軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第382話

最初は絵をパラパラというかパタパタと動かす方式と高速スライド方式で試作するとの事。映像記録の魔道具とリンクさせられる様になったらフラッシュ方式にチャレンジするんじゃないの?

記念すべき第一作は、 “ スライム学の教本の隅に落書きされたスライムの絵を動かしていたら黒スライムに絵が食われて終わる ” という内容にするとかなんとか。パラパラポンチ絵機構における全ての始まりを表現したいらしい。黒スライムは全く関係ないけど。次いで、エールのジョッキが減るなどの看板として利用する内容。市井にこれの利用価値を認識してもらうのが目的。そうすることで開発費も上乗せされるらしい。確かに資金調達も必要だよな、うん。ハーレー=ポーターさんってやっぱり優秀なんだ。

俺にはよく分からないゴーレム関連の仕様や回路をザザッと書き付け、イメージイラストや但し書きを加えていく。俺のコメントも箇条書きされてるし、簡易的な企画書っていうかもはや仕様書だな。これが出来る女性というものか……中身がアレだから惚れはしないけどな。まぁ盛り上がったら周りが見えなくなる程のめり込む気持ちは分からなくもないが。えっ、同類? 一緒にされたくない。俺はあそこまでアレじゃない。

「ゴーレム機構って分かるぅ? まだ学んでないかぁ…」

「魔道具というか人造機構というか、詳しい話は全く分かりません」

「だよねぇ〜。ゴーレム機構と言うのはねぇ、基本は魔導回路で動かす道具の総称で、最初は “ 取って 入れて 出す ” 、これの為に生み出されたんだよぉ〜」

取って 入れて 出す 。工場や倉庫に特有の一連の動作的なやつだな。

「魔導回路って複雑にし過ぎると動かなくなったり暴走しちゃうんだよねぇ…。一応、制御方法は有るんだけどぉ〜、そこまで複雑な作業をさせないんなら不要だし」

「それで基本が “ 取って 入れて 出す ” なんですね」

「そう。この三つの動作でいかに魔導回路を圧縮させられるか、それが基本」

「でも、基本なら研究され尽くしてるのでは?」

「その三つだけならねぇ。でもそこに一つ動作が加わるだけで難易度がガラッと変わるよぉ〜。下手したらゴーレムが暴走するしぃ……」

「暴走……ですか?」

「そう、暴走。ゴーレムがいきなり逆立ちしたりぃ、ドーンという音と共に爆発したりぃ、酷い時は研究者を襲うよぉ〜。外装が剥がれたりもしたなぁ……」

それは危険だ。ゴーレムはどうやら産業ロボット的な物らしい。完全なる 自動人形(オートマタ) はまだ完成していないのだという。未来の世界のタヌキ型ロボットが十万馬力で 宇宙(そら) を超えて行くのはまだ先の話なのか……。

「パラパラポンチ絵は試作機が出来たらまた語り合おうねぇ〜。次はコンパクト炉ぉぉ〜〜。炉を持ち運ぶだなんて、竈神キャシーも驚き松の木だねぇ〜」

「完成したらこの部屋でもご飯が食べれますよ」

「ちょっ、マジぃ? ヤバっ、ヤバヤバや〜ん。お外出なくていいんだぁ。研究が捗るぅ〜。ねぇ、捗るって墓にいるアイドルと関係あると思う〜?」

「どうでしょうねぇ、墓にいるアイドルってゾンビガールですか? 寧ろ墓に供えてある 人形(ドール) じゃないですか?」

「うーん、七十点」

嬉しくない。

「だったら墓守りゴーレムですかね? 『 走婆(ランバ) 』と同じタイプでどうですか?」

「いいねぇ、それ採用〜〜♪」

くだらない会話も開発のヒントになるらしい。まぁ俺もそういうところはあるから分からなくはないけど。

「コンパクト炉の売りはなあに?」

「持ち運び出来るのは勿論ですけど、一番大事なのはパッと火が点く事と、火力の調整が簡単な事です」

「それ、凄い事だよぉ。点火の原理は魔導 松明(トーチ) と同じかぁ〜」

「火力は、消火状態、弱火、強火です。弱火の下に極弱火があってもいいかもしれません」

「極弱火の理由は〜? 必要ないと思わない?」

「とろ火、いや極弱火があれば薬の煮詰め作業とかに使えるんじゃないかって」

「あ〜ぁ〜、とろとろ煮込むからとろ火なのねぇ〜」

「はい。必要なさそうなら削除してください」

「多分、ウケると思うよぉ〜。炭火や薪で調整って面倒くさいしぃ、魔力で処理するのも手間だって聞くなあ」

「だったら薬師用や錬金術師用にとろ火だけのコンロも作りますか?」

「え〜、研究室でご飯食べれるのがいいんだけどぉ〜。熱々の紅茶も飲めるんだよお。ベッドの脇でオートミール粥だぁ!!」

結局のところはソレなのか。ビーカーでインスタントラーメンかよ。

「機構的にはどうですか?」

「そこまで難しくないんじゃないかなぁ〜? 点火、消火、着火継続、火力調整、この四つでしょ? 四つは同時に発生しないしぃ〜。三つまでなら回路を書くのも楽だねぇ」

「流石ハーレー先輩」

「んふんふっ、もっと褒めてもいいですよお」

ハーレー=ポーターさんってもしかしなくてもチョロいん?

「ここはこうでぇ〜、こうしてぇ〜。ふふ……」

「先輩、頑張って!!」

「んはぁぁ〜〜、カ・イ・カ・ン」

勉強していないので魔導回路の仕組みは分からないけど、フローチャートに見えるんだよなぁ。これはちゃんと学んだら簡単な魔導回路の一つや二つくらい書けるかもしれないぞ。

「ミーシャ、多分こんな感じでコンパクト炉は動かせると思うよぉ〜。後は外枠を作って、それと鍋を受ける金具と魔石が要るかなあ。簡単過ぎるのもツマラナイよねぇ……、何か追加するぅ〜?」

「そうですね、自動消火機能って付きますか? 魔石の魔力が尽きたら消えるんでしょうけど、安全のために三十分連続稼働したら自動的に消火するとか」

「うぉっ、うひょひょ……うぇぇ〜〜〜。そこで自動消火とか言っちゃう〜〜?」

「えっ、あの…ごめんなさい」

「違う違う、簡単過ぎて量産向きだけどお、わたしにはツマラナイかなぁ? って思ってたんだよねぇ〜。自動消火、いいねぇ。この一から魔導回路の引き直しを迫られる感じ、堪んないなあ」

ハーレー=ポーターさんって単なる変態だったよ。