作品タイトル不明
第346話
(簡易)
【愛の囁き】1:心変わり中。卵型。
【愛の囁き】2:心変わり中。ハート型。
【愛の囁き】3:心変わり中。四端星型。
(鑑定)
【愛の囁き】1:心変わり中。中品質。愛を育む卵型。
【愛の囁き】2:心変わり中。低品質++。ハート型。少し心が戻る。
【愛の囁き】3:心変わり中。低品質+。四端星型。
これが仕上げ磨き前の鑑定結果。最初の鉱石のグレードや一号のクラック事件は記入してあるので見れる人が見たら経緯は分かる。別にクラックをそのままにしておいて誤魔化して売り付けた訳でもないので、そこの部分を見られても全然平気よ。
さて、ロードナイトの研磨はほぼ完成した訳なので改めて鑑定してみよう。あ…、『対物簡易鑑定』は変わらないのか。
(鑑定)
【愛の囁き】1:心変わり中(涙の数だけ強くなる)。中品質。愛を育む卵型。恋の亀裂を乗り越えた。
【愛の囁き】2:心変わり中(恋の花の散り際)。低品質++。ハート型。奥底に愛は残っていた。少し心が戻る。
【愛の囁き】3:心変わり中(恋が遠い日の想い出になる前に)。低品質+。四端星型。
なにこれ、俺の妄想設定が微妙に反映されてるんたけど。いや、これはストーリーに説得力が増す表示と取ればいいんだよ、きっと。よし、もっともらしいストーリーを書こう。
ムキュウ ムキュウ
(「ますたー たわち ちて」)
(「アンディー、ブラッシング?」)
(「たわち たわち」)
気分転換にアンディーをブラッシングしよう。
(「おなか おなか」)
(「たわち きもちいいの」)
(「ますたー たわち する?」)
(「うーん、ボクはいいかな。今度、ボクをグルーミングしてね」)
(「わかったの」)
(「そうだアンディー、星にまつわる伝説って知ってる?」)
ムキュウ キュッ
(「おほちさま きらきら しんだ たまちい」)
(「ながれぼし つくの あたらちい たまちい なるの」)
うーん、抽象的だな。死んだ者の魂は流れ星になって生まれ変わるって感じなのかな?
(「アンディー、死者の魂が生まれ変わるときに流れ星になる、って事?」)
(「なの なるの」)
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【一号のストーリー】
淡い 恋心(ピンク) の中に少しだけ残る濃い 恋心(ピンク) 。少しずつ心は離れ暗闇に囚われてゆく……。遠くの恋人を思うと自然と涙が溢れる。そこにあるのは心の 瑕(キズ) …。もう終わってしまったの? あなたの姿がとても小さく見えるのだから……。
奇跡が起きた。涙の中に浮かぶ 瑕(キズ) が消えたのだ。そこにあるのは一つの卵。それは小さな鳥の卵にも似ていて…。恋の亀裂を乗り越えた先に現れたのは愛を育む卵だった。いつかそれが愛の 結晶(あかし) になりますように……。
『この【愛の囁き】は当初、雫型で研磨を始めました。研磨するうちに尖端部分に鉱石状態では見つからなかったクラックが出現しましたが、そこを取り除き卵型に研磨したのがこの宝石です。この宝石は涙の数だけ強くなり、愛を育む卵になりました。いつかこの卵が愛の 結晶(あかし) になりますように……』
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【二号のストーリー】
それは花びら。それは 心(ハート) 。それは散りかけの花の恋占いの様にあなたの 心(ハート) に語りかける。まるで三日月の様な形の 心(ハート) はいつか満ちてくれるのだろうか。満ちる心、欠ける心、まるで花占いの花びらの様に……。
『この【愛の囁き】はピンクの部分が斑に散らばっていました。三日月の様なカーブを持つハート型にした鉱石を磨き上げるうちに、鉱石内部から僅かながらピンクの部分が現れました。まるで三日月が満月に戻ろうとするかの様に。それ故、 “ 少しだけ心が戻った ” と判断しました。消える心も戻る心も月の満ち欠けの様に。花占いで揺れる心の様に』
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【三号のストーリー】
夜空に煌めく星の様に、この恋は暗闇でチカチカと瞬く。微かな星の煌めきは恋の道標。恋が遠い日の想い出になる前に、流れ星になってあなたの元に戻れます様に……。
『この石は黒い中に僅かながらピンクが点在していました。星型に研磨することで、暗闇を微かに照らす灯りが消える前に、恋が遠い日の想い出になる前に、流れ星になってあなたの元に辿り着き生まれ変わってもまたあなたに出逢いたい。そんな想いを込めました。もしこの星が真っ黒に燃え尽きても悲しまないで。それは流れ星になる為の準備なのだから』
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こんな感じでどうだ? 別紙に書いておいたので、アクセサリー職人さんにも見てもらおう。それによって何かいいデザインが浮かぶかもしれないしね。しかし、改まってマジマジと見れば面映ゆい…というより恥ずかしい。ただ、これだけをノートに書き留めていたらそのノートって黒歴史ノートに進化もしくは転生するよね。
ロードナイト鉱石を滑らかで艷やかに磨き上げたので、黒変しているものの 宝石(ジェムストーン) と呼べるレベルにはなったかな。 “ 終わりかけ ” で商売している人に研磨の質を認められたら嬉しい。まぁ、コレ専門で仕事はするつもりはないけどね。
明日は砕石場でウミユリの化石の研磨だ。そして早目に納品するんだ。そうしないとアンディーの【 カーバンクル石(カーバンクライト) 】に着手できないし。それよりオロール先生のトマホークの柄の研磨練習もしてないんだが。オロール先生とラパンは元気にしているだろうか? ラパンはちゃんとご飯を食べているかな? オロール先生は……多分いつもより飲んでるよ。地元だしな。
(「ますたー あそぼ」)
そう言いながらアンディーがベッドの上でゴロンゴロン転がっている。転がるというより回転しているというのが正しいな。尻尾を抱えて輪になって回転しているよ。これが転がるカーバンクル!? ハリネズミタイプやアルマジロタイプでなくても回転するんだな……。
(「アンディー、目は回らないの?」)
(「へいき ぐるぐる たのちいの」)
これに対し、どうやって遊べと……。捕まえればいいのかな?
(「捕まえちゃうぞー」)
(「わーい」)
(「捕まえ……」)
アンディーの輪が解け、その場からピョーンと飛び跳ね俺の頭に飛び乗る。そのままベッドの上にお腹からボフッと着地。また尻尾を掴んで輪になりグルグルと回り出した。
これ……鬼ごっこみたいな遊びなのかな。どうせならハムスターが走ってカラカラ回す回し車でも作ってもらうか? アンディーの大きさからすると結構なサイズになりそうだけど。
まぁ、暫く遊んであげたらグリーティングカードを描かないとな。