軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第295話

俺は夕方までは炭焼き窯に付いていて、夕飯の時間前には職校に戻る予定。残るメンバーは何かしら食べ物を持ち込んでいない場合、冒険者パーティーの誰かにお願いして買ってきてもらう事になる。手の空いた生徒が買いに行ってもいいけど、次元収納かマジックバッグの持ち合わせがなければ輸送が大変なことになるので。

「野営飯で良ければ提供できますよ」

「ありがとうございます」

いや、絶対素材がそこらへんの草とかそこらへんの蛙だよ。もしかしたらそこらへんの芋虫かもしれないし…。

「ミーシャちゃん、お待たせ〜」

「アリサお姉ちゃん、お疲れ様です」

「ワギュちゃんともう一頭連れてきたから時間が掛かっちゃった」

「皆さんこんにちは」

「お久さ〜」

良く見たらワギュは荷運び仕様の装備だった。馬車以外でも運送の仕事があるんだな。

「もう一頭はラリーね。ワギュとラリーは今回は荷物を運ぶ訓練ね。『 旋斧鬼(せんぷうき) 』は馬車も引いてくるよ」

「ワギュ、ラリー、こんにちは」

ヒヒーン ブルルッッ

ワギュも流石に普通の【 運魔(ウマ) 】のフリをしている。

「さっき『 脈(みゃく) 見役(みやく) 』の方が野営飯なら提供出来るって言ってましたけど、それって草とか蛙とか虫ですよね?」

「今回は拭き草の茎やで〜」

「お肉は多分蛙ですよ」

「『 旋斧鬼(せんぷうき) 』さんが蛇を獲ってくるハズっす」

クララさん、マヤさん、イルマさん、食材情報提供ありがとうございます。

「ニック、異常なしかーー!!」

「ヤーー!!」

あの叫び声がもう一人の検脈師? 五分ほどしたらナックヤーマン=キーン=ニックさんが帰ってきた。随分細身で背の高いドワーフ………じゃない!! この人、エルフか!? でもエルフにしたら髭が凄いんだけど。謎の髭エルフ登場。

「ほらニック、皆びっくりしてるって。自己紹介しなよ」

「自分はエルフの検脈師、ナックヤーマン=キーン=ニックです!!」

「エルフ!?」

「あれがエルフ…」

「エルフにも立派な髭があるぞ」

「今の挨拶ってドワーフ語だよね」

ザワ、ザワザワ…

オロール先生の方がエルフらしいんだけど…。冒険者だけど装備が軽装だし弓も装備してるからやっぱりエルフ?

「ほら、皆びっくりしてる…。検脈師はね、様々な種族の領地を巡るからね、色々な言語を修めているよ」

「凄いな」

「エリートだ」

「古代エルフ語も喋れますか?」

「ごめん、それは無理だ」

そうそう、名前の並びなんだけど、エルフは姓→名の順だ。姓と名の間にミドルネームを挟む者も多い。ドワーフと古代エルフは名→姓。獣人は名前だけの場合が多い。ヒト族は平民は名前のみ。当たり前だが王侯貴族には姓がある。

「マック、拭き草を刈ってきた。後、リーチフロッグを少々」

「えっ、拭き草なの?」

「マジ?」

「あの、私は『地底 娘(こ) 』のリーダーのチーウ= エーツです。今回の野営訓練では拭き草の茎を積極活用する様に冒険者ギルドから通達が出ています。なので冒険者側が提供する食事は基本、拭き草の茎料理になります」

ザワ、ザワザワ……

「今回は料理の配達はお願い出来るのかな?」

「炭焼き先生、大丈夫です。直接依頼をして頂くことになります。後、あまり複雑な料理の注文は承れません」

「代金は?」

「配達料が一人一律銀貨五枚。プラス料理の代金です。お酒の注文は受け付けておりません。実習終了後に各自に請求が行きます」

「だそうだ。頼む奴は頼んでいいからな」

拭き草の茎が嫌なら料理を頼めばいいじゃない、という事だね。

「すみません、ナックヤーマン=キーン=ニックさんに質問があります。エルフは弓矢で戦う以外に暗器を用いた近接攻撃も得意だと聞きましたが本当ですか?」

「矢ーーッ!!」

ナックヤーマン=キーン=ニックさんがいきなり叫び胸の前に手を当てる。よくよく見ると掌に隠すように 鏃(やじり) を構えている。

「ニックは 鏃(やじり) 使いが得意でね。暗器にもしてるけどダウジングにも使ってるよ。勿論、戦闘のときは叫んでないから安心して。ニックの戦闘スタイルは、後方からの弓矢での攻撃と味方に身体バフ魔法を掛けて、隙を見て雷魔法を撃ってくるって感じ。エルフは雷魔法が得意な者が多いね」

良かった。危ない 人(エルフ) かと思ったよ。そしてエルフは雷魔法なんだ。確かにスタンガンだと考えたら近接攻撃でも有効だ。暗器に雷魔法を纏わせたらヤバそう。そしてクセが強い…オロール先生が苦手にしているのが何となく分かるな。でも、 この人(エルフ) 達ってゴボウにコンニャク持ってるんでしょ? それと蕎麦も。

「失礼な質問になりますが、ナックヤーマン=キーン=ニックさんのその髭は自前ですか?」

誰かと思えばパート君!! それ、突っ込みたいけど皆が躊躇してた質問…。ヤバい、皆笑いを堪えてるぞ。

「半分は自分の髭です。自分にはダークエルフの血が混じっているから標準的なエルフより髭も多めです」

えっ…エルフにも髭が!? 俺の知っているファンタジー設定のエルフとは別エルフなの!?

「そうそう、ニックはダークエルフ系列だったよ。忘れてた」

「マック、酷いなぁ…。ちなみに南方ダークエルフの血が入っていると親に言われました」

「おーい、薪チェックしてるかー???」

「ヤベーー、今行きまーす!!」

クセ強エルフに興味の対象を持っていかれて炭焼き窯の火が消えたら洒落にならない、と言うより実習が強制修了しちゃうって。