軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第364話

『【 朱雀(フェニクス) 】解体真書』

『【 朱雀(フェニクス) 】は羽ばたいた』

『【 朱雀(フェニクス) 】の舞う空に』

『赤い雀と緑の燕』

『【 朱雀(フェニクス) 】の故郷『エイドパス』を想う』

『父=カエル』

『カエルの子はどこにいった』

『美味しいカエル料理』

『魔獣としてのカエル、食材としてのカエル』

『ヒル飲み』

この十冊を渡された。主な生息地や保有スキル、素材部位、部位別最低価格、素材の利用法など多種多様。伝説・伝承系といった 読み物(ネタ) 扱いの内容もあるので注意が必要だけどな。

【 朱雀(フェニクス) 】の素材は主に五種類に分類されている。武器用、魔道具に使う触媒及び素材、薬種素材、インテリア等の装飾品用素材、そして食材。一部の部位を除きほぼ全てが利用できるので基本的には捨てる部位は無いとされる。その中でも面白い使い方をする素材があって、羽根の中心部分の 羽軸(うじく) 、中が中空の硬い部分なんだけど、そこから生える 羽枝(うし) を毟り取った後、残った 羽軸(うじく) を治療用の魔道具として使うんだって。主に魔力過多症や毒の治療に使う。【 朱雀(フェニクス) 】の羽繋がりで言えば、特殊な魔法陣を描く時の羽根ペンにも使われるし、尾羽根の 羽軸(うじく) は 吸血鬼(ヴァンパイア) 被害者の治療に使う。毟り取った 羽枝(うし) は織物の素材になるので捨てちゃ駄目。

爪は毒持ちの魔獣を退治する為の武器の素材になる。使わないのは胃や腸等の内臓と眼球と嘴。心臓や肝臓、血は薬種素材だ。【 朱雀(フェニクス) 】はレア魔獣ではあるけどそこまで数が少ないわけでは無いので、素材用として納品依頼される事は時折あるのか。魔獣としての分類では霊鳥【 大鳳凰(ルク・フェニックス) 】の下位種族。再生能力が有るのでヒト族の王侯貴族に狙われたりもする。死者蘇生は出来ないけどね。それは【 大鳳凰(ルク・フェニックス) 】の管轄だ。

イラストによると孔雀に鶴というか、 鷺(サギ) ? 朱鷺(トキ) ?の様な鳥を足して二で割った様な風貌をしている。色は濃いピンクから朱色、少し細長くてカーブした嘴が特徴的だ。少なくとも前世の日本画に描かれている鳳凰的な姿ではないな。

『赤い雀と緑の燕』は少し悲しい物語だった。人々の為に献身的に尽くす緑の燕に恋をした赤い雀。そんな緑の燕は魔力と魂を削り、力を使い果たして死んでしまう。瀕死の緑の燕を前に何もしてあげられなかった赤い雀は「自身に死者蘇生の力があれば良かったのに……」と嘆き悲しむ。それを聞いた緑の燕は「その力は自分にではなく人々の為に使って欲しい」と言って息を引き取った。赤い雀は緑の燕の遺言を守り人々に癒しと再生の力を使う様になったという。

読み物としては良い話なんだけど、素材情報としては全く役に立たないんだけどね。

ちなみにこの緑の燕だけど、ワイバーンなのかグリフォンなのかで研究者の間で意見が分かれているのだとか。

取り敢えず、嘴は素材としては流通していない事が判明した。そしてあの『エイドパス鉱山』のある『エイドパス』島が【 朱雀(フェニクス) 】で有名な場所だった。まぁ他にも棲息している訳だけど。

一方カエルは食用種も魔獣種も筋肉部分は美味しく頂かれる。大型種の皮は 鞣(なめ) すと皮革利用が可能だ。【ぷっくらカエル】という種類は筋肉が薄く魔力で体を動かす種類なので『脱骨』スキルで骨を除去した後に空気を入れて膨らませると風船の様にして使う事が出来る。カエル全般に言えるのは、皮膚毒も毒腺にある毒も素材として使えるので納品対象。通常種は毒も弱いので薬種として利用されるが、唯一、通常種では【ドクバリガエルの仲間】に属するカエルは捕獲規制対象になっている。【ドクバリガエル】はその名の通り暗殺者の使う毒針に塗布して使われていた。カラフルなので見れば分かる。採取は困難ではない代わり、この毒が使われたどうかは鑑定すれば分かるのでソロの凄腕の暗殺者や暗殺者ギルドに所属する者は【ドクバリガエルの仲間】の毒は滅多に使わない。彼らが使うのは魔獣種の【モウドクドクバリガエル】の毒だ。

カエルは姿が愛らしいものや鳴き声の美しいものも多いので通常種でもテイマーがペットとして飼育したりする。魔獣種ではヒル対策の事もあり【リーチフロッグ】の飼育、使役が人気。ただし天敵がいない場所で育つと巨大になるので注意が必要。

カエルは幼生と成体の姿の差が全くと言っていいほど異なる為に以前は別種と思われていたのだが、ヒト族のテイマー、キーンとケロンパの夫婦が【リーチフロッグ】を繁殖させ、幼体が手足の無い蛇状の形状、スープをすくうレードルに似た形状をしていることを確認してからは幼生を “ レードルに似たもの ” すなわち【レードリアン】と呼ぶ様になった。それ以前は『髭無しナマズ』や『大頭水蛇』などと呼ばれていたと文献に記載されている。

うーん、『髭無しナマズ』はドワーフ基準なら子供のナマズって事だよな。おたまじゃくしを育てたら髭じゃなくて手足が生えるぞ。

諺としては『砂漠のカエル』や『月のカエル』なんかがある。『砂漠のカエル』は “ 有り得ない事 ” の意味で、『月のカエル』は “ 身の丈知らずの憧れ ” の意味だ。月の女神セイラ=ビットに憧れたカエルが月に向かってジャンプし続けたという故事からきているのだとか。そこから生まれた諺に『月宮城のカエル』がある。これは “ 結果はともあれ目的地には到達できた ” と言う意味。先程の月に向かってジャンプし続けたカエルは命が尽きる前に月に到達したのだけれど若さも財産も失ってしまった訳だ。

【 朱雀(フェニクス) 嘴(ビーク) 】と【レードリアン】か……どう考えても【 朱雀(フェニクス) 嘴(ビーク) 】の方がイケてる。って言うより、カエルにあまり良い印象がないんだよなぁ…。