軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第429話

ヨモギ餅って、茹でたヨモギを餅米と一緒に搗くんだっけ? となれば茹でたヨモギを刻んだりすり潰した物をパン生地に練り込んだりパスタ生地に練り込めば食卓に取り入れられないかな? 餅米があれば一番だけど…。あ、茹でて乾かしたヨモギを粉末にしておけば何時でもヨモギパンやヨモギクッキーが作れるじゃないか。従魔用の【虫来ずクッキー】ってどんな作り方をしてるんだろう?

砕石場に向かった。つい集塵の魔道具に引き寄せられちゃう。お金を貯めて買うまでは職校の備品を使わせてもらおう。そして久々に未来の砕石王達にご挨拶だ。

「こんにちは、お久し振りです」

「おーっ、元気にしてたか」

「はい。でも岩塩でやらかして寝込みました」

「 職校(ここ) の岩塩は汚いからな。まぁ大抵はやらかすな」

「【 魔増(マゾ) 歪(ひずむ) ジュース】は美味かったろう?」

「はい、とても美味しかったです」

「そうきたか。飲み癖を付けるんじゃねぇぞ!!」

未来の砕石王の二人が俺の事を心配してくれたよ。

「ん? 今日は従魔も来てるのか。ここは従魔の入場は…って、騎士格なのか?」

「なかなか見ねえぞ」

「あ、その岩塩事件でアンディーが金級になりまして……」

掻い摘んで岩塩やらかしのあらましを語った。岩塩で魔力枯渇を体験するのは意外と珍しくないらしく、揶揄われたり笑われたりしなかったよ。

「それは大変だったな…、ってミーシャ=ニイトラックバーグは製塩未体験で岩塩でブッ倒れたのか?」

「はい。可笑しかったですか?」

「可笑しいも何も普通は再生塩の製塩で手を抜こうとして岩塩に手を出してブッ倒れるんだぞ。再生塩の実習前にブッ倒れねぇぞ」

「えっ? ええっ???」

「あ、理解してないのか。再生塩を作る為に岩塩を砕いて水に溶かすだろ? それを煮て塩水を濃くしてやって…を繰り返すのは知ってるか?」

「はい。釜炊きするのは知ってます」

「そこで不純物を取り除きながら何度も作業工程を繰り返すだろ? その度に溶かして炊いてな訳よ。暑苦しいじゃねぇか」

「そうですね。夏場は遠慮したいです」

「だろー? だから、一回目の釜炊きの前に不純物をスキルで分離しようとする生徒が出てくるんだよ」

「一回目は土から鉄錆やら不純物が多いからな。 人(ドワーフ) によっては魔力が足りなくてブッ倒れる」

「一回目は物理的に不純物を除去して、二回目以降に分離すれば消費魔力も少なくて済むんだが」

「あ、ボク……」

「どうした?」

「ボク、岩塩の塊に対して不純物分離を試しました」

「マジかよ!?」

「それはどんな面倒臭がりでもやらねぇな」

笑われるやら驚かれるやら。何だかとても恥ずかしい。

「そんなに普通じゃなかったですか?」

「そうだな、俺らの仕事で例えるとだ、ここに置いてある石切り山から切り出してきた石材があるだろ? それを楔で割って扱いやすい大きさにし、更に床材なんかの大きさに加工する。それには魔力も体力もさほど使わない」

「はい」

「まぁ、石切り山から持ってきた石材が岩塩で、楔で適当に割った石が一回目の釜炊きの再生岩塩で、床材が完成した再生岩塩だとする。ミーシャ=ニイトラックバーグがやろうとした事は石切り場の岩場で床材を切り出そうとしたって事だな」

「ムチャクチャですね」

「だろ?」

「でも何でまた購買部から買ったばかりの岩塩にそんな事をしようと」

「綺麗な天然岩塩って憧れるじゃないですか」

「それでもサイズを考えろ」

「ヒト族の貴族には高値で売れるらしいが、儲けようと企んだのか?」

「いえ、全く」

「おいおい!!」

石切り場と床材の例え話で考えたら俺のやった行為はドン引きだったよ。それは所謂チート勇者が伝説の剣を用いて岩山から石板を切り取る様なモンじゃないか。

「次から気を付けます」

「豆ぐらい小さい岩塩で試すならまだしも、ランプ用はなぁ……」

「豆サイズなら?」

「ん? どうした?」

「ボク、豆ぐらいの大きさの岩塩だと成功していたので」

「はぁっ!? 小さいサイズの岩塩からだと不純物を抜けるのか」

「多分、ランプ用の岩塩より不純物は少なかったと思いますが」

「普通は豆サイズでも天然岩塩からは不純物はそうそう分離出来ない」

「どうする、今から分離を極めるか? ニワトリの卵の半分程度の天然岩塩から不純物を分離出来るんなら一生食いっぱぐれ無くなるんじゃねえか?」

「???」

何でも、岩塩や土壌や岩石に含まれる有害金属の中にはごく微量を金属やガラスに混ぜ込み合金にする事によって、合金を硬くしたり軟らかくしたり溶接しやすくしたり色を付けたり……といった特性を与えるものがあるそうで、それを分離する事が出来ると鍛冶師や魔道具師に引っ張りだこになるのだという。しかも必要量はごく微量。卵黄一個分ぐらいの素材から有害金属を分離出来れば魔力枯渇もしないのではないかと言う事だった。有害金属の行き先は良くある暗殺者ギルドじゃなかった。

「まぁ、無理はしない方がいいとは思うぜ」

「その為に騎士ちゃんが傍に付いてきてるんじゃないのか?」

ムキュウ!!

「魔道具に吸われない様に気をつけろよ。ハゲるぞ」

キュウキュウキュウキュウ……

ちょっとそこ、アンディーに何吹き込んでるの。アンディーの毛が毟られる強さの吸引力だったら、とっくにドワーフの髭が失われてるわ。