軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第456話

従魔を増やすのはいいけど、しっかりと餌代を稼がないとなぁ。前世で読んでいたラノベの中に出てくるテイマー達は人知れず餌代の工面に苦労していたんだろう。

紅茶のお店に行ったらカトリーヌがスライムバッグから顔を出してきた。茶葉の香りに反応した?

プピプピッ

「あら、可愛いらしいお客様ね」

プープー

美味しい匂いに誘われたのか、カトリーヌがポワッと煙を一吐きした。紅茶のお店で紅茶の香りの煙を吐いてもよく分からないよねぇ……。

「あら、美味しいお茶を飲ませてもらってきたのね」

プープー

「分かるんですか?」

「ええ。これ、うちのお店の茶葉がベースね。ハーブもブレンドかしら?」

「ボクも先程ごちそうになってきたばかりで、このお店をオススメされました」

「そうね…、基本の紅茶とハーブブレンドを試してみたらどうかしら? ドライフルーツとかは好みで足したらいいのよ」

「それでは何杯か飲める量をお願いします」

そう言えば、紅茶も緑茶も烏龍茶も元になる茶葉は同じなんだっけ? 異世界でも同様だったら緑茶探しをしてみようかな。それより俺はコーヒーが飲みたいんだが。

まぁ、緑茶が無ければ【 魔増(マゾ草) 】を飲めばいいじゃない。

紅茶も買ったので寮の部屋に戻ろう。明日から合同講義で座学が続くし、いつ始まるか分からない収穫実習もあることなので、早目にアマゾナイトを仕上げ研磨しておこうと思う。納品は強化石の話を聞いてからの方が良さそう。

そう思っていたら名前を呼ばれた気がした。

ムキュ

(「おさけの うたうの」)

(「お酒の歌?」)

(「ようよう うたうの」)

「ミ…… シャー……」

やっぱり呼ばれてる!! あの声……って、アルチュールさん?

「もしかしてアルチュールさん? どこです?」

「酒………くれ、YO」

ちょっと待って、ポーション瓶に『 生命之水(蒸留酒) 』を入れたのは持ってるけど、その他に手持ちが……。いっそのこと食堂か酒場で奢った方が早くないか?

「ちょっと待って下さい。すぐ渡せる手持ちがこれしか無くて。アルチュールさんが良ければ今からお酒を飲みに行きません? ごちそうしますよ」

「マジ? 飲みに行くのマジ? マジマージ?」

「マジです。でも、従魔とクルラホーンが入っても怒られない所って事で、冒険者ギルドの酒場になっちゃいますけど」

「何処でもイイぜ」

という事で冒険者ギルドの酒場スペースに入る。ドワーフ一名、従魔二頭、クルラホーン一名という何ともカオスなメンバーよのう。まぁ、成人ドワーフと従魔と妖精だと考えれば……。それに俺、学生枠だけど冒険者登録してあるし。

「アルチュールさん、取り敢えずエールでいいですか?」

「任せる!! 奢られる側は何出されても文句言えねえからな」

食事に関しては実質俺一人みたいなものなので、当たり障りなさそうな一人用肉盛りプレートとパンを注文。アンディーとカトリーヌには従魔用のクッキーや野草サラダを注文した。俺もそれを食ってみたいのは秘密だ。

アルチュールさんには妖精サイズのコップ、それってショットグラス?っぽい物が渡された。そして小さなお玉を使って俺がそのコップにエールを小分けしなければいけなかったよ。零しそうなんだけど……。

「零したらごめんなさい」

「いや、零したら零したでソレ飲むからな」

テーブルに零れた酒を飲むとか、そんなアルコール依存で手が震えて酒を零すとかじゃないんだから……、あ、クルラホーン呼び病の噂が本当か聞いてみないと。その前に乾杯だな。

「先ず乾杯しましょう。アルチュールさん、そのジョッキの中のエールはボクからの奢りなので全部飲んで下さいね」

「ヒャッホー、クルラッホー!! ゴチになりゃーす!!」

アルチュールさんが手にしたエールがアッという間に飲み干される。お代わりを注いであげないと。

「貰ったエールは美味い!!」

「それは良かったです」

「エールは飲み残しか樽の底に残った残りカスしか口に入らねぇからなぁ……」

「それより、クルラホーン呼び病って知ってます?」

「なんだそれ?」

「お酒に依存してしまってジョッキを掴む手も震えてしまい、ジョッキからお酒が零れちゃうそうです。その零れたお酒にクルラホーンが群がってくるという噂が有るんですけど本当ですか?」

「それは誰の妄想だよ。酒に依存してる奴にクルラホーンは群がらねえけど、マトモな場所に零れた酒は飲むぜ」

結局、零れ酒は飲むんじゃねぇか!!

「いや、ボクもまた聞きした話なので」

「その酒に依存して手が震えるって話だけどな、酒を飲む時だけは手が震えないとか聞いたことがあるぜ」

アルコール依存の人が酒を零してもクルラホーンが寄ってくる訳ではないことが分かった。そして、それとは関係なくそこそこ綺麗な場所に零れた酒にはクルラホーンが寄ってくる事も判明。

「しかし、この量だとすぐ無くなるな」

「何というか、麦藁で直接ジョッキから飲む事が出来れば楽ですよねぇ」

「あ、【甘み蔓】の茎が有るじゃねぇか。それで飲めるんじゃねぇか? 待て、今出す」

クルラホーンってマイストロー持ってるの?

「へっへっへっ、これは【甘み蔓】の茎だ。この前、亜人や妖精に樹液を集める事業が持ち掛けられたんだけどな、クルラホーンは【甘み蔓】から採った甘い汁を納品する事に決まった訳よ。その関係で見本代わりに現物を持ってた訳よ」

アルチュールさんが【甘み蔓】をストロー代わりにしてジョッキから直にエールを飲み始めた。

「これ、ヤベェな。飲みやすいしガツンと来るじゃねぇか」

「それは良かったです」

「おい、ミーシャ、これ飲み終わってからでいいんだけどよう、商業ギルドに連れて行ってくれや。これはどうみても登録案件だろ?」

そうか、クルラホーンも発案品を登録するんだな。