それって……」

「あ…、落ち葉が気にならないトレー・シールド……デス」

トレー・シールドって、お盆の盾かよ。しかも四角いやつ。

「アリサお姉ちゃん、これ……」

「わっ、若気の至りだよ。面白がって作ってみたけど……」

「ウケなかったよね。素材が素材だから仕舞ってあるだけで」

お盆の盾、と言うより窓の盾だな。四角いフレームの内側に謎の半透明素材が嵌め込まれている。田舎にある古い家屋の建具に付いているガラスみたいな微妙な歪みのある素材だ。拳で叩いた時のコツコツした音がガラスではない事を教えてくれる。アクリルというかポリカーボネートというか、そんな感じだ。しかも握る所が中央にあるので窓ですらない。

「アリサお姉ちゃん、これは一体?」

「盾だよ……。向こう側が見えたら便利かな〜? って思って作ってみた」

ムキュウ

何を思ったかアンディーが盾に貼り付く。目の前にはアンディーのお腹、ちょっとレアかも。

「そう、そんな感じで敵の様子が見えたら面白いかな? ……って」

「でも、それを作るのに【 魔(ま) ホガニー】とクラーケンの中骨を使うかな?」

「だから、反省してるって」

フルヘルムのバイザー部分に使われる事のある構造を盾に試した訳か……。

「アリサお姉ちゃん、これってタワーシールドだったら機能すると思うんだけど」

「あちゃー、ミーシャちゃんにもリンドと同じ事を言われちゃったよ」

「これ、タワーシールドにしてファランクス陣形を取ると戦闘しやすいですよね」

「そうそう。ミーシャちゃんって戦闘狂じゃないのに戦略や戦術に博識なところがあるよね」

スモールシールドとしてはイマイチ使えなかったけど、ブレイクバードというガラス窓に突進してくる渡り鳥の居る地域では窓ガラスの代わりに使われる様になったから無駄ではなかったみたいだけど。

「これ、ケージの素材に出来そうですよね。こう……箱の側面をこの素材で組んで、底面は板材で、上部は金網でも掛ければ中に入れた生物も窒息しないだろうし」

「ミーシャ、ちょっと商業ギルドに寄っていこうか。時間は取らせないから」

「えっ?」

ちょっと待て、まさか水槽的なケージって存在してなかったのか!?