軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第527話

アンディーにしてみたら梁に居着く小型魔獣がお腹を空かせて動けないでいたのを哀れに思い、親切心で俺の所に連れてきたという訳なんだけど、餌を貰って元気が出たら勝手をされて…って、軒を貸して母屋を取られる状態か。しかも相手が酔っ払いのコウモリ。

ムキュウ ムキュウ

(「こうもり じゃまなの すてるの」)

「おやおや、カーバンクルがお怒りじゃねぇか」

ムキュウ ムキュウ!!

(「おれい ちて!!」)

キィ……キィキィ

アンディーの剣幕に押されたのか【カミチスイコウモリ】が俺の胸元からパッと飛び立ち地面に降りた。そしてキィキィと鳴きながら 蹲(うずくま) る。何というか、土下座している様に見えるし。

「あら、意外と素直ですわね」

「コウモリさん、ボクは気にしてないから。でもアンディーには謝って欲しいな」

キィィ……

土下座再び? これ、多分謝った…のかな? そして【カミチスイコウモリ】はヨチヨチと地面を歩くと俺の脚を登り、腰まて来るとおもむろに逆さまに貼り付いた。

ムキュウ!!

キィィ キィィ

アンディーが俺の背中を陣取り、尻尾でコウモリが邪魔だとばかりに払い落とそうとする。端から見たら面白い構図なんだろうけど、俺からしたら迷惑です。

「まぁ、背中を巡って陣取り合戦が始まりますわ」

「あの……【カミチスイコウモリ】って何か役に立つんですか?」

「冒険者だとダンジョンで斥候代わりに飛ばすって聞いた事があるな。ベテランのシーフより劣るみたいだけどな」

「それ、役立たずなのでは?」

「テイマーのソロパーティーなら使えるんだろ?」

役に立ちそうもないなぁ、悪いけど赤ワインは飲まれ損って事でサヨナラしよう。

「あのグェン棟梁、そろそろ足場を……」

「おっ、 悪(わり) い 悪(わり) い。チィとばかしコウモリで盛り上がっててな」

「コウモリですか?」

「ほれ、そこ。カミチスイが出た」

「おや、巣食ってましたか」

キィィ キィィ

「あの先生、この【カミチスイコウモリ】って何か役に立つんですか?」

「立たないね」

「野に放ちますの?」

「アンディーと喧嘩しちゃってるので、可愛そうだけどそうしようかと」

「ん……、あっ、一つ面白い使い道があるな。ドワーフじゃなくてクルラホーンだけど」

「クルラホーンですか?」

「【カミチスイコウモリ】を背中に装備するとクルラホーンが空を飛べる様になる」

「まぁ素敵」

「えっ!?」

空も自由に飛べるかな♪

ハイ、カミチスイコウモリ〜(ダミ声)

まさかのクルラホーン用飛行装備!! 酔っ払い同士仲良く出来そうではあるが。

「クルラホーンに知り合いがいたら売り飛ばしてみたら? 心当たりがなければそのコウモリは引き取るけど」

「あ……居ます。欲しがられるかは分かりませんが」

「だったらそのクルラホーンに会うまで飼っていたら良いんじゃないかな? 基本的には赤ワインを与えていたら逃げないよ。邪魔なら鳥カゴにでも入れておいて。一・二カ月飼うだけなら従魔登録も不要なんだし」

という訳で、アルチュールさんに会うまで【カミチスイコウモリ】をキープすることになってしまった。アルチュールさん用の赤ワインの補充と、餌用の赤ワインを手配しないとダメじゃないか。

そしてアルチュールさんは自由人なのでいつ会えるか全く分からない。会える時は毎日でも見かけるのに、ここ最近は姿を見せていない。まさか集塵の魔道具に吸われてないだろうな?

流石にこのコウモリは部屋に置きたくないので、鳥カゴに入れて職校の従魔の待機場所で預かってもらうことにした。餌の赤ワインさえ用意したら待機場所で預かって貰えるのは嬉しい。待機場所にはトイレも置いて有るし。

キュウ ムキュウ!!

(「こうもり しちゅれい ますたー ゆるす だめ」)

「アンディー、嫌な気分にさせてゴメンね」

キュウキュウ

(「ますたー わるくないの」)

おのれコウモリ。もし益獣だったとしても今は従魔を増やす訳にはいかないのだ。これで蚊や蝿を食べてくれるとかだったら飼ってもいいけど、今の所カトリーヌがいるからその辺りでは困ってないし。

早いところアルチュールさんに押し付けちゃわないとな。そして一度飛んでる姿を拝ませてもらいたい。

学生課にはアルチュールという名前のクルラホーンが来たら俺に連絡して欲しいと伝えておいた。掲示板の下の方にもメモを貼っておいたけど。流石にXYZでは伝わらないだろ。

ちょっと気になって [ XYZ ] ってメモを貼ったら何が起きますか? ってその場にいた講師に聞いてみたら、「 [ XYZ ] だと何も起きないけど、 [ WXY ] は “ ホヤッキー装備入荷しました ” の合図だよ」と教えてくれたよ。そうか、ホタテビキニのサインなのか。迂闊に書いちゃダメなものは覚えておかねば。

少し早いけどコカちゃんを迎えに行ったらタッキーとチャーモに怒られました。理由が分からない。

「何かありましたか?」

「特には……」

「雛が疲れているみたいなのですが」

「あっ、昨日と今日、朝に古代エルフの方を突いてました。解毒されて酔いが覚めたって言ってたから、それくらいしか思い付く事は無いですね」

「あ〜、それです。まだ雛にさせるには早いです」

「えっ、そうだったんですか? コカちゃんが楽しそうに突いていたので」

「目の前に面白そうなものが有るのが見えちゃったんですね。毒状態になっているものを突くのはコカコッコの習性ですが、雛には負担が掛かりますので」

まさかコカちゃん、張り切り過ぎてお疲れ気味だったとは。

「雛は五の日の夕方までお預かりします。多分、今は親が離さないと思うので」

「分かりました。タッキーとチャーモに謝ってきてもいいですか?」

ちょっと興奮気味の二羽に謝罪を入れたら何とか許して貰えた模様。職員さんの話から判断すると、オロール先生と言うか古代エルフを突いたのが悪かった模様。古代エルフは被毒の数値のレベルが高いって事らしい。それを綺麗に解毒しちゃったんだからなぁ……。