作品タイトル不明
第365話
取り敢えず資料のチェックはしたのでアンディーを迎えに行く事にした。他の子達と仲良くしてくれてたかな?
「アンディー、お待たせ」
ムキュウ
「アンディーは良い子にしてましたか?」
「はい、勿論ですよ。ミーシャ=ニイトラックバーグさん、冒険者ギルドでは従魔におやつとして栄養価の高い餌を提供しています。普段の食事に様々な栄養をプラスするのが目的ですので、遠慮なく従魔におやつを食べさせに来て下さいね」
「ありがとうございます」
キュウキュウ
(「ばいばいなの」)
アンディーが手を振って応えた。そうだよね、普通に欲しがる餌を与えるだけだと栄養が偏るよ。俺も昼ご飯を…という事で冒険者ギルド内で済ませる。俺の栄養は…偏ってるよね、多分。
商業ギルドに戻り支部長さんに勾玉を【 朱雀(フェニクス) 嘴(ビーク) 型】という形状名にする事を伝える。熊の爪や獣の牙は根元側に穴を開けてビーズ使いをするので、下手に爪型や牙型という表現を選ばなくてよかったみたいだ。
「ミーシャ=ニイトラックバーグさん宛にオロール=ダフネ=オベールさんからの手紙が届いていますよ」
「本当ですか?」
「先ほど届きました」
「ありがとうございます」
俺個人宛なので一人でコッソリ読んで問題ないって事だな。何か面倒な内容が書かれていても困るのでロビーの机で確認する事にした。
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ミーシャへ
けやぐよ、まめしくてらな?
でったらだ【つゆ豆】だばな『ネオ=ラグーン』でだばおがらねべってしゃべられだ。だはんで『ブルー=フォレスト』から買ってけろ。
ラパンば『ロック=ハンド』の『フラワーロール』さ連れていぐはんでな。帰る 前(めぇ) にまた手紙っコ出すはんで。
へばな。
あ、何て書いたかわがらねばまねはんでドワーフ語でも書いておくはんでな。
オロール=ダフネ=オベール
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でっ……出た、古代エルフ語表記の手紙。流石にこれは『 異世界言語(X–リンガル) 』スキルが有っても瞬時に読めないな。見ると聞くとは大違いとはこういう事なのか!?
流石にドワーフ語表記の手紙も書いてくれたんだ。ドワーフ語が書けるならそっちだけでいいのに…。
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ミーシャへ
我が友よ、元気にしていましたか?
特大【つゆ豆】は『ネオ=ラグーン』では育たないだろうと言われました。なので、『ブルー=フォレスト』から買ってください。
ラパンを『ロック=ハンド』の『フラワーロール』に連れていきます。帰る前にまた手紙を出します。
ではまた。
あ、何と書いたのか分からないと駄目なので、ドワーフ語でも書いておきますね。
オロール=ダフネ=オベール
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これが対訳文か!! そして文面が硬いというか余所余所しいというか。とは言え、ジックリ読んだら古代エルフ語の文面も読めるものだな。スキルというのは恐ろしい。オロール先生、絶対面白がって古代エルフ語で手紙を書いてるだろ。
まぁ他人に見せても問題ない内容だったので支部長さん達にも手紙が来たことは伝えておこう。
それより、大きい醤油の栽培が無理っぽいのが大ショック。小さい醤油、つまり自生種を集めてきて栽培するしかないのか。それでも醤油が手に入る分まだ良しとするしかない。大きい醤油は輸入に頼ればいいか。
昨夜モヤシを作ろうとしたんだけど、この世界にはモヤシ栽培に使うタッパーが無いことに気付いたんだよ。タッパーって言うかプラスチック容器ね。仕方がないから昨日仕込みをするのは諦めた。さてタッパー代わりに水漏れせず酸やアルカリを気にせず使える容器を探さないと行けないな。そうなると真っ先に思い浮かぶのはガラス容器だ。ただ、ガラスは割れる。何か無かったか……ステンレス容器でなくていい、ガラス、ステンレス、ガラス、ガラス………ホウロウ鍋!! 鉄とガラスと言えばホウロウだよ。異世界にも多分あるだろう。もし無ければ作ればいいし。
「あの、鉄にガラスを掛けた食器って置いてますか?」
「フォーローですね。一般的なフォーローと魔導フォーローの二種類がございますよ」
ホウロウ有った!! しかも二種類。
「どう違うんですか?」
「普通のフォーローは鉄にガラス釉薬を掛けて作ったものです。魔導フォーローはミスリル合金に魔導ガラスを掛けて作られます。合金の種類や含有比率で使用目的も価格も変わってきますね」
「ボク、植物の種を発芽させたくて、それに使う容器を探してたんです」
「その種は普通種でしょうか? それとも魔力を含む種類もしくは薬草類でしょうか?」
「豆です。野生種の豆なんですけど…」
「差し支えなければ確認させていただけますか?」
「はい。これです。野外採取した【 蔓野豆(ツルノマメ) 】です」
俺は受付の職員さんに『地底 娘(こ) 』の皆と採取した【 蔓野豆(ツルノマメ) 】を提示する。まさか確認させられるとは思わなかった。まぁヤバい物でもないしな。
「これ…は雑草の豆ですよね?」
「はい。区分上はそうなります」
「危険な物ではありませんので一般的なフォーロー容器で大丈夫ですよ。お求めになりますか?」
「はい、買います」
「こちらの角容器は大中小、筒容器は大中小と特大、舟容器は大中、鍋は中小がございます。その他の形状もありますが職人に直接依頼になっております」
「では角容器の中サイズと舟容器の中サイズを購入します」
その他の形状のホウロウ容器は 小(しょう) 鍛冶師かガラス職人に相談したらよかった。魔導フォーローと呼ばれる異世界ホウロウはポーションの作成や錬金術作業といった魔力を含む素材を調合する時に使用される。それは魔道具協会や錬金術ギルド、もしくは魔導ガラス職人に相談すれば購入出来る。ほぼオーダー品になるけどね。でも、ミスリル合金等で作るベース部分は当たり前だけど 小(しょう) 鍛冶師が担当。ホウロウ作りは分業制でした。