軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第407話

濃厚な味わいの天然物の【 魔増(マゾ) 草(そう) 】と爽やかな味わいで口当たりの良い栽培物の【 魔増(マゾ) 草(そう) 】。どちらも捨て難いな。そう言えば、苦味を旨み成分の一つだと感じるのは前世の日本人の特性だと聞いたことがあった訳で、俺が平気で口にし違いを楽しむ為にしっかりと味わってしまうのは多分そのせいなんだろう。

ムキュウ キュウキュウ

(「おいちいの すこし うすいの」)

「アンディー、天然物のほうが濃厚だね」

キュウキュウ

(「なの」)

業務終了時間少し前に訪問したのに農業ギルドの職員さんは嫌な顔一つせずスライムの死核を売ってくれた。むしろ嫌な顔は俺が【 魔増(マゾ) 草(そう) 】を味わってる時に見せていた様な……。恐らく何かを想像してしまったに違いない。

安価で入手しやすい赤スライムの死核を購入する。切リ分けに使うのは【 鋸山嵐(ソーン・ポーキュパイン) 】の糸鋸刃だけど、死核専用の割り 鏨(たがね) もあるのか。麦一粒ぐらいのサイズまでなら株分け用に使えるとのことなので、使い辛いサイズの砕片は農業ギルドに渡せば割安ではあるものの買い取りはしてもらえる。まぁ、麦粒サイズだと乳鉢でゴリゴリと潰して鉢植えの肥料にしてしまうみたいだけど。

リンド=バーグさんの家に戻ったけど、流石に普段でも研磨作業はしない時間なのでお茶を飲みながら会話を楽しむ。少しだけ夜更かしだ。だってほら、リンド=バーグさんもアリサお姉ちゃんもパイクお義祖父さまより若いからね。

体調もすっかり回復したので登校再開。岩塩よりモヤシが心配だよ。水切れして枯れてなきゃいいけど。もしくはカビて終了してるかもしれない。 草樹(くさき) 魔法にはモヤシ栽培に役立つ魔法が絶対にありそうだけどね。単発では無いだろうからモヤシコンボを見付けないと。

タイムカードを通したら学生課の職員さんが出て来て校長室に行くように言われてしまった。これは岩塩騒動の顛末についての報告だな。凄く嫌だけど仕方ない。アンディーも一緒に入室して構わないと言われた。流石、騎士格。

「ミーシャ=ニイトラックバーグ、体調の方は大丈夫かね?」

「はい。校長先生、ご心配をおかけしました」

「急激な魔力消費による欠乏症状は珍しいことではないが、初めてだったかね?」

「はい。アンディーに助けられました」

「それで、原因となった行為は岩塩の精錬だという報告が上がっているが、それで間違いはないと」

「多分そうだと思います。ランプ用岩塩から有害金属を除去し、そこから更に内包する鉄分を除去しようとトライして、気付いたら運ばれていました」

「それが原因で間違いないだろう。鉄関連の魔力消費量は結構重いものだ」

「ボク、そういった事は全く知らなかったので、軽い気持ちで試してしまいました」

「また何故、岩塩から鉄分を除去しようと思ったのかね?」

「それは、食べても安全な岩塩にしたかったので……」

「ランプ用岩塩は食用にはしないものだが」

校長先生は苦笑いしているけど多分俺の行為に呆れてるんだろうな。何でも食べるんじゃありませんって思ってそうだ。

「ミーシャ=ニイトラックバーグは再生岩塩が存在するのを知っているかな?」

「はい。最近知りました」

「海水塩の作り方は?」

「大体分かります」

「まあ過ぎてしまった事をあれこれ言っても仕方ない。ただ、『汎用魔法』は便利な反面、魔法系統としては属性魔法より難解な部類であることは覚えておいて欲しい。『汎用魔法』は学園でも解析しきれていない魔法も多いのだよ」

「そうなんですか!? ボク、『汎用魔法』っててっきり便利魔法だと思っていたので……」

「あると便利な魔法であることは間違いない。その代わり、系統混じりが激しくなってしまっているのもまた事実なのだよ」

『汎用魔法』、実は危険だったとか?

「校長先生、ボクは岩塩に対して『鉄分除去』もしくは『鉄錆除去』を期待して『汎用魔法』のつもりで魔力を使っていました。これは本来ならどの系統になりますか?」

「魔法については学園の方が詳しい訳だが、鉄関連であれば通常は土魔法のカテゴリーになる。ただ、塩は特殊な素材で、それは土であり海であり水であり生命なのだ」

「つまり、ボクが試した事って魔法や錬金術の考えで行くと、様々な内容が複雑に絡み合っていてそれに応じて魔力消費も激しいって事なんですよね?」

「その通りなのだよ。ミーシャ=ニイトラックバーグの処理した岩塩を見せてもらったが、有害金属は除去されていた。それは確か習得済みだったね」

「はい」

「普通はそれを岩塩に掛けても成功させられないものなのだが……」

「えっ?」

「岩塩と鉄については学園で検証した方がいい。その代わり、職校では再生岩塩や海水塩の作り方だったり岩塩細工について学んでほしい」

「分かりました」

「折角だから購買部に置かれていた岩塩で再生岩塩を作る実習を行う事にしよう」

「校長先生、ボクのせいですよね?」

「違うと言ったら嘘になるが、数日経っても全く売れなかった為、再生岩塩の実習を行うべきではないかという意見が講師陣から上がっていたのでね」

え〜〜、あの岩塩を買ったのって俺だけだったの!?

「折角なので再生岩塩を作る実習と共に、切り出した岩塩と再生岩塩とでランプを作る時にどの様な違いが有るかを比較する実習も追加しよう」

そして、俺が買った岩塩は二つとも回収され、代わりに新しい岩塩を渡される事となった訳で、それを持参して実習に強制参加しろって事なんだろう。