軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第329話

リズ=タイラーさんに平謝りのリュート=ラックさん。今の自分と特に関係のない先祖の 黒歴史(やらかし) を今更お前がどうこう言われたら、そりゃあちょっとはイラッとするって。

「リュートよ、そういう時はじゃな、ミーシャ直伝のポーズを使うのじゃ」

「ミーシャの?」

「ボクのですか?」

「ほれほれ、今朝やったじゃろう? 反省のポーズじゃよ。今朝披露されたばかりなので、まだ登録はされておらぬがのう」

「それは興味深いな」

え〜〜〜!! マジで登録する気なの!? 反省ポーズに権利とか要らないって!! それこそ黒歴史一直線じゃないか…。 披露した自分を反省したいぞ、反省。

「えーと、やらかした時にですね、この様に近くの棚に手をやり項垂れて “ やっちまったなー……、反省 ” って感じのポーズを取るんです。その時にボソッと「反省」と言う手も有ります」

「分かりやすいな。近くに棚がない時はどうするんだ?」

「その時はエアで…、いえ、何も無い空間に棚があると想定して空中に手を出してくれればいいです」

「これがミーシャさんのポーズなのね」

違います。反省のポーズです。

「それではミーシャのポーズ、ひいてはミーシャすると言われてしまうからのう…。名称は『反省ポーズ』で良いと思うんじゃがな」

「そうだな。 あ(・) れ(・) をタイラー思想と呼ぶのと同じ事になるか。それはいかんな」

「ささ、リュート、やるのじゃ」

「ええと… “ 反省 ” 」

「父様、反省しているようにみえないのです」

「そうねぇ…」

「もう少し頭を下げた方がいいわよ」

「ミーシャ、見本じゃ」

「えっ、はい。 …“ 反省 ” 」

「やはり本家は違いますよ」

「違うわね。あなた、やり直してちょうだい」

「 “ 反省 ” 」

「シックリこないわねぇ」

イジられるリュート=ラックさん。それでも嫌がってないあたり普段からの和気あいあいの風景なんだろうな。

「これは登録しておいたほうがいい案件だ」

「こういうのってどんな感じに扱われるんですか?」

「流行り物の発起人扱いよ。誰それが広めたネタとか広めた風習って感じになるわ」

「誰でも真似できるから権利金は発生しないがのう、ネタ披露一号として記録されるんじゃ」

「え……、それって何か意味があるんですか?」

「そうねぇ、発想力豊かな証と捉えられるわよ」

「それは喜んでいいのか悪いのか…」

「ミーシャは発案品が多過ぎるから悪目立ちしたくないんじゃったよな」

「はい、そうです」

「今は隠し通せても、いずれ色々な物がミーシャ発案だと知られてしまうことがあるかも知れぬじゃろう?」

「う〜ん、言われてみればあるかもしれません」

「そんな時にじゃ、「あの時流行ったネタってあの 人(ドワーフ) が広めたんだって」などというものがあればのう、けっこう誤魔化せるもんなんじゃよ」

「そんなものなんですか?」

「それはあるわよ」

「明日、登録してしまいましょうね」

という事で、『反省ポーズ』で隠れ蓑作戦が決行されます。

「それよりお料理はお口に合ったかしら?」

「はい。凄く美味しいです」

「ミーシャさんも料理が凄いと聞いたわよ」

「いえ、それほどでも…」

「パイクさんがミーシャさんが作った野菜料理を食べたのよ。それは物凄い事なの」

「親父様はどんな料理が気に入ったんだ?」

「どれも美味じゃったが、一番は【 空(から) 茄子】の肉詰めじゃな」

「よりによって【 空(から) 茄子】かよ」

ムキュッ ムキュッ

(「すばこの おじちゃん すごいの」)

「アンディーちゃんも褒めてるのね」

「多分そうです」

ここでエールのトマトジュース割りが披露される。そろそろ解禁されつつあるのでパイク=ラックさんが家飲みで楽しんでも大丈夫かどうか商業ギルドで確認してきたとの事。まぁ、パイク=ラックさんが家族と家飲みするということで問題なかったって。まぁ、冷やしエールの第一人者だしね。

「それでこれがエールと【 緋(あか) 】茄子ジュースを合わせた飲み方じゃ。商品名は確か【 血祭り(ブラッディー・フェスタ) 】じゃったな」

「随分と物騒な名前ですわね」

「まぁ、【 緋(あか) 】茄子ジュースを血に見立てただけじゃしな。そしてその美味さで祭りのような騒ぎになるのじゃよ」

「アッシュには【 緋(あか) 】茄子ジュースをワートに加えたものでいいかしら?」

「甘くて美味しいジュースになると思います。大人と一緒に楽しめていいと思います」

「わたしもお揃いです」

そしてパイク=ラックさんの冷しの技が再び炸裂。冷えたエールをベースにしているとはいえ常温のトマトジュースを混ぜるとカクテルが温くなるからね。

「これはパイクさんがいなくては楽しめないですわねぇ」

「お義父さんに感謝しなきゃ」

「でも、お店で出すなら冷しの魔道具の工面が大変じゃないかしら?」

「そこは様々な工夫をするそうじゃ」

「まぁ、興味があるわ」

「いかん、母さんの目付きが変わった」

「ふふ…現役時代を思い出しますわね」

ラック氏族がやらかし系なのか、フィオナ=ラックさんの旧氏族名のポーター氏族の血筋のせいなのかは謎。多分、両方なんだとは思う。そこに庇護氏族名ニイトラックバーグも加わってしまった。俺としては目立たなくて気が楽です。

「アッシュは大丈夫? 疲れたら退席してもいいのよ」

「母様、だいじょうぶです。楽しいので疲れません」

「焼きチーズがすっかり冷えてしまったわ。温め直すわ」

流石にフライパンに直接火魔法を流して…とかではなかった。こんな時はホットプレートが欲しいよね。

「はい、お待たせ。焼きチーズは美味しいんだけどすぐ冷えちゃうのが玉に瑕よね。追いチーズと追い【 長胡椒(ヒハー) 】してきたわよ」

「リズさん、すまんのう」

「だってキンキンに冷えたエールと熱々トロトロの焼きチーズは最強タッグでしょう?」

「確かにな」

「あらミーシャさん、何か思い付いたのかしら?」

「あ…いえ、はい」

「私、聞きたいわ」

「乗せた食材が熱々をキープできる魔道具が有ったらいいな…って思いました。恒温鉄板っていうのか恒温陶板というのか……」

「まぁ、とても素敵な発想よ」

「温度は蝋が溶け始める温度と、お湯が沸く温度と、蝋が煙を出さない程度の温度の三つくらいあれば最高ですよね」

「ミーシャちゃん、私、詳しいお話が聞きたいわ」

いかん、眠れる獅子を起こしてしまった模様。