軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第457話

美味しそうに【甘み蔓】をストロー代わりにしてエールを飲んでいくアルチュールさん。野草サラダを食べていたカトリーヌが薫製の匂いのする煙をポフッと一吐きする。そして香りを乗せた空気が奥の方にスーッと流れていった。

「おい、ソーセージ喰ってる奴がいるのか?」

「いい匂いで美味そうだな……俺もソーセージだ」

カトリーヌ、今日はソーセージを食べてないのに何を思ったのか営業協力をし始める。もしかして俺に注文のお強請りをしてるのか?

カトリーヌは更にプープーと鳴きながら紅茶の匂いの煙も一吐きした。これはどうも遊んでるっぽいぞ。

「急に注文が立て込んだと思ったら、ここの豚さんがお手伝いしてくれてたのね。はい、お礼に野草クッキーよ」

カトリーヌはプープー鳴きながら尻尾を振ってお礼をする。これは遊びなのか善意なのか俺には全く分からない。

「ミーシャのブタが『燻風』で遊びやがったな」

【手持ち豚】は人が喜ぶ香りの煙を吐き、風に乗せて漂わせるスキル『燻風』を持っているのか。これ、焼きたてパンやタコ焼きの香りとかも流せるんじゃね?

「エールを飲んで思い出したぜ。先ずは納品な。 木賊(とくさ) を接いだやつだ。【ツルノマメ】はそのジョッキ半分ぐらいは集められた。【ヤベー泥】は無理だったし、【ヤベー汁】は一本だけな。嫁も仲間も頑張ってくれてるんだけどよう、変なモノばっかりだから集めにくくてな。それでも連中、集めりゃ酒が飲めるから喜んでるけどな」

「ありがとうございます。帰るまでにはお酒を準備して渡しますね」

「助かるぜ」

「ところでクルラホーンって何処に住んでるんですか?」

「まぁ、そりゃあ 他人(ひと) ん家とか牛小屋とか馬小屋とか、木のウロとかプルモハウスとかだな。積んだ藁の中に住んだりもするぜ」

「持ち家がある訳じゃないんだ」

「クルラホーンもレプラコーンも基本的には人様の家を間借りして、何らかの労働で家賃分を返す暮らし方をしてっからな。シルキーほど定住はしてねぇな」

「そうなんですね。じゃあ五年、十年と同じ家に住んだりはしないんですね」

「家主と折り合いが付けば住むこともあるな。まぁ、俺らクルラホーンもレプラコーンも家主に嫌われる系だからショートステイで諦めてるね」

「あの……、相談なんですけど、まだ先の話で申し訳ないんですが、ボク、『スワロー』に家を建てる予定があるんです。敷地の中にアルチュールさんの住める場所を作ったら来てくれます?」

「マジか?」

「マジです。アルチュールさんって結構働き者だし。敷地に住んでもらったとしても仕事の対価はお金とお酒で支払いますよ」

「ああ〜〜、悩ましい。たまにフラッと姿を眩ましていいんなら嫁と住みにくるぜ」

「本当ですか?」

「雨風凌げたら気にしねぇ」

「いやいや、ちゃんとした場所を提供しますよ」

「何でまた家を建てるんだ?」

「今は職校の学生寮に間借りしてるんですけど、従魔が増えてきたので寮に住むのも大変な感じになっちゃったんです」

「カーバンクルにブタか。トイレ用のスライムも居るんだろ?」

「はい。もうすぐコカコッコの雛も増えます」

「そりゃあ寮だと狭いわな」

「同居してないですけど、ポニーも二頭とも従魔契約してます」

「どんだけだよ!!」

「だから家を建てる予定なんですよ」

「そういや、『スワロー』の外側が騒がしいけどな、何か知ってるか?」

「『スワロー』の外側を郊外として開発するそうです」

「広くなるのかよ」

「だそうです。ちょうど郊外の土地が売り出されるのでそこに家を建てようかと……」

「まぁ、暫く先だろうけど家の話には乗ったぜ。嫁にも言っていいか?」

「はい。構いませんよ」

取り敢えずアルチュールさんに敷地内に住んでもらう話は付いたということで。色々とお願いする事が多いからね、近くに住んでもらえたら俺としても楽なんだよ。

アルチュールさんは二杯目のジョッキに突入。その体の大きさでその量が飲めるのかよ!! まぁ、ドワーフでも樽酒を飲む奴がいるからそこまで驚く事でもないのか。

ムキュウ

(「ますたー おやちゃい おいちいの」)

「アンディー、カトリーヌ、野草サラダは足りてる?」

ムキュウムキュウ

(「おかわり ほちいの」)

プキィ

従魔用野草サラダ、何のことはない野草類を皿に盛っただけの簡単なメニューだ。鑑定したら、意識高そうなサラダだったよ。それこそ、カイワレ大根とかブロッコリースプラウトにアルファルファ。キャベツもレタスも乗っている。花キュウリとかセロリ葉とかニンジン葉とかハコベとか、前世でもそうそうサラダに入れないだろ…ってね。まぁ、ヨモギもサラダに入れないな。それよりジュネー葉って何? これって異世界植物なのか?

(鑑定)

【ジュネー葉】: ジュネーの葉っぱ。前世のエゴマの葉。

エゴマって、焼肉を包んで食べる葉っぱだっけ? いや、サンチュとは別なやつよ。サンチュはレタスの仲間っぽくて、エゴマはシソの仲間っぽかったハズ。

そうか、異世界植物は【 魔増(マゾ) 草】だけか……。俺、従魔用野草サラダ、食えるな。食ったら食ったで、また騒がれそうですけどね。

「うぃ〜、♪ 酒は飲め飲め、飲んだくれ〜〜っと」

アルチュールさんが出来上がってきたな……。